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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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149/199

149.後片付け

 翌日。


 ぽよんっぽよんっぽよんっ!


 ……分かった分かった……起きるから……。


 身体の上を跳ねるムイによって俺は起こされる。

 昨日……祭の夜はかなり遅くまで盛り上がったから、正直結構眠い。


 だけどまあ、祭っていうのは盛り上がるだけじゃない。

 というわけで頑張って起きる。


 皆で派手に盛り上がった後はお片付けの時間だ。




 ……それは向こうの倉庫へ、そのあたりの調理器具は全部屋敷へ。そう鉄板も。ゴミ箱の中身は全部焼却場へ運んでくれ。


 陣頭指揮を執りながら祭の跡片付け。

 とはいってもそう大変なものではない。


 皆とても行儀が良く、ポイ捨てなどもほとんど無かったので、あまり手間はかからなかった。


 ……ポイ捨てをした少数は……まあ祭で気が大きくなっていたんだろう。

 だからまあ、注意は必要だがあまり大げさには……。


「もちろん分かっています。思い知らせておきますのでご安心ください」


 いや、穏便に……。


「大丈夫です。暴力などは用いませんから」


 ……うん。

 まあ、じゃあ……よろしく頼む。


 一応穏当にしてくれるようには言ったが、それ以上は何も言えなかった。

 ちょっと怖かったのだ。




 そんなこんなで皆の助けもあって片づけはすぐに終わり。


 えー……それでは今回の第一回闘技祭、反省会を始めます。


「「「よろしくお願いします」」」


 代表陣を集め、反省会を始める。


 それではまず俺から反省点を……とにかく見通しが甘かった。それに尽きる。


 代表としてまずは最初に口火を切る。

 まあ第一回だから仕方のないところはあったかもしれないが、いろいろと甘かった。

 ほんと。


 かかる時間を見誤って一日予定だったのが急遽二日開催に……下手すれば三日開催になりそうだったし、初日の夜に作った焼きそばも需要を見誤って在庫がなくなった。

 家事妖精たちが突貫で麺を作ってくれたから良かったが、そうじゃなければ二日目の夜には出せなかった。

 他にもまあいろいろと。


「いいえ、見通しが甘かったのはこちらもです。予選でそれぞれの組の選手を集めるのに手間取りすぎました」


「思ったより移動に時間がかかりましたね……」


「それぞれの関門も準備時間がそれなりに必要だったしね」


「本戦の舞台修繕の時間もじゃな」


 俺に続くように皆が口々に反省点を言ってくる。

 もちろん時間の問題だけじゃなく他の問題も。


「会場の観客席はもっと多様性を持たせた方が良いと思う。水槽型の席が欲しい」


「日差しがキツかったよぉ……」


「舞台が広すぎるとの意見がありました」


「こっちは狭いって意見だったぜ?」


「武器も刃引きしていると感覚が違うという意見もあったぞい」


「手加減してくれるとは言えフェンリルを捕まえるというのは難しすぎるのでは?」


 会場や武器、予選方法の問題。


「お酒も料理も予想以上に必要でした」


「席やテーブルも足りず、地面に座って食べる者も居りました」


「料理やお酒はとても良かったのですが、それだけだと少し賑やかさが足りないと思いました」


 夜の部の問題。

 そして料理の……。


「いえ料理はとても素晴らしかったです」


「焼きそばもたこ焼きもお好み焼きも最高だったよー」


「非の打ちどころが無かったですね」


「酒にも合う素晴らしい料理でしたぞい」


「材料が少なかった以外の問題は全くありませんね」


 問題は一つしか無かったらしい。

 まあ、自分でも自信作だとは思うが。

 でもそのうち具はもっと増やしたいな、個人的な反省点としては。




 とまあそんな感じで皆で反省点を出しあった後は……改善点を話し合う。


「次は最初から複数日開催にするのがいいのでは? 住民が増えていくのなら出場者も当然増えるでしょうし」


「予選を時間のかからないものに変えたところでさすがに一日には収まらないだろうしね」


「観客席は次までに、どんな種族でも快適に過ごせるように作り直しましょう。舞台は……」


「今のままでいいのでは? 広いと狭い、両方の意見が出ているのなら適正に近いでしょう」


