表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

20章

 わたしは、バカだ。どうして、傘も差さずに、こんな所まで来ちゃったんだろう。

 財布も持っていないので電車もバスも使えなかった。だから、自転車を漕いだ。

 肺が痛い。サンダル履きだから足も痛い。全身はとっくにずぶ濡れ。ガチガチと歯が鳴って、震えが止まらない。うっすら目の前がぼやけて、体がなんとなく熱い。ひどい頭痛がする。

 でも漕いだ。ペダルを漕ぐしかない。道は判ってる。判ってるけど、でも何で漕がなきゃならないんだろ。こんなになりながら、どうして。

 何度も、あそこへは通った。いつまでも執着しちゃいけないって思うけど、それでも、あの場所はわたしにとって大事な場所なのだ。

 はねた泥が、体中を覆う。でも、わたしは気にしない。道路脇すれすれを走る。ガードレールのそのすぐ横の川は、増水し濁った流れが渦を巻いていた。大荒れの天候、最悪の状況だ。

 でも、道は開けている。ふと傍らを見れば、もう、ゴツゴツとした山肌が見えてきた。目的地は、もうすぐだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