助けれなかった
一体何が起こっているのだろうか。さっきまで優勢だったはずの彩姫達がアストロギアの背中から出る触手によりピンチに陥っている。
「ヤバイ速く助けにいかないと!」
助けに駆けつけようとしたとき龍太は膝をついていた。
「龍太!?」
「悪いな体力もマナも空っぽだ」
恐らく龍太が神の細胞を使った属性解放術を使用したのは今回で初めてのはず。ならマナの調整が出来なくてマナ切れになるのもおかしくない。
「俺のことはいいから速く助けに行け」
「安心して援護は私達がするから」
自ら戦う意思を見せるミエとミカが龍太の前に立つ。
「いいのか?」
「任せて私の補助魔法で貴方を守って」
「わ、私の攻撃魔法で援護します」
正直二人を戦いには巻き込みたくはなかったが守りたい人がピンチの時だやむを得ない。
「分かった。けど無理はしないでくれよ」
「えぇ分かってるよそんなこと」
「ショウの方も無理はしないでよ」
右手を軽く上げ分かったとジェスチャーすると僕はそのまま右手を腰にある鞘に入った剣の柄を握り、アストロギアに向かって走る。
「魔女を倒したからといって調子に乗るなよ人間~!」
僕の存在に気づいたアストロギアは空いている触手を全てこちらに向けて放ってきた。
数は八本ぐらいだろう。剣を抜き放ち切り落とそうとしたとき目の前に光の壁が現れ触手を弾く。
「フフンこの程度なら余裕で防げるわ。ミカ」
「うん分かってるよお姉ちゃん」
ミエの出した光の壁は正面だけしか展開しておらず横から攻めてくる触手だがミカの手から放たれる火の玉が横からの攻撃を防ぐ。
「ありがとう二人とも」
「ウググググ魔女の成り損ないがっ」
「行くぞアストロギア! 属性解放・風神!」
自分から出てくる荒れ狂う風を鞘に入る剣に集束させる。
「くっこうなれば」
いきなり闇を纏ったボールたぶん魔法だと思うがそれをこちらに向かって打ち出してくる。
だがミエの張った光の壁がある以上守る必要はないがどうしても進むスピードが落ちてしまう。
「イヒヒ今のうちに」
「なるほどこの魔法は足止めのためか。でも・・・・・・」
僕は左手に持つ鞘を目の前まで持ってくる。
「三日月流抜刀術・・・・・・爆砕斬!」
風の剣を地面に叩きつけるように抜き放つと真空刃が地面を抉りながら進みそのまま彩姫を捕まえてる触手を切り落とす。
「もう一回」
次に星華を捕まえてる触手を切り落とそうともう一度、爆砕斬の構えに入る。
「こいつを獲られるわけにはいかないんですよ!」
「知らない! 星華も返してもらうぞ三日月流抜刀術・・・・・・爆砕ざっ」
地面に叩きつけるようとしたとき目の前に複数の兵士が現れ僕は技を出せなかった。
「えっなんで兵士が邪魔をしているのよ」
「しまった。アストロギアの洗脳にかかった奴が近くにいたなんて!」
「よくやりましたね~操り人形達よ」
アストロギアは星華を自分の近くまで連れてくると地面に手をかざす。するとアストロギアと星華の足下に闇で出来た水溜まりが出現した。
「では私はこれにて」
「待て!」
水溜まりに沈む二人。
「ショウ!」
何とか触手の隙間から右手を出し僕に手を伸ばしてくる。
「星華!」
兵士を払いのけ無理矢理、爆砕斬を放とうとしたとき地面に黒い岩が現れ僕はそれに思い切り剣を叩きつけてしまう。
パキンッと剣は折れ剣先が宙を舞う。
「イヒヒその剣は面倒なので折らせてもらいますよ~。それでは」
「くそっ星華!」
手を伸ばす星華の手を掴もうと自分も手を伸ばすがそれは届くことなくアストロギアと星華はそのまま沈んでしまい水溜まりも消えてしまった。
「星華・・・・・・」
助けれなかった。まただまた僕は同じことを繰り返してしまった。
「ショウ・・・・・・」
あの時、沈むとき見せた星華の左目から流す涙が頭から離れない。
「星華・・・・・・星華ぁぁ!」