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[第一部完結]サラリーマンが異世界でダンジョンの店長になったワケ  作者: エルリア
第十一章

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助っ人はいつも遅れてやってくる

 手詰まり感の出たこの状況で颯爽と現れるイケメン。


 アニメなら間違いなく次週に引き伸ばされる奴だな。


 でも、今はそんな事どうでもいい。


 来てくれただけでもありがたい話しだ。


「役不足だなんて誰が言いました?」


「どこかで荷が重いという言葉が聞こえたような気がしましたので。」


「そんな謙遜シルビアに聞かれたら怒られますよ。」


「それもそうですね。」


 颯爽と現れたイケメンこと現サンサトローズ騎士団分団長カムリ。


 上級冒険者と同等もしくはそれ以上であろうその腕は今間違いなく必要な駒の一つだ。


「カムリ騎士団長!」


「話は部下から聞きました、豪腕のガンドと言えばうちもお世話になった事のある有名な上級冒険者。この街の為にも彼らを死なせるわけには行きません。」


「助かります。」


「これより騎士団はティナギルド長の下につきます。部下一同何なりと御命令下さい。」


 颯爽と現れて今度は騎士団が冒険者ギルドの下につくだって?


 一体何を考えているんだ!


 と、昔の騎士団員なら言うだろう。


 だが今は新しい時代だ。


 昔の考えは捨ててもらおうか。


「騎士団の皆さんに命令するだなんてそんな。」


「今はそんな事を言っている暇はありません。上級冒険者が数多く負傷するような緊急事態、仮にダンジョンから魔物が出てくるような事になれば街が危険に晒されます。そのような事態を防ぐためにも我等騎士団が出て行く必要があるのですよ。」


「ですが彼らでもてこずるような魔物です。」


「彼らに負けず劣らず我々も鍛えています。ですが確かに部下でもキマイラとなれば荷が重いでしょう。ではこうしましょうか、部下が護衛として同行するのは途中まで、現場を維持しつつ負傷者を早急に地上まで逃がす準備を致します。」


