表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

それでも離れていかない人を、友達って言うんだ

先生に言われて、

ハスネちゃんとユキコちゃんと話すことになった。


少し気まずい空気。


しばらく沈黙が続いてから、

ハスネちゃんが口を開いた。


「花音ちゃん、最近ずっと一人になろうとするし」


少し困ったように笑う。


「結衣もさ、花音ちゃんいると避けるし」


「どうしていいかわからなくて……」


「心配だったんだ」


「私が一人でいたって、別によくない?」


「……そうだけど」


ハスネちゃんが少し困った顔をする。


「でも、友達だから気になるよ」


「……友達?」


「そうだよ」


ユキコちゃんが、当たり前みたいに言う。


私は小さく言った。


「私、友達いないから」


一瞬、空気が止まる。


「ひどい!」


ハスネちゃんが声を上げた。


「私たち、友達じゃないって言うの⁉︎」


「本気で怒ってるの?」


「何で?」


私は戸惑いながら言う。


「だって……女の子好きになっちゃう人と、

友達じゃない方がいいでしょ」


二人が黙る。


「好きになられたら、困るじゃん」


そのとき、ハスネちゃんが言った。


「それは……」


少し言葉に詰まる。


「確かに、好きになられたら困るけど」


私はうつむく。


やっぱり、そうだよね。


でも。


「でも友達は友達だもん!」


その声は思ったより強かった。


「そうだよ!」


ユキコちゃんもすぐに言う。


本気で怒られて、

私は初めて知った。


それでも離れていかない人を、

友達って言うんだ。


それから。


結衣のことが、まだ忘れられないこと。

一緒にいると、どうしても辛いこと。


私は二人に伝えた。


ハスネちゃんは、


「もう、しょうがないなぁ」


そう言って、笑った。


責めるわけでもなく、

呆れるわけでもなく。


ただ、いつもの調子だった。


このことがなかったら、


私はきっと、今でも

本当の友達って何なのか

わからないままだったと思う。



「元気?」


数日後。

サッチが話しかけてきた。


私は少し迷ってから聞いた。


「……聞いた?」


「ん?」


「私と結衣の話」


サッチは首をかしげる。


「え? 何」


「聞いてない」


少し息を吸う。


「私ね……」


言葉を探す。


「結衣が好きで、フラれて、気まずくて」


「だから、一人でいるの」


サッチは少し黙った。


「……そうなんだ」


今、初めて聞いたみたいな顔。


本当に知らないみたいだった。


話してるかと思っていたのに。


気持ち悪いって思ったかな?


私はちらっとサッチを見る。


サッチは少しだけ考えてから言った。


「わかった」


それだけだった。


特に驚く様子もなく、

嫌そうな顔もしない。


何も変わらない態度。


本当の自分をさらけ出しても、


サッチも、

ハスネちゃんも、

ユキコちゃんも、


離れていかなかった。


打ち明けるたびに、

胸の奥が少しずつ軽くなっていった。


私は初めて、

ちゃんと息ができている気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