2-51.告白、そして怒り
キーマグレトーカ‼
こ、更新が遅れてしまい申し訳ございませんでしたッ‼‼
「まぁいいか。 やっぱりあれくらいの話じゃ納得してくれないと薄々思ってたわ…」
いつの間にか屋上にやってきていたアレクの姿に三人は声を失う。突然現れたことに声を失ったこともあるが、それよりも「あれくらいの話じゃ」という部分に妙な納得感をしていた。
「やっぱり… あれは私たちを意図的に遠ざける為の話…だったんですね」
「あぁそうだ。 あの話に疑問を持たれた時点でここで言い逃れ鎌しく話をしても無駄だからな。正直に全部ぶっちゃけに話に来たんだよ」
アレクは全部ぶっちゃけに来たと言い、アイリスたちの近くにあったベンチに座る。アレクの眼をいつもは見せない真剣な瞳をしていた。それを三人は感じ取っていた。
「じゃ… 俺たちの疑問に全部答えてくれるってことだよな? 一応聞くが、なんであんなことを言ったんだ?」
「お前ら三人、いやアイリスとランバートにアクアリアの事を頼みたかったからだ。 トールとミルベリアは元々アクアリアと懇意の仲だとすぐにわかった。まぁ家柄上会うこともあっただろうからな。しかし、あいつらだけじゃ足りないんだ! アイツを護り切るには足りなさすぎるんだ! 実力も人望も…気遣いから優しさ、全てに至るまでアイツらだけじゃ不十分だ。 だからアイリスとランバートの二人にはアクアリアの元に行ってほしかった」
「それってつまり… 俺とアイリスはお前に利用されていた、ってことなのか?」
「……ぶっちゃけると、そういうことになっちまうな」
「て、てめぇ!!」
ランバートがアレクを殴ろうと大きく腕を振り上げる。しかし、その振り上げた腕をガシッ!とアイリスが止める。ランバートはなぜ止めるんだ、とばかりに暴れるがアイリスにがっちりと止められる。
「どうして止めるんだ、アイリス!」
「まってランバートくん! お願いだから!」
「おれは… 俺はこのクズ殴らねぇと気が済まねぇ!利用されてたんだぞ!!」
「だから!それを待ってって言ってるの!」
二人の押し問答が続く中、ロイスの一言で二人が止まる。
「アレクさんの言葉に嘘は無かった。だけど、どうしてそんな悲しそうな顔をして言うんですか?」
「…どういうことだッ!?」
「……どういうことですか‼」
「僕たちを利用していたのは分かりました。だけど、利用していただけの人なのに、どうしてそんな悲しい顔をしているんですか? 僕なら、利用していた人に感情移入などありません。それに、面倒見ようとするなんて絶対にしません。それなのに、アレクさんはわざわざ僕を助けてくれたり、道を示してくれた。僕をアイリスさんやランバートと協力して鍛えてくれたし、ダンジョン攻略もしてくれた。一緒に日々を楽しんでくれていた。 それはどうしてですか? 一緒に居るうちに感情移入でもしたのですか?それとも、それ込みの利用計画だったんですか? だけど、それなら余計に不自然です。 どうしてそんな悲しそうな顔をするのか… アレクさんの本当の事を教えてください。」
「…………」
ロイスの真剣な問いかけにアレクは黙りこむ。
二人はどういうことだ?とばかりにアレクの方に顔を向ける。
(……ロイス、お前はやっぱり恐ろしい奴だな。幼少期から人をよく見て観察してきたからこそ身に着けたその恐ろしいほどの観察眼に加え、相手の心理を見破る洞察眼… 本当に凄い能力であり、恐ろしい能力だ…)
アレクは一つ大きく深呼吸をして、ぽつりぽつりを話し始めた。
「…俺の前世の名前は『雪村幸樹』 アクアリアの幼馴染であり、想いを告げることは無かったけど、朱莉に片想いをしていたにも関わらず、アクアリアを死なせてしまった情けない男の話だ――――――――――――
アレクは全てを話し始めた。
