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帰路(2)

更新遅れてるけど許してください! オナシャス!

「へぇ、コロナ草って抜けるんだ?」

「抜けますよ。傷薬の治癒効果をを出すのにどうしても必要なものというわけではないのでただ痛くするだけに入れています。薬の治癒効果もお師匠様が改良した時点で他店を遥か後ろに置いているので私の代では改良しません」

「じゃあ私用に痛くないの作ってよ。ほら、アンタも欲しいでしょ痛くないの!」

「お師匠様からきつく言われていますので絶対にダメです。破っているのがバレたら埋められて舗装されてしまいます。……アルフォンスさんは恩人ですけど作りませんよ?」

「ケチー! んじゃまた一つお願いしたいんだけど」

「なんでしょう?」

「降ろしてくれない?」

「ダメです」

 そんな問答をしながら石畳を歩く。

 エレオノーレ、リンゼ、アルフォンスは無事にヴァーレへと帰還を果たしていた。もう日も殆ど落ちかかっており、西の空以外は夜の帳が落ちていて銀色の星の煌きを散らしている。

 本来なら夜色の街路も、〝命力〟と共に光精を込めた鉱物で作られた街灯で明るく照らされており、その下を行き交う人間や獣人などの多種族達の殆どが帰路をゆく者であり、未だに働いているものは少ない。

 ただこれから稼ぎ時になる飯屋や酒場、何時でも旅人を受け入れる宿屋などは扉を大きく開いて内の明かりと人の活気を外に押し出している。

「おかあさーん。なんであのおねえちゃんボロボロの服着てるのー?」

 側を通りがかった幼児がエレオノーレに背負われているリンゼを指差した。エレオノーレが曖昧に微笑み、リンゼが赤い顔を隠す様にエレオノーレの髪に埋めた。そのリンゼの様子を見た幼児の母親が手を引いて幼児の視線を外す。

「これなんて羞恥刑……?」

「私を心配させた事とアルフォンスさんに迷惑掛けた罪ですね」

 羞恥刑とは恥ずかしい格好をさせ、自分の名前要りの看板を首に下げてその町の大通りを歩かせる刑である。軽い罪を犯した初犯の者限定の刑であるため、店先から果物をちょろまかした子供が恥の粋を凝らした格好で歩く光景はヴァーレでも見ることが出来る。人の目を集めるという点ではリンゼが今置かれている状況はその通りと言えた。

 リンゼは顔をうずめているので目視での確認は出来ないが視線の気配とその鋭い聴覚が回りの疑問の声を捉えている。それらは主に子供の声で、大人たちはヴァーレに住んでいるだけあって事情を半ば理解しており、死地から生還した者を微笑ましく見ていた。決して嘲笑う者はいない。何も収穫がなくても生きて帰る事が出来ればそれで十分なのだ。リンゼが一人恥ずかしがっているだけである。

「別の意味で帰ってきたくなかった……」

「死体で担ぎ込まれるよりマシじゃないですか?」

「あーもう! とにかく降ろしてよ! ヴァーレに入ったんだから足元も大丈夫でしょ!」 

「足元の問題じゃなくて足の問題ですね。そこまで言うんならとりあえず降ろしますよ」

 エレオノーレが屈み、石畳に膝を突く。リンゼが自分の両足で立ち、二、三度足踏みしてから飛び跳ねる。

「ほら、ほら! 大丈夫でしょ!」

「ふう、ん。じゃあ自分の足で歩いてみますか」

 そうやって壮健を訴えるリンゼを微笑ましく見るエレオノーレにそれまでやりとりを側で傍観していたアルフォンスがこっそり言う。

「顔面蒼白で歩きながら体がどんどん右斜めになってきてますけど」

「転ぶまで見守りましょう」

 実にいい笑顔だ、とアルフォンスはエレオノーレを見て思った。まるでダメな子を見る母親のようなそれだ。

「あにゃ?」

 リンゼが今更と言うように傾いた視界に気付いた。その頃には斜めになった体が均衡を取れない段階に来ていて、当然の如く倒れかけたところでエレオノーレが両膝を掬い、背中に手を回して持ち上げる。

「だから言ったでしょう。もっと恥ずかしい格好になりましたよ」

 その姿はまるで絵本や物語にあるような騎士が姫を抱き上げる姿で、エレオノーレの生暖かい視線と顔が近くにある事により格好に気付いたリンゼの顔が真っ赤に染まる。そこに周囲の声が合わさって更に感情は加速し、

「もうい――!!」

 不憫に思ったアルフォンスが己のマントを被せてやらなければ羞恥の悲鳴が轟いていた事は誰の耳にも明らかだった。

ちょっくら短くてそんなに中身もないですが今日中か明日にもう一本更新するので許してく(ry

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