そのいち
「ふわぁ〜あ。…よし、今日もいい天気」
そう言って、動き出した娘の名はローラ・リスゼットという。この村一番の薬師だ。
「いってきまーす」
ローラは軽く支度を整えると、今日も元気にお店へと向かったーーー
「…あ、様子見に行かなきゃ」
少しの寄り道をして
ーー無事に店につき、扉の前の札を開店にしたが、しばらく待っても誰一人として訪れる気配がない。
「平和になったのは良いことだけど、お客さんが減ったなー」
あまりに暇なので呟いてみる。
「前まではひっきりなしに薬が売れたのに…。このままじゃ、赤字になる」
一人呟いてみるも、やはり客がくる気配はない。仕方なく、薬の調合をする事にした。手を動かしながらローラは考える。
(姉さんも帰ってこないし。
魔王が倒されて平和になって、お客さんも減ったし。
しばらく、貯めたお金でのんびりしようかな)
なんて事を考えながらも、手はしっかり動かすローラ。
ちなみにこの世界の人々は皆、魔力を持って生まれる。その中でも高い魔力を持ち、国に仕える者を魔導士、それ以外の者を魔術士と呼ぶ。魔導士、魔術士どちらになるのもその人の自由だ。
強いていえば、
魔導士は人々から尊敬され、身分も保証される。そのかわり、国の大事には駆けつけなければならない。
魔術士は人々から畏怖される存在だ。国に縛られる事はないが圧倒的に生きにくい。国に力を貸すかどうかは本人次第。
ローラは魔術士。姉のリーラは魔導士だ。
この店もリーラが開いたのだが(身分の証明がないと店を開くにも苦労する)、実際に働いているのはローラだ。姉は魔力の制御は得意だが調合が苦手だった。なので、接客を姉が調合をローラがする事で上手く回していた。
しかし、リーラは絶賛駆け落ち中で行方知れず。たまに届く手紙から様子を確認するくらいだ。
(駆け落ちなんかして、大丈夫なのかな。店を開けたのは嬉しいけど。リーラのおかげだしな。…何か頼まれたら協力しよ)
そんなこんなで、今日もローラは一人働き。誰一人と客が来なかった事を気にすることなく夕方になると店を閉め帰路についた。
(あ、また忘れるとこだった)
行きと同じく、少しの寄り道をしてーー