「護衛でしたら他の冒険者でも・・・。」


「もちろん冒険者の皆さんにも手伝っていただきますよ。ダンジョンの中を知り尽くしているのは彼らだけですからね。」


 騎士団の手柄とするのではなく、冒険者と共に助けたという事実が大切。


 なるほど、カムリにはこの街の未来まで見えているようだ。


「問題は誰が助けに突入するかですが、カムリ一人ではさすがに無理がありますよね。」


「私が行きます!」


「ティナギルド長自ら?」


「騎士団長が出向いて私が出ないわけには行きません。これでも上級冒険者の端くれ、まだまだ腕はさび付いていないつもりです。」


「ここの指揮はどうするんですか。」


 話しを聞いていたギルド職員が悲壮な声を上げる。


「何の為にあなた達を鍛えてきたと思っているんです。私がいなくても立派にギルドを回せるよう教えてきたはずですよ!」


 前冒険者ギルド長がダメダメだったので、ティナさんに代替わりしてからというもの冒険者ギルドは改革を続けてきた。


 組織改革、連絡系統の再構築、責任者不在時の意思決定権の所在確定などなど。


 仮に誰かが抜けても回るように。


 危険と隣り合わせの冒険者だからこそ、誰かがいなくなったときの事を考えなければならない。


 それがティナギルド長の教えだ。


「ティナギルド長・・・。」


「私が戻るまでの代理をグランに任せます、できますね?」


「お、おまかせください!」


「イナバ様、これで二人目の戦力です。」


「よろしくおねがいします。」


 これで二人目だが、まだまだ足りない。


 せめてあと一人いや二人は欲しい。


 どれだけの魔物が残っているか分からない上に、上級冒険者がやられるような相手だ。


 前衛ばかりなのを考えると後衛が欲しいところだな。


「ティナさん、準備にどれぐらいかかります?」


「私の準備はすぐですが、動ける冒険者を集める事を考えると夕刻には出れるかと。」


「騎士団もそれぐらいいただければ精鋭の準備が完了します。」


「では各自準備をお願いします。」


「イナバ様はどちらに?」


「助っ人を呼びに行ってきます。」


 後衛にピッタリかどうかはわからないが、一応職業的に当てはまる気がする。


 この時間ならまだ手が空いているはずだ。


「私も一緒に!」


「ニケさんはこのまま負傷者の手当てをお願いします。大丈夫です、一人で助けに行くような度胸はありませんよ。」


 っていうか助けに行ったら俺のほうが死ぬって。


 ここはベテランにお任せするのが一番だ。


 現場をお任せして再びギルドを飛び出す。


 さっきも来た道だ、間違えるはずがない。


「シュリアン商店店主イナバシュウイチ、開門願います。」


「二種類の精霊波導(スピルティス)を確認、本人と判断します。」


 本日二度目の魔術師ギルド。


 フェリス様が博士の所に向ったというの事は、あの人の手が空いているということだ。


「まだ何か用なの?今回は一人みたいだし、わかった愛想着かされて逃げられたんでしょ。」


 ほらいた。


「リュカさん、イケメンと一緒に戦ってみる気はありません?」


「何よ藪から棒に。自分の事をイケメンって呼ぶ奴に良い男は居ないのよね。」


「いえ、戦いたくないなら良いんです。リュカさんの凄い力を見せていただいたので今回も見せていただきたいなと思っただけで、大丈夫です彼にはお詫びをして他を当りますので。」


「ちょっとちょっと、別にやらないとは言ってないじゃない。」


 やっぱりイケメンという単語に喰いついた。


 こういう所はブレないよな。


「本当ですか?」


「相手によるわね、この私を納得させようと思ったら生半可な男じゃ・・・。」


「カムリ騎士団長なんですけど。」


「やるわ!」


 返事が早い!


 なにその反応。


 カムリの名前を出してほぼノータイムの返事だったんですけど。


「手伝っていただけますか?」


「当たり前じゃない!私がやらないと思ったの?」


「そんな、リュカさんしか居ないと思ってこうして再びやってきたんです。」


「そうでしょ!やっぱりあの人の横に立って戦うのは私しかいないのよ!」


 よくわからないが非常に乗り気なのでよしとしよう。


 ただの魔術師ではなく精霊師として援軍は非常にありがたい。


 この前もかなり派手にやってくれたので実力は折り紙つきだ。


 でも、リュカさん一人ではちょっと足りないんだよな。


「詳しくは冒険者ギルドに行って聞いてください。カムリ騎士団長もそこに居ますので。」


「冒険者ギルドね!わかったわ!」


「それと、一つお願いが。」


「何よ、脱がないわよ?」


「何を考えておられるかは分かりませんが脱がなくても結構です。メルクリアさんに連絡を取りたいのですが、念話をお願いしてもよろしいでしょうか。できれば至急冒険者ギルドに来るようにと・・・。」


