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リトライ;リバース;リサイクル  作者: 四十九院紙縞
第2話 能力検査

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21/63

(14)――「そもそも貴方、殺したら死ぬんですか?」

【語り部:五味空気】


「さて」

 そして案の定、食事が終わると、仕切るように少女は軽く手を叩いた。

「それでは尋問に移ります。こっちに来てください」

「やっぱり今日もやるんだね……」

「当然です」

 手招きをする少女に言われるまま、鉄格子に近寄った。

 少女は昨日同様、写真を床に並べる。そこには予想した通り、目を背けたくなるような惨憺たる惨状ばかりが収められていた。

「さきほど貴方は、また夢の中で殺されたって言ってましたよね」

「嘘じゃないよ」

 念押しの確認に、少女は自身の首元をとんとんと指差し、言う。

「拘束具が反応してないんだから、それはわかってます。夢は記憶の整理の際に生じるものだとも言いますし――ですから仮に、その証言を妄言ではないとしてみましょう」

 言いながら、少女はずらりと並べた死体の写真を指でなぞる。

「この中に、貴方を殺した人間はいますか?」

 そう問われ、一枚一枚をじっくりと観察する。

 少女が提示した写真は、全部で十一枚。ぱっと見ただけでも、知った顔がふたつはあった。昨日の夢の中で俺を殺したはずの男。それと、俺が少女を庇った際に殺した男だ。

「左からみっつめと、一番右」

 だからその通りに答える。

「なるほど」

 相槌を打ち、少女はその二枚の写真をついっと自身の方へ寄せた。

「他にはいませんか?」

「他は……あ、こいつだ」

 それは、右から四番目の男だった。

「今朝の夢で俺を斬りつけてきたのはこいつだよ。うん、こんな顔だった」

「そうですか」

 俺の回答を受け、眉間に皺を寄せて思案顔の少女。

 その正面で、俺はわけもわからず疑問符を浮かべるばかりだ。

「……これらの写真には、ひとつだけ共通点があります」

 まだ結論は出ていない様子だが、考えを整理しながら慎重に、少女は話し始める。

「この人達は、殺人鬼による殺害現場で、即死ではなかったんです」

「即死じゃない……?」

「一人だけ明らかに死亡推定時刻が遅い、と言ったほうが良いかもしれません。恐らくは一対多数となっただろう殺人鬼は、いつも決まって一人だけ、かろうじて生かしておいたようなんです。だけど伝言を残すわけでもなく、数時間後には死んでいます。その理由がわからなかったんですが、それが貴方を殺す為だったとしたら――」

 ごくり、と生唾を飲む。

 少女の脳内でパズルのピースが次々に嵌めこまれ、正解が姿を見せようとしているのだ。俺は期待して、言葉の続きを待つ。

「――余計にわけがわかりませんね」

「だよねー」

 こう言ってはなんだが、こんな子どもにでも導き出せるようなものが正解であれば、きっと他の大人達がとうの昔に気づいている。

 動機も経緯も不明。そりゃあ現場に居合わせた、無傷で返り血まみれの男を殺人鬼にもしたくなるというものだ。

「そもそも貴方、殺したら死ぬんですか?」

「そりゃあ死ぬでしょ」

「常識で考えればそうですけど、貴方は回復型の四鬼なんでしょう? 事実、貴方は殺された記憶があると言いますが、今もこうして生きているじゃないですか。傷の治りが早いというのなら、案外あっさり蘇生できたりもするんじゃないですか? その代償に記憶を失っているとか」

「怖いこと言わないでよ」

 傷の治りが早いからと言って、蘇生できるかどうかは別問題である。しかしそれを肯定してみると、何度も殺される夢をみることに得心がいくのも確かな話だ。死なないのなら、何度だって俺は殺せる。俺がみる夢は、だから過去に殺された 【俺】の記憶の断片に他ならない――そういうことだ。

 何度も死んで、何度も生き返る。

 ぐるぐると、くるくると。

 一人で輪廻を循環する。

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