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恋というのは、突然やってきて、そして去っていくんだな、と思った。


高校の時。駅のホームで。


突然、好きだと告白されたことがあって、え、と思った。見ず知らずの男の子だったからだ。


友達に聞いて後で知ったのだが、隣のクラスの男子らしい。


(一度も喋ったこともないのに……)


私は、疑問と不思議さで頭をいっぱいにした。


(喋ったこともない人を、そんな簡単に好きだとか思うんだろうか?)


速攻で断ったということもあるだろうけど、それから間もなく両親が突然、交通事故で死んでしまって、そのことはうやむやになってしまった。


奈落の底に落とされた私にとっては、先生の言葉も友達の声も届かない。


告白してきた男の子に、学校の廊下で一度だけ、声を掛けられたのは薄っすらと覚えている。


「元気出して、ね」


嬉しかったのか、怒れてきたのか、落胆したのか。


その時に生まれた感情も、そしてその男の子の顔も、今となっては覚えていない。


ただ、腫れ物に触るように接してくる学校から、逃げるようにして家に帰ると、おばあちゃんが毎日のようににこにこと笑いながら手を広げて迎えてくれた。その記憶は、はっきりとある。


家族と呼べるものは、おばあちゃん一人だけになった。そう思うと、どこかれ構わず自然と涙が溢れてきて、学校ではなるべく笑うようにしている私には、それは手に負えない困った涙だった。


「辛い時は笑わなくていいんだよ。はな、お前は本当に良い子だねえ」


リウマチで歪んだ両手で、私を抱き締めてくれる。


その曲がった小さな背中に。


私は一生懸命に腕を回してすがっていたのかも知れない。


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