「武器は本戦の出場者なら刃引きなしで良いのでは? そのレベルなら問題なく寸止めできるじゃろう」


「あとはテーブルや椅子等ももっと増産しておいて……」


 議論は活発。

 皆ガンガン意見を出してくれる。

 そうしてそれらをまとめてもらい紙に記しておく。

 来年開催する時に備えて……って、いや別に来年も開催すると決めているわけじゃないけど。


「「「開催しましょう」」」


 あ、はい。




 そうやって代表会議を終えた後。

 昼食でも取ろうかと屋敷を歩いていると。


「ぬあ~~~~……よく寝たのじゃ~~……」


 人型状態で伸びをしているリーアとエンカウント。




「おぉ~お主か! 昨日は見事じゃったのぉ~……くあぁ……」


 あくびをしながらそう言ってくるリーア。

 やはりと言うべきか……今の今まで寝ていたようだな。


 昨日。

 リーアを受け入れると決めた後。


 とりあえず仮の宿として適当な宿舎に案内しようとしたのだが……俺の屋敷が良いとリーアは強弁した。

 理由を聞いたら……。


「この街で一番豪華に見えるからじゃ!」


 と、宣言。

 その目は子供のようにキラキラと輝いていた。


 別にそのキラキラに負けたわけじゃないが、断る理由も無かったので俺は了承。


 リーアは人型になってもかなり身長が高い……おそらく二メートルを超えている……が、俺の屋敷はこういう大きい種族も問題なく入れるように作られている。

 ので、問題なく受け入れられた。


 ……まあ、ベッドが小さくて収まりきらないというちょっとした問題はあったが、特注ベッドを作るまで複数ベッドを並べて対応する、という解決策を出したのでノーカンだ。


 それで、昨日はその複数ベッドにリーアが飛び込むところまで見送ってそのまま部屋を後にしたわけだ。


 あー……それで一応念のためにもう一回聞くが……本当にこの街に移住するってことで良いんだな?


 一晩寝てもしかしたら意見が変わっているかもしれないと思って俺は確認する。

 ……まあ変わってないだろうなー、と心の中で思っているが。


「む? もちろんじゃ。仮にも龍王が軽々しく自らの言を翻すことなどあるわけなかろう!」


 そう胸を張って断言してくるリーア。

 まあ、今日の朝起きた後アナウンスあったしな。


 というか仮にも龍王って言われても俺にはよく分からない……。


「……龍王というのは文字通り、龍……つまりドラゴンたちの頂点。その称号のことです」


 俺が首をひねっていると、後ろからやってきたリネイアがそう解説してくれた。

 その手には束になった書類。

 会議が終わったばかりなのにもう仕事を始めてくれているらしい。

 頭が下がる。


「もったいないお言葉です」


「んん? お前は……黒羽か?」


 あくびを噛み殺しながらリネイアに視線を向けたリーアがそうこぼす。


「ほう……お前もなかなかやるようじゃのぉ……昔を思い出すのじゃ」


 ……昔?


「数百年も前の話ですが……デモンズが名誉を目的に黒龍王に総力で挑んだことがあったそうで。」


 数百年前? そんな昔に総力で? それで結果は?


「壊滅したそうです」


 壊滅!?


「はい、生き残りはいたのでしょうが……ほとんどが命を落としたと」


 そうなのか……それじゃあリネイアは複雑じゃないのか? リーアを迎え入れて。


「いえ、何世代も前のことですし、仕掛けたのはこちらですから」


 そうか……。


 リネイアは嘘を吐いているようには見えない。

 いやリネイアに嘘を吐かれたら俺は見抜けないと思うけど。

 まあそんな昔の話だったら折り合いは着けられるのかな?


 ……というか数百年前のこと昔って……ドラゴンってやっぱり寿命とかも長いんだろうか。


「まあ人からしたら長いかもしれんのう」


 のんきにそう言ってくるリーア。

 こっちもデモンズに特に思うところはなさそうだな。

 リネイアの説明通りなら一方的に襲われた側のはずだが。

 いやでも返り討ちにしてるならこんなものか?


 あー……まあ、とにかく、仮に何か思うところがあったとしても……昨日も言ったが暴れるようなことはしないように。


「ハッハッハッ! 心配する必要はないのじゃ! 先にも言ったが仮にも龍王とあろうものが軽々しく前言を翻しなどせん!」


「こちらも本当に思うところはありませんのでご心配なさらず」


 うん。

 ありがとう。


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