2-54.明け
気まぐれトーカァアア‼
屋上での話し合いから翌日。
アイリス、ランバート、ロイスの三人はいつものように食堂で朝食をとっていた。
しかし、そこにいつも一番乗りで居るはずのアレクの姿はない。
いつもの朝の寮食堂はにぎわっている。
特にいつも四人で一つのテーブルを囲んで食事をとっている四人パーティのテーブルはいつも世間話やダンジョン攻略の話などで盛り上がっていた。
しかし、今日の奴らのテーブルは静かそのものだった。
誰一人喋ろうとせず、ただ黙々と食事をとっている。そして、そのテーブルに座っている三人の表情はとても暗い。それに、いつもは四人そろって食事をとっているのに、今日は一人足りていない。
あのパーティの中心人物でもあった一人の男性生徒の姿が見えないことに、寮生活を送っている生徒たちは疑問を持っていた。そして暗い雰囲気をまとって食事をとっている三人に食堂に居た生徒たちは誰も何があったのか話しかけることが出来ず、ただ疑問の眼差しを送ることしかできなかった。
ただ静かに食事をとる三人。
「…あの…っ! き、昨日は…ぼ、僕のせいで…そ、その…すみませんでした…」
ロイスが突然謝りだす。
この雰囲気を作ってしまったのは、昨日の自分の愚行が原因だと思いいたったようで罪悪感を感じていたのだった。
「どうしてお前が謝るんだ?お前は悪いことしてねぇだろ? …気にすんな」
「そうですよ…ロイスさんが謝ることは…ないですよ…」
ランバートもアイリスもロイスには非はない、と言う。本心だが、二人ともなんとも歯切れの悪い返事を返してしまう。ロイスは悪くない、そうは分かっていても、拭いきれない罪悪感があったからだ。
「そういえば肝心のアレクの姿が見えないな… あ、いや…まぁ、あたりまえ、か…」
ランバートはアレクがいないことに疑問を持った。
別に謹慎中の身とは言え、寮内にある食堂で食事をとってはいけないという訳ではないはずだ。昨日の話を続きをここでしようとは思わないが、いつも四人で食べていた恒例行事だったので、つい言葉に出てしまった。しかし、すぐに失言だと思い語尾を濁した。
「いえ… 確かに今日はアレクさんの姿は見てないですね…」
昨日のことがあったから、とは声に出さなかった。
声に出さなくても三人とも理解していたからである。
「…今日の放課後。 アレクさんの部屋に行きませんか? 私…もう一度しっかりとアレクさんと話したいと思います!いや、話さないといけないと思うんです!」
「そ、そうだな… 俺も…まだ聞きたいことあるし…話したいこともあるしよ… 俺も行くわ」
「ぼ、僕も行きます! 昨日のこと…謝りたいですし…!」
その後、全ての授業を終えて放課後に三人は集まった。
三人はそれぞれ決意を決め、アレクの部屋に乗り込むべく、アレクの部屋に向かう。
そしてアレクの部屋に着く。そしてコンコンッとノックをするが、部屋の中から応答はない。
まだ寝ているのかな、と思い再度、今度は強めにノックをするが応答はなかった。
ランバートがこれはおかしいぞ?と思いアレクの部屋のドアノブに手を掛けると、ギィッと音を立てながら扉が開いた。どうやら鍵はかかっていないようだった。
三人はおかしいと思いながらも部屋の中に入る。
相変わらずの殺風景の必要最低限の家具(ベット&机)しか置かれていない部屋だったが、机の上に『S7』のバッジがぽつんと置かれているだけで特に変わった点は無かった。
そしてそこに―――――――アレクの姿は無かった。
それから二週間の謹慎明けまでアレクの姿を見た者は誰一人としていなかった。