そこに嘘偽り、欺きの念は感じられなかった。
部屋で聞いた話を大きく違う部分が一つだけあった。
部屋では「俺たちが殺した」と言ったのに、今は「死なせてしまった」と言い換えている。二つの言葉は同じ「殺した」だけど、意味が全く異なる言葉だ。
この場に居た三人ともその言葉遣いに大きく疑問を抱いただろう。しかし、アレクの話を最後まで聞くことにした。なぜなら、最後まで聞けばきっと理解できるはずだから、と。
※※※
―——————と、まぁ… 計画通りこの学園で一方的な再会を果たすことが出来たって訳だ。」
アレクはそう言って、話を終わらせた。
前世での話から神界での出来事に関しては全て客観的な真実だけを話した。転生してからのことは色々とぼかして話した。俺の師匠であるヴェルさんは王都では悪名で有名だ。師匠のことは偶然出会った剣の達人を師事して修行を着けてもらった、というくだりで説明し、魔界での修行のことなどは全て省いた。
「…俺とアイリスはお前の計画通りに進んだ、ということか?」
「まぁ… 正直に言えばそうなる… 俺はアイリスとランバートにさっきも言った通り、アクアリアを助けてやってほしいと思っている…っ‼」
アレクがゆっくりと頭を下げる。
「自分勝手な理想を二人に押し付けている図々しさと三人を騙して利用していた事については謝罪する… それでも、恥を忍んで頼みたいんだっ‼ どうか、アクアリアを… 俺の幼馴染を助けてやってほしいんだ…‼」
突然頭を下げられ、今度は利用ではなく、お願いをしていることに三人は驚愕した。
傲慢のような性格だけど、どこか謙虚さがあり、余裕と人一倍大きな器量、優しさを兼ね備えた人物、それがアレクの三人の共通の評価だった。
しかし、そのアレクが実際に目の前で頭を下げている。
アレクのような圧倒的な強さを持っていて傲慢になる者は多い。権力を手に入れた政治家や官僚、役人が思いあがって調子に乗るようなモノだ。
しかし、アレクは自分の実力を鼻にかけるようなことはしても、決して自分の力を奢るようなことはしない。それはアレクの戦いを見れば一目瞭然だった。
アレクの戦いは一言でいえば『横綱相撲』だ。
一見して視れば、俺の方が強いから、と相手を押さえつけるような戦いに見えるだろうが、実はそうではない。アレクはこれまで色んな生徒と決闘戦を行って来た。そのたびに同じ戦術で戦っている。相手の全力を出させてから、その上で相手を圧倒的な強さで倒す。
しかし、アレクは『倒す』だけで決闘戦を終わらせないのだ。
戦い終わった相手に何がダメだったのかの指摘をしている。まるで教師が生徒に諭すように。大抵の生徒はアレクから貰った指摘を素直に聞いているが、中には「強者の余裕かよ!」とバカにする者もいたが、それでもアレクはしっかりと改善点と改善法を提示している。
「なぜそのようなことをしているのか」とアイリスが訪ねたことがある。
そんな質問をしてきたアイリスにアレクは普段通り答えてくれた。アレク曰く、単純に相手の観察と戦力、手段の模索の為だ、と。
「別に自分の強さを誇示しようとは思っていないよ。 ただ俺が相手を一瞬で倒してしまっても相手は何も学べないし、学ばないだろう? 自分の戦力が相手に通じるかどうか身をもって体験し、負けた後に何が通じて、何がダメだったのかを自分で理解できるようにしてやってる。 あぁ… あとは俺から対戦相手のアドバイスの為、かな…?」
アレクの修行観念はヴェルに似ている。というよりそれしか知らないのだ。実践の中で学んできたので、実践の中で学ばせることしか知らないのだ。
しかし、自分が一瞬で倒してしまっては相手は何も学べない。
ヴェルとの初めての戦闘訓練の時もヴェルは初めは好きなように攻めさせてくれた。そのうえで倒され気絶させられてきた。この戦術は通じなかった、ならこれではどうだ?と自分で考え、実行してきて強くなったアレクだからこそ思いついたアレクなりの考えた結果故の行動だった。
