表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『スキル無し』で婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!  作者: しずもり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

最終話

よろしくお願いします。

『ルナリス様?わたくし、聞きたい事があるのですが』



じっとルナリス様を見つめながら、それでも淑女の微笑みは絶やさず念話でルナリス様に話しかけます。


『っ!』



ルナリス様はビクッと肩を震わせ、眉を八の字に下げた表情になり、目線はうろうろと彷徨わせています。どうやら私に対して後ろめたいことがあるようですね。


『ル・ナ・リ・ス・様?このままお返事が無いようでしたら、もう二度と私はスキルを使う事はありませんよ?それに毎晩のように唐突に始まる()()()とのお喋りの時間もなくなるかもしれませんね』


この国を守護する女神ルナリス様を脅すような物言いは不敬にあたるのでしょうが、疑惑は直ぐに解消してしまいましょう。


『っ!!やだ、やだ、やだぁ!せっかくスキルを授けたのに、マリちゃんから話しかけてくれないし、地上に呼んでもくれないんだものっ!』


・・・お喋りを楽しむ為だけに、女神様にお声掛けするのは不敬に当たらないようですね。


どうやら女神ルナリス様から授けられるスキルは、本当に女神様の気分次第で決まるようです。



・・・。


ふぅ〜。ルナティア嬢に同情している場合ではありませんでしたわ。しかもルナリス様の話からすると、さらっと地上に降りて温泉に入っていたそうではありませんか。


それでは『女神降臨』なんてスキルは必要無かったのでは?



『違うの。違うのよ、マリちゃん!人が立ち入れない秘湯なら女神のままで大丈夫なの。でもね?大勢の人の前に現れるのは無理だったの。仮の肉体を保てないのよぉ~』


言いたい事は分かりました。女神様を降臨させる人が居ないと駄目、という事なのですね。


いえ、でも地上に降りたいからといって、簡単に『女神降臨』などという特殊スキルを子どもに授けるのはどうかと思います。ですので、今後もやたらに特殊スキルを使わない方向でいきましょう。


頭の中で『いやぁあ!もっと気軽に召喚してぇえ』と響いてくる声は無視です、無視。


ルナティア嬢の思ったように事は運ばず、思いがけない真実を知って彼女もショックを受けているようですが、それは自業自得ですわね。


私は晴れて婚約解消出来そうですし、レオンハルト殿下の()()()も正す事が出来て王族の方々も安心したと思いますわ。それに殿下は本当の初恋の人とも再会出来たので満足したことでしょう。


『そろそろ帰りましょうね、ルナリス様』


ルナリス様に対してちょっと高圧的な物言いになってしまったのは、スキルを与えられた経緯を知ったので。私と両親の今までの苦労を思えば、ちょっと拗ねた気分になってしまうのは仕方がないと許して下さいませ。


「えっと。そろそろ家に帰らなくっちゃ!!皆、悪い子になっちゃ、めっ!よ?じゃあ、またね」


降臨した時と同じように、何とも緩い感じでルナリス様は帰って行きました。素直に私の言葉に従って帰ったのは、これ以上私の機嫌を損ねない為でしょう。


後に残された私たちでしたが、呆けていた国王陛下が我に返り、『今宵の夜会はこれにて終いじゃ。皆、今夜の事は他言無用ぞ』のお言葉で終了となりました。


こうして茶番劇にすらならないようなレオンハルト殿下による婚約者(わたくし)に対する断罪劇は、女神ルナリス様の降臨により有耶無耶となったものの、私たちの婚約は無事に解消されました。


◇ ◇


あれから数日。


()()()()と夜会での出来事やルーデンベルグ公爵家の者に授けられたスキルを口にしようとして、罰則(ペナルティー)が発動してしまった者たちは数知れず。


皆様、人の忠告はきちんと聞くべきでしたわね。


お父様の考えた罰は、きも・・・愉快なもので、あの夜の出来事を話し始めた瞬間に、髭のような蔓が上下左右、口の周りからにょきにょきと生えてきて、口を塞ぐというものでした。口を塞ぐだけでなく、まるで手のようにうねうねと動いて、食事の補助や歯磨きのお手伝い、更には髪まで整えてくれるのだそうです。本当にきも、いえ、恐ろしい罰ですわ。さすがお父様の考えた嫌がらせ()です。


ルーデンベルグ公爵邸に慌てて駆け込む貴族たちが続出したり、私のスキルを知った貴族たちから釣書が山程送られてくるようになったりと私の周囲は落ち着きません。


やらかしちゃったレオンハルト殿下は、それでも断罪劇が不発に終わった事で謹慎処分程度に済む予定でした。ですが、レオンハルト殿下は相変わらずというか、思い切りが良いというべきなのか。


当の本人が廃嫡を望み、誰にも相談せずにいきなり学園を辞め、神官になる為に大神殿に行ってしまわれました。それを知った国王陛下は寝込んでしまったとか。


たとえ初恋が叶うことはなくても、ルナリス様のお声を聞く事が出来るようになりたい、との想いは本物だったのでしょう。


まあ、不純な動機とはいえ、レオンハルト殿下本人が、今は神官になる為に真剣に取り組んでいるのならいいんじゃないでしょうか。


正直に言いますと、ルナリス様の気分次第でいつでも会話が出来そうな気がするのです。元々、ルナリス様はレオンハルト殿下のことはそれなりに気に入っていたようですし。


もしかしたら市井へのお忍びという、地上へ降りるきっかけを作ってくれたのがレオンハルト殿下で、あの日、一緒に街歩きを楽しんだ思い出はルナリス様にとっても大事なものだったのでしょう。


