ハッキリさせることにしました
今話も長くなってしまったので2話に分割することにしました。2話目の方も今日中に投稿します。
全13話 → 全14話
「そうですか?実はレオンハルト殿下が市井にお忍びで出掛けた日は、私もご一緒させて頂いておりましたの。
ですから私は、一緒に回ったレオンハルト殿下の初恋の相手をよく存じております。ですからそれが貴女では無いと断言出来るのですよ」
そう。私はレオンハルト殿下の初恋の相手を知っている。私のこの言葉を殿下が素直に信じてくだされば良いのですが・・・。
「えっ・・・」
「はぁっ!?お前が一緒にいただとっ?そんな嘘を申すな!」
私の言葉に顔色を悪くして言葉を失くしたルナティア嬢とは反対に、顔を真っ赤にして大声を出すレオンハルト殿下に、私は『さて、どうしたものか』と頬に手をあてて小首を傾げる。やはり信じてはいただけなかったようです。
実は私の証言だけではなく、一発でレオンハルト殿下の勘違いを正す方法はあるにはあるのです。
けれど・・・その方法が問題なのです。出来るならば、それは最後まで切りたくない切り札なのよねぇ。
しかし、国王陛下に甘やかされて少しばかり残念に仕上がってしまったとはいえ、私に『レオンハルト殿下の初恋の現場に立ち会っていた』と言われても、まだ思い出せないレオンハルト殿下に驚きを隠せませんわ。
ご自分でも八歳の時だ、と年齢と場所は覚えているのに、私が同伴をしていた事も記憶に残っていなければ、あんなに沢山のお付きの者がレオンハルト殿下の近くに居た事も覚えていないなんてあり得るのかしら?
レオンハルト殿下が屋台で食べ物を買う度にお金を支払っていたのは、幼少の頃より殿下に仕えていた顔見知りの侍従だったはずよ?
大体にして、彼女を連れて来たのは私だし、そもそも下町へのお忍びにレオンハルト殿下自らが私を誘ったのに、それすら覚えていないなんて。一体、どうしたらそうなってしまうのかしら?
まぁ、覚えていればこんなことにはなっていなかったのですけれど。
「・・・殿下、お忍びとはいえ、我が国の第一王子が街に出るのですよ?
関係各所への許可を取る手続きから、当日の護衛人数に誰が同伴するのかまで、全ての記録が王宮に残るようになっています。
当然、同伴者のリストにはわたくしの名前も残されているはずですわ。これはお調べになれば直ぐにでも事実だと証明される事です。
そしてわたくしはその時の事を詳細に覚えておりますので、殿下の初恋の相手がルナティア嬢では無い、とハッキリと断言出来ますわ」
本当にねぇ。ずっと初恋の人を想っていたのなら、あの時の外出記録を調べれば直ぐに分かった事じゃない?
まさか!?王族が外出する際の手続きがある事すら知らなかった、なんてことはありませんわよね?
いくら彼女に髪色などが似ていたからといって、相手の言葉のみで事実かどうかの確認もしないなんて迂闊すぎるのよ。
「そっ、そんなこと・・・。いや!私はお前の事など全く覚えていないぞ?
仮にもしお前も同伴していたとして、私がお前の事を覚えていなかったように、お前がルナティアの事を忘れているだけかも知れないだろうが!」
「そ、そそそ、そうです!私もレオン様と一緒にいられる事が嬉しくて、マリエッタ様の事など視界に入っていなかっただけですわ」
・・・・自分が忘れていたのだから私も忘れているだけ、ですか。一緒にして欲しくはないのですが?
レオンハルト殿下の言葉にルナティア嬢も便乗して言っておりますが、随分と私に対して不敬な発言をしていらっしゃいますわね。
私の言葉を聞いてもまだ嘘を突き通そうとするその図太い神経は見習いたい気もしますわね。
けれど・・・。
国王陛下並びに王族の方々に頼まれたとはいえ、この様な態度を取られ続けると、何だかもう面倒くさい。本当に色々とどうでもいい気がしてきましたわ。
そうしましたら手っ取り早く解決したくなってきてしまったのも仕方のない事ですわよね?
この状況でもレオンハルト殿下はルナティア嬢の言葉を信じているようですし、私の言葉には耳を貸さないということは、それだけ初恋の人を一途に想い続けていたということでもあるのでしょう。それが相手には届かない想いだったとしても。
色々と記憶に不備があるようですが、出会った日から十年も初恋の人だけを想っていた気持ちは本物のはず。
叶うことのない想いだからこそ、きっかけを作った私にも責任があると罪悪感を感じていたのも事実です。ほんの少し、ですけれどね。
けれど、レオンハルト殿下に対する感情は無だったとしても、蔑ろにされた日々を思えば、殿下の初恋など私にはどうでもいい事に思えてきましたわ。
この状態を長引かせて、殿下の処分が重いものになったとしたら、更に国王陛下が嘆くのでしょう。それはそれで面倒です。
そうですわね。ここは一つ、ハッキリさせてしまいましょうか!
レオンハルト殿下がポンコツ頭すぎて・・・。
ここまでお読みいただきありがとうございます。




