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バーコードリーダーに最後の商品を通すと、お客さんが五千円札を置いた。
受け取って、お釣りを渡す。
「ありがとうございます」
笑いながら高らかに言うと、「ありがとね」と言って、荷台へ移動していった。
客足が止まる。
店内にも、お客さんは居ない。
店長は帳簿をつけていて、秋田さんは明日の仕込みをしているのだろう。多摩さんはもう帰ってしまっているし、荷台でレジ袋に商品を詰めて帰っていくお客さんの後ろ姿を見つめていると。
訳もなく。
涙が、ほろ、と溢れた。
一つ目は床に落ちて、二つ目は手のひらで受けた。涙は最初、ふるふると揺れていた。
そっと、手のひらを握る。ぐちゃりと潰れて消えた。
そして。
その夜の明け方に、病院からの電話で、私は天涯孤独となったことを知った。