「フィフィね、来るか分からないけど連絡だけしといてあげる。」


「宜しくお願いします。」


 来るか来ないかは五分五分だ。


 もし来てくれたら強力な戦力になるが、縁もゆかりもないので微妙な所だろう。


 エミリアが居れば別だが今回は店で留守番だしな。


 ギルドから飛び出していったリュカさんを見送り、次を考える。


 人は揃いつつある。


 道中の安全は確保されているから残るはダンジョン内部がどうなっているかだ。


 転送装置がないという事は13階層まで降りていかなければならない。


 どのぐらいの時間がかかるか分からないが、人数分の物資も必要になるだろう。


 兵糧なくして戦は出来ない。


 魔物も駆逐されたとはいえゼロではないはずだ。


 ダンジョンなんだし増えていく事も考えられる。


 管理しているダンジョンと違って急に増えたりはしないと思うけれど、増えないわけでは無い。


 襲われる危険も考えて余り大勢で行くわけにもいかないだろう。


 最少の人数で最大の成果を挙げる必要がある。


 さて、どうしたもんか。


 まぁ、こんな所で悩んでいても仕方がない。


 戻るとしよう。


 急ぎ出て行ったリュカさんを追って俺も魔術師ギルドを後にする。


 今頃エミリア達はどうしているかなぁ。


 まさかこんな事になっているとは思ってもいないだろうな。


 おれもこんな事になるとは思ってなかったし。


 毎回殺人事件が起きる某少年探偵宜しく俺も何か良くないものを持っているような気がしてきた。


「おかえりなさいイナバ様。」


「ただいま戻りました。」


「ちょっと遅いわよ!」


 冒険者ギルドに戻ると中では準備を終えた精鋭たちが俺の帰りを待っていた。


「サンサトローズ騎士団総勢10名、これよりティナギルド長の下に入ります。」


「こちらも中級冒険者4名上級冒険者1名準備完了です。」


「あれ、上級冒険者の方も来てくださったんですね。」


 てっきり誰もいないと思っていたんだけど・・・。


「御無沙汰しておりますイナバ様。」


「あれ、貴方は!」


 礼儀正しく挨拶をしてくれたのは、見覚えのある虎の顔。店に素材を売りに着てくれるあの亜人だった。


「大変な事になっていると聞きまして、微力ながらお手伝いできればと思い参加いたしました。」


「上級の方が手伝ってくださると心強いです、どうぞ宜しくお願いします。」


 思っても居なかった援軍だ。


 一人でダンジョンに潜れるような人だし、実力は期待して大丈夫だろう。


 それに加えてこっちはリュカさんもいる。


 この四名ならきっと大丈夫だろう。


 この感じだとメルクリア女史は難しかったようだ。


「ちょっと、エミリアから凄い連絡がくるんだけどアンタ何も言ってなかったの?」


「エミリアから?」


 おかしいな。


 連絡手段がないから何も言ってないんだけど、何処から漏れたんだろう。


「事情を説明しろってうるさいからここで聞いた事を伝えたらものすごい怒り出して、ちょっと何とかしなさいよ。」


「何とかしなさいよといわれましてもこっちから連絡する方法がなくてですね。とりあえず大丈夫と伝えてください、私はダンジョンにいけませんし危険は無いといえば大丈夫です。」


「もぅ、自分の奥さんなんだから自分で説明しなさいよね。」


 何てブツブツいいながらも連絡してくれるのがリュカさんの良いところだ。


 助かります。


「あの、イナバ様。」


「どうしましたティナさん。」


「イナバ様も来られるんですよね?」


「え?」


「「「え?」」」


 キョトンとした顔でお互いに顔を見合わせる。


 っていうかティナさんだけじゃなくて他の人も同じ顔してるんですけど。


 ちょっと待って、俺も行くの?


 俺戦えないよ?


 っていうか戦闘に巻き込まれたら一番最初に死ぬよ?


 なにそのイナバさんなら大丈夫でしょ見たいな顔。


 俺すぐ死ぬよ!?


 噂みたいに不死身じゃないんだよ?


