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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 作戦――作戦と呼べるのかも怪しい戦いとなるが、これから生き残ったプレイヤー全員で北から雪崩れ込んで来る寄生トルーパーの津波へと立ち向かうのだ。

 群れではない。 あの規模になるともう津波と形容した方が適切なのだ。

 

 このフィールド全域に散っていたエネミーも合流し、正確な数は数えるのも馬鹿らしい。

 特に機動性に劣る機体は前線に立って死ぬまで敵の数を減らす事となる。

 逃げる事など不可能だからだ。 機動性に優れた機体は前線で戦う者も多くいるが、それ以上にやらなければならない事があった。


 「――ボス個体――要は寄生コアの生産工場がどこかに居るはずだ。 そいつを仕留めれば寄生トルーパーがこれ以上増える事は避けられる。 つまり我々はあの津波を受け止める班と突破して敵の本陣を叩く班とで別れなければならない」


 アメリカ側のプレイヤー達との話は既に済んでいた。 

 彼等も黙ってやられるつもりはないようで二つ返事で頷いたようだ。

 ヨシナリは後者の班に入るつもりだ。 「星座盤」の残ったメンバーは全員防御に回る。

 空中での高機動戦闘自体は可能だが、航続距離の関係で難しかったのだ。


 もう時間がない。 プレイヤー達は大急ぎで防御陣地を構築しており、メンテナンス用のハンガーからは大きな損傷を負った機体が無理を押して出撃しようとしていた。

 タカミムスビは準備があると言って早々に機体へと戻っていき、ヨシナリも出撃に備えてコックピットへと戻る。 マルメルやふわわ達は既に機体に戻っており、いつでも出られるといった様子だった。


 「お、戻って来た。 どうだった?」

 「どうもないよ。 簡単な打ち合わせって感じだ。 そっちは?」

 「例の取り付かれた機体の処理に関しての話をされたわー」


 寄生トルーパーには成立させる為の条件があるらしく、検証が済んだ情報に関しての共有がなされたようだ。 

 あの機体群は損傷と動力をあのコアが補って動いているのは分かった。

 岩などの結合に使っていた神経のような物を機体に張り巡らせる事で損傷状態を無視して無理に稼働している。 そこは問題ではなく、本当に厄介な点は挙動にあった。


 オリジナル程ではないが、本人に近い動きをするのが寄生トルーパーの脅威度が高い要因だ。

 事実、カナタ達の機体は時折、本人かと疑いたくなるような挙動をする所が散見された。

 以前の防衛イベントに似たような寄生タイプの武装を操るエネミーが居たが、あの場合は規格が統一されているといった印象だったので、今回のケースとは毛色が違う。


 ――ヨシナリの印象としては本人の挙動をトレースしたチートに近い物と認識していた。


 さて、そのチートに近い動きをどうやって成立させているのか?

 「思金神」の見解ではアバターにあるとの事。 あのコアから伸びる神経を使ってアバターからプレイヤーの個人データを読み込んでいると思われる。 


 根拠はコックピット周りを破壊された機体は露骨に動きが悪かったとようだ。

 加えて原型を留めない――具体的には六割以上の損壊がある機体は放置されるか素材としてエネミーのパーツにされるかのどちらかになる。 つまりは寄生対象として扱われない。


 「感じからして認識されないんじゃないかって話だったな」

 「なるほど」


 ホーコートの延長と見るべきか、発展形と見るべきか。 

 プレイヤーのモーションデータの抽出と反映。 

 本人をコピーするだけならそこそこの再現度を出せるのだろう。

 

 ホーコート達の使っている物の完成形はこの先にあるのだろうな。

 何の目的でそんな代物を作っているのかはさっぱり分からないが、ヨシナリとしてはどうでも良かった。 今、考えるべき事は敵の寄生コアの製造個体の処理。 


 突入のタイミングはぶつかったタイミング。 

 交戦のどさくさに紛れて機動力に優れた機体が突撃する形になる。

 万単位の人数を組織的に動かす事は難しい上、時間もない。 その為、独自の判断で動く事になる。


 「んじゃぁ、俺達もボチボチ行くか」

 「そうやねー。 ウチも行きたかったけど今回は留守番しとくわ」

 「ですねー。 ここはお義兄さんに美味しい所を譲りますよ。 くれぐれも変わり果てた姿で返ってこないでくださいよ?」


 振り返るとグロウモスが分かっていると言わんばかりに頷いていた。

 

 「では行ってきます」


 ヨシナリはそう言ってホロスコープを変形させると急上昇。 そのまま空へ。

 人数が多く時間がない事もあって作戦はシンプルだ。 

 主力が敵を抑えている間に遊撃部隊が敵の重要固体を処理する。 非常に分かり易い。


 空から俯瞰すると悪い視界でも遠くから無数の何かが近寄ってきている事が分かった。

 見ている間に射程に入ったらしく砲撃が始まる。 無数の砲声に飛び交う砲弾にミサイル。

 僅かに遅れて着弾による無数の爆発。 それに紛れる形で無数の機体が突っ込んで行く。


 撃破標的のいる可能性が高いのは最後方。 やられると不味いのだ。

 一番、守りの硬い場所にいるであろう事は想像に難くない。 狙われ難いように高度を取って無数の機体が空を行くが、不意に先頭の一部が撃墜された。 


 やったのはレーダー表示上は味方機。 つまりは寄生トルーパーの群れだ。

 ガスによって視界は最悪。 乱戦には最悪な環境だが、やるしかなかった。

 識別は味方だが、シックスセンスがあるヨシナリにとっては看破は難しくない。


 寄生トルーパーはジェネレーターの反応が独特だからだ。

 だから、こちらに向かって来る十数機が全て的だという事ははっきりしていた。

 ソルジャー+、エンジェルフレーム、ノーマルキマイラ+。

 

 流石にエネルギーウイング装備の機体は足が速い。 もう前線近くまで斬り込んで来た。

 

 ――所詮は猿真似、か。


 挙動の質自体は決して悪くない。 左右から挟んでの挟撃。

 ただ、タイミングが噛み合っていない事もあって、簡単に躱せる。

 引き付けた所でアトルムとクルックスで左右の機体のコアを正確に撃ち抜く。


 鉱物で隠していたエネミーと違って寄生トルーパーの場合はコアが大きすぎる事もあって隠せずに剥き出しの状態でしか使えない。 そこらの鉱物で防御すればいいとは思ったが、挙動をトレースする関係であまりバランスを崩せないのだろう。


 この程度なら対処はそこまで難しくはない。 このまま突破して俺が仕留めてやる。

 そんな気持ちで機体を加速させた。


誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
生産工場も誰かに寄生しているのでしょうか……それならできるだけ弱めな機体に寄生して貰いたいですがそうはいかなそう
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