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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 カバーに入ったベリアルには短剣で対処。 

 ふわわの太刀は剣と自前の反応、手数の多いベリアルは短剣。

 相手に合わせて最適な装備を瞬時に選択して切り替える。 正直、意識して他者を痛めつけるような戦い方をする事もあっていい印象はないが、技量という点で見ればトップクラスだ。


 総合力で言えば、ふわわ、ベリアルを越える。 

 ベリアルが分身を使う素振りを見せた瞬間に機体から電磁パルスを放射。 

 出現しかけた分身が掻き消える。 この時点でベリアルの複数分身の正体がかなり正確に見えて来た。


 恐らくはドローンに近い代物だろう。 

 分身が長持ちしないのはジェネレーターであるウァサ・イニクィタティスの影響範囲外から離れる為だ。

 パンドラもそうだが、エーテルリアクターはそれを中心にした一定範囲のエーテルを操作できる。

 

 それを解決する為にはどうすればいいのか? 

 リアクターと同様の機能を備えた代物を別で用意してやればいい。

 エーテルの精製機能がない代わりに制御機能を備えたドローンを核に形状を維持。


 持続時間が伸びるだけでいつまでも維持は出来ないが、攻撃行動を取らせる所までは問題ないのだろう。

 ツェツィーリエを仕留めた時からその点ははっきりしているが、あまり複雑な行動はとれないと見ていい。 つまり、潰すのは動き出す――正確には分身が成立する前だ。


 形成が完了し、エーテルに守られる前に電磁パルスでドローンを処理するのが最適解。

 タカミムスビも似たような事をやっていたと思い出す。 

 初見でここまで完璧に処理するのは何なんだよと思いながら、意識を映像へ戻す。


 戦闘中も思っていた事だが、さっきまでのこの敵機は明らかに防御を重視していた。

 ここに来て攻撃に転じたのは分断に成功した事もあるが、味方がやられた事が想定外だったとみていい。 本来のプランでは味方が後衛を処理した後、余裕を持って前衛を処理するといった所だろう。


 傾向的にはマウントを取れる状況を作っての嬲り殺しでも企んでいたのかもしれない。

 つまりこの状況は敵側として不本意な物であった可能性が高く、それだけ追い込んだ証拠でもある。

 ベリアルとの打ち合いに移行しようとしていたが彼は敵の想定外の行動を取る。


 敵機の短剣を掴んだのだ。 打ち合いでは分が悪いと判断して拘束に切り替えた。

 そこをユウヤが叩きに行ったが、敵機が短剣を放棄して転移。 

 ここからの動きが秀逸だ。 転移先にベリアルが短剣を投擲、敵機を狙う振りをして武器を失ったふわわに渡したのだ。


 「これは最初から狙っていたのか?」

 「無論。 ――といいたい所だが、かの走狗が転移した先に姿が見えたから放ったまで」

 「折られてもうたから助かったわぁ」


 読んだのではなく即興。 敵味方の位置を判断して行動に移ったとの事だ。

 視野が広がっている事に流石だと思いながらそのまま先へ。

 ふわわは初めて扱う武器にも関わらず短剣を器用に手の中で回転させながら薙ぎ、突きを織り交ぜる。

 

 上半身の防御に意識を振った所で蹴り。 敵機はそれを読んで蹴りを繰り出し、両者の足が衝突。

 それにより互いの距離が開く――と同時にツガルが突撃。 明らかに狙っていた動きだ。

 素晴らしいのはその直後。 彼の機体ボーディングパイクは重力制御を用いた直線加速による突進攻撃が最大の強みであると言える。 そして敵もそれをよく理解していた。

 

 だからこそこれを想定できなかったのだろう。 ツガルは機体を空中でスピンさせたのだ。

 ブーメランか何かのように強烈な横回転による攻撃範囲の拡大に反応しきれず機体に大きな傷が刻まれた。 ツガルが映像を見てざまあみろと拳を握る。


 「お見事です。 温めてた感じですか?」

 「元々、攻撃のバリエーションを増やす事は考えてたんだよ。 ほら俺の機体ってあんな感じだからどうしたものかなって思ってたら普通に横回転でいいんじゃねぇかって思ってな」

 

 確かに形状を考えると直線的な攻撃になりがちだが、推進装置が重力制御である事が活きて来る。

 あれは通常の推進装置と違って機体の方向転換が容易だ。 そこを利用した攻撃は素晴らしい。

 アレと突進を組み合わせるだけでも躱し辛くなるはずだ。 加えて彼の機体は各所にブレードが装着されている事もあってかなり余裕を持って躱さないとダメージは避けられない。


 攻撃のバリエーションとしては手放しで良いと言える物だったのだが、その後がよろしくなかった。

 一撃入れて気をよくしたツガルがそのまま追撃に入る。 横回転は便利ではあるが、一度見せてしまった以上は突進と機銃を絡めて相手に警戒させないと効果が落ちるのだ。


 特にあのレベルの相手となると同じ攻撃手段を擦るのは危険だった。

 ツガルは再度横回転による斬撃を繰り出したのだが、敵機の処理は満点に近い。

 仰け反って躱しながら機体を一回転させて所謂、オーバーヘッドキックのような体勢で蹴り飛ばしたのだ。 ブレードの間合いから離れつつ攻撃を当てているのは凄まじい。


 ――普通は一回で見切れる挙動じゃないんだけどなぁ……。


 よろしくないとは思ったが、大抵の相手には数回は通用するクオリティの攻撃だ。

 それを二回目でこれなのだ。 蹴り飛ばされて体勢を崩されたところを大剣で斬撃。

 即座にベリアルがカバーに入るが敵機の狙いはそこだったようだ。


 大剣を白刃取りしたと同時に敵機がベリアルの背後に転移。 

 振り下ろすモーションに入って受ける直前には消えていた。 

 転移先はベリアルの背後。 彼の技量なら躱せなくもないタイミングではあったが、後ろにツガルを庇っている以上は逃げられない。 結果、背後からの一刺しを受ける結果となった。


 「これ、最初からベリアルが狙われてたな」

 「……すまねぇ」


 ここまでの戦闘の動きからベリアルが味方のカバーに入る頻度は高い。

 ツガルを仕留めに行けば割り込むと読んでいたのだ。 


 「気に病む事はない。 これは俺の未熟が招いた不覚。 奴の賢しさが我が叡智を上回っただけの話だ」


 ベリアルは小さく笑って気にするなと暗に伝える。 

 ふわわが液体金属の曲刃を投擲して気を逸らした後、そのまま短剣で斬りかかりに行く。

 武器の差がなくなった所為か攻撃の質が変わっていた。 


 力任せとまでは行かないが、一撃に込める力が増しているように見える。


誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
面白すぎて一気に全話読んで、パラダイムパラサイトも買いました!応援してます!
近接戦型のオペレーターは流石の実力を見せつけてきますね〜 嬲り殺しが好きな戦闘傾向はさておきww そして味方に足を引っ張られたとは言わないベリアルはもう孤独な王ではなく仲間を守り、仲間を導く実力を身に…
やっぱりベリアル自体は成長してるようにしか見えないです 守護対象の味方も優秀なら欠点でも何でも無いですし性能差の激しい相手に個人技で挑むことの無意味さはふわわさんが証明してしまいました 運営側はオーバ…
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