アレクが頭を下げたことにランバートは…
(…まぁよくも堂々と利用していた相手に全て暴露した上で、まだ頼み込む…か…… よっぽど追い詰められているのか…? いつも余裕物故居てるアレクらしくねぇ…)
自分の目的遂行のために相手を利用する、このことについてはアレクの話を全て聞いた後だからこそ理解できる。いや、理解することが出来た。それだけアクアリア殿下の事を考えてのことだろう、と。
ランバートはどうしても腑に落ちないことが一つだけあった。
「どうして自分で助けようと思わないんだ? アレクは幼馴染であるアクアリア殿下の為に強くなった、それには俺も納得した。 だけど、それなら余計にアレクの行動が意味が分からない。どうして折角めちゃめちゃ強くなったのに、自分の力で今度こそ助けよう、と思わずに、他人を利用しようとしてるんだ?」
もっともな疑問だ、とアレクは思った。
確かに今のアレクは模擬戦や決闘戦などのルールありの試合ならともかく、なんでもありの殺し合いである戦場においては無類の強さを持っている。例え人間界最強の生物であるドラゴンや魔物が群れとなって一斉にせめて来たとしても、みんなを護り抜ける自信も実力もある。
しかし…
アレクは「自分で守り抜こう」とは思わなかった。
否、考えられなかった。
アレクは、ランバートの質問にどう答えようか、どう納得してもらおうかと思考を巡らせていたが、そこにロイスの質問が突き刺さる。
「僕もまだ答えてもらってないです! どうして、僕を助けようと思ったのか… 今の話を聞いてもまったく理解できないです。むしろ、助けるメリットがないと僕は思いました… どうして最下位の僕を助けてくれたんですか?」
確かにアレクの話ではロイスの疑問には答えられていない。
ランバートの方が先に質問したが、ここはロイスの質問に答えることで少しだけでも時間を稼ごうと思いロイスの質問から答えることにした。
「ロイスを助けた理由はな… 単純に昔の幼馴染と自分を重ねただけだよ。 ただ虐められているだけの幼馴染と、それを知っていて尚も保身に走って見なかったことにした自分に嫌気がさしただけだ… もう何も出来ずに後悔するのは嫌なんだ…」
「……じゃどうして「鍛えてやる!」と言ってくれたんですか!? あの場で放置すればよかったじゃないですか!」
「ロイスには俺やアイリスと同じ『護りたい大切な何か』があるんだろ? アイリスには話したようだけど、俺も知っていたよ。 さっき言っただろ?昔の俺と重ねた、と。 ロイスにはその護りたい大切な何かを護れる男にしてやりたい、と思っただけだ。 いうなればただの自己嫌悪から来た気まぐれだな」
「それとランバートの質問に関してだけど… 俺にはもう不可能だからだよ」
「…不可能って…どういうことだよ?」
ランバートの怒気のはらんだ声が返ってくる。
「俺にはもう幼馴染を護る資格も傍にいる資格もない、からだょ―――――ゴンッ‼‼
そう発した瞬間、アレクはバキッと思いっきり頬を殴り飛ばされた。
鈍い音が静かな屋上に響き渡る。
アレクは殴り飛ばされ、先ほどまで座っていたベンチに倒れ掛かるが、ベンチの背の部分を持って倒れ込むのを何とか踏みとどまる。
イテテ、と言いながら殴った相手を見上げる。
そこには激怒の表情を浮かべたロイスの姿があった。
(。-`ω-)さ、サボってた訳じゃないんだから、ね!
(´▽`*)すみませんっ! 轍のヤロウォ!サボってましたよ!
Σ( ̄ロ ̄lll)サ、さぼってねぇーからっ!サボってないからね!
( ̄▽ ̄)諦めろ!お前は… 既に『有罪』だ。〝GIRUTELI〟
更新が開いてしまいすみませんでした(>_<)