ルナティア嬢はというと、我が国の第一王子を騙し、今回の夜会の騒動の原因となりましたが、誓約魔法によって夜会での出来事は他言無用となっています。その為、公では婚約破棄騒動も無かったことになり、法で裁く程の罪には問えなかったようです。


偽証罪にあたると言われればその通りなのですが、何しろ発端はレオンハルト殿下の勘違いで、彼女はその勘違いに便乗しただけですから。


それに女神ルナリス様の降臨などという奇跡の前では、もう誰も彼女を女神の化身と讃え彼女に侍ろうとする者もいません。しかも彼女自慢の癒しの力が、実は温泉由来とあっては本人も流石に居た堪れなかったのか、いつの間にかひっそりと学園を辞めていました。


噂では彼女を引き取った男爵家からも追い出された、と聞きましたが、彼女ならばスキルを利用して逞しく生きていそうです。


私はというと、婚約が解消となって身軽な身になったわけですが、連日届けられる釣書を見てもいまいち乗り気にはなれません。


それは届けられる釣書の大半が、あの日の夜会に出席していた貴族から、というのもあるでしょう。今まで散々『スキル無し』と私を蔑んでいたのに、という気持ちは簡単に消えるものではありません。


それでも私も恋するお年頃です。" 恋 "というものに憧れがないわけでもありません。学園を卒業するまでの半年の間に、出会いを求めて隣国へ留学するのも良いかも知れない、などと思っていましたらーー。



『あらっ!それ、いいじゃない!


私も隣国(トラキア)に行ってみたいな~って前から思っていたのよ。マリちゃん、直ぐに行きましょう!』



唐突に頭の中にルナリス様の声が響いてきました。



『・・・ルナリス様?勝手に人の考えを読まないで下さいませ』



私のスキルが『女神降臨』で、ルナリス様と念話も気軽に出来る状態だとはいっても、プライバシーには配慮して欲しいです。今更ですが。


『えぇ~!これでもマリちゃんのことを心配してたのよぉ~。好きじゃなかったとしても婚約が解消になった事には変わりないじゃない?

マリちゃんの恋の手助けをしたいって思ったの。ついでに私も偶には恋でも・・・』



最後の方が本音なのではないかしら?



『ちっ、ちがっ!本当にマリちゃんの恋を応援したいのっ』


少し慌てているルナリス様の声に思わずくすっと笑ってしまう。


そういえばトラキアの守護神は男神でしたっけ?



そんな事を思い出せば、声は聞こえずともルナリス様があたふたしている気配を感じます。

そういえばトラキアの国民は魔法は使えるけれど、神様はスキルを授けていない事も思い出しました。


 あの夜会の事は、招待客以外には知られる事はないので、表向きは『スキル無し』扱いのままの私には、スキルに振り回されることの無いトラキアは理想の国なのかも知れません。


たかがスキルで一喜一憂したり、相手を蔑んだり妬んだり。挙句に婚約破棄にまで発展した、なんてことを思い返してみれば随分と馬鹿げた話です。


よしっ!トラキアに留学しましょう!


こういう決断は早い方がいいでしょう。


そこで誰かと恋に落ちる機会があるのかどうかは分かりません。

どうなるのかは分からないけれど、スキルが有るとか無いとか関係なく、恋をする相手に出会えたら、それはとても幸せな事だと思うのです。


出会えるかどうかは神のみぞ知る。

いえ、きっと()()()()()()()()はず。


そこはまぁ、自分の努力次第でしょう。


それからの私は有言実行で、隣国トラキアに留学しーー。



私が恋をしたのが先か、()()()が先か。


気になる答えは・・・。


それはまたの機会に、でございますわ。




おわり


お父様の罰の補足ですが、公爵が与えた罰則は、食事時にはほんの少し隙間を作ってくれる優しさが有り、蔓の両端には葉っぱのようなモノも生えていて、葉っぱが手の様な役割でもって髭や髪を整えてくれたりする優れもの!

女性の場合にはアクセサリーを付けてくれたり選ぶ事までしてくれます。


だけど通常は暇を持て余して、顔の周りをウネウネと動き回っているので周囲の人には気持ちが悪いと避けられて、地味に精神を削られるという本人には中々にキツいと感じる、公爵のちょっとお茶目で意地悪な罰則でした。


因みに王都では、人に移る事のない原因不明の奇病が発生する、と都市伝説の様に噂されているとかいないとか。



ざまぁ、については本編にもある様に、誓約魔法を掛けられた為に知っていても話せない、だから招待客以外には知られる事はなかったので、ざまぁはほぼ無しになっています。


けれど本人の希望とはいえ、レオンハルトは王族籍を抜ける事になり、国王陛下は溺愛していた息子を国王に据える事は出来なくなりました。ルナティアは王子妃になる事は出来ず自慢の癒しのスキルは癒し違いの赤っ恥、というのが『微ざまぁ』な部分かと思っています。



最後までお読みいただきありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
完結おめでとうございます。 緊張せず楽しく読み終わることができたお話でした。 続きを書かれるのであればぜひ読ませていただきたいと思います。 まだまだ寒いので、お体ご自愛くださいませ。 ご活躍をお祈りい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