「えっと、私も行くんでしょうか。」


「てっきりそうとばかり思っていましたが・・・。現地で指揮を取って下さるのですよね?」


「むしろ貴方が行かないでどうするんでしょうか。」


「そうよ、自分から誘っておいていかないなんてありえないわ!」


 あー、これあれですわ。


 強制参加って奴ですわ。


 行かないなんて言おうものなら参加した騎士団員含め全員の士気が下がってしまうだろう。


 逆に行くとなれば一気に士気が上がり、成功する可能性がぐっと上がる。


 人間という生き物は勢いで結果が変わってしまうのだ。


 機械とちがうのがそこなんだよな。


「も、もちろん行きますよ。何がなんでもガンドさんとジルさんを助けなくちゃならないんですから。」


「そうですよね。ビックリしました。」


「あ、あははは・・・。」


 ごめんエミリア、シルビア。


 お約束どおり危険な事に首を突っ込む事になりそうです。


「イナバ様・・・。」


「大丈夫ですよニケさん、こんなにもすごい人たちが一緒なんですから。何の心配もありません。」


「私もシルビア様のように戦えたらよかったのですが、皆さんの無事をお祈りしています。」


「詳しい事はグランさんに聞けば大丈夫です、宿は白鷺亭に行けば部屋を貸してくれると思うので此方が落ち着きましたら先に休んでいて下さい。」


「そんな。私だけ休むわけには。」


「気を張っていざという時に力が使えないと困ります。休む事も戦士の勤めとシルビアでしたら言うと思いますよ。」


「その通り、こいつは馬車馬のように働かせておけば良いのです。大丈夫我が騎士団が責任を持って貴女の主人をお守りしましょう。」


 なにかっこつけときながら俺をこいつ呼ばわりしてくれているのかなカムリ君。


 あとできつい仕事丸投げしちゃうぞ。


 それこそキマイラとの一騎打ちとかどうですかね。


「一応エミリアには伝えておいたけど、すごい怒っていたわよ。」


「仕方ありません、来て欲しいところですが距離がありすぎます。」


「こういう時フィフィの転移魔法がうらやましくなるわ。」


「リュカさんは使えないんですか?」


「私?ダメダメ、そっちの特性は全く無かったから。」


 精霊の力があっても駄目な場合もあるのか。


 なるほど。


 まぁ、俺の場合は二精霊の祝福をもらっても魔法一つ使えないんですけどね!


「そういえばメルクリアさんとは連絡つきましたか?」


「フィフィ?連絡はしたんだけど返事は無かったわ。」


「そうですか。仕方ないですね。」


 戦力にと期待したんだけど来れないものは仕方ない。


 前衛過多ではあるが歴戦の猛者たちだ、きっと大丈夫だろう。


 それにいざとなったら俺もドリちゃんとディーちゃんを呼べば良い。


 きてくれるだろう、たぶん。


「イナバ様準備は出来ております。」


「そうですね、今は少しでも早くたどり着かねばなりません。」


 今このときもガンドさんたちは戦っているに違いない。


 早く到着する事こそが今俺達に出来る事だ。


「皆さん、ダンジョンは深く待ち構える魔物は強大な力を秘めています。中はどうなっているかもわからない状態です。ですが、今このときも我々が助けに来る事を信じて戦っている仲間がいます。彼らの為にも少しでも早く現場にたどり着く事が我々に出来る最善の事です。ここに居るのは歴戦の勇士ばかり、我々であれば必ず出来るはずです!行きましょう、仲間を救いに!」


「「「「「「おう!」」」」」」」


 武器を掲げ全員が鬨の声をあげる。


 さぁ出発だ。


 必ず助けるからどうか間に合って・・・。


「ちょっと待ちなさい!」


 さぁ行くぞと全員が入り口に向かったそのとき、聞き覚えのある声がギルド中に響き渡った。


 またこのパターンですか。


「この声は・・・。」


「私を置いてどこに行くつもりなのかしら?エミリアに口酸っぱく頼まれているんだから、置いていったら承知しないわよ。」


 承知しないわよと言われても出てくるのが遅かったのは貴女なわけで。


 突如眼の前の空間が真っ黒に染まり、そこから小さな手と足がニュっと出てくる。


 いつもの制服と違い真紅のワンピースを身に纏っている。


 最後にこちらを睨みながら空間から出てきたのは・・・。


 エミリアの上司であり商店連合の重役。


 幼い見た目とは裏腹に実力は折り紙つきの魔術師。


 そして、リュカさんと同じ精霊師。


 期待していた最後の助っ人、メルクリア=フィフティーヌその人だった。

助っ人勢ぞろいです。

イケメンに始まり幼女に終わる。

そこにケモミミも飛び入り参加して絵面で言えばお祭り騒ぎです。

文章で申し訳ありませんが、その辺りは皆さんの脳内保管で宜しくお願いします。


勢ぞろいした所でいよいよイナバの不思議なダンジョン開幕です。

今回は自前のダンジョンではなくまさかの上位ダンジョンですが・・・。

頑張ってくれる事でしょう。

それに道中は敵も出てこない『はず』なので、安心して潜れます。

問題は大部屋のあるフロアで何が起きているのか。

そこは行ってのお楽しみです。


ここまでお読み頂きありがとうございました。

また次回もよろしくお願いいたします。

いつもブックマーク評価ありがとうございます。

感想などもいただけると作者が小躍りして喜びますのでどうぞ宜しくお願いいたします。


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