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2-33.仕組まれた会場

気まぐれトーカ!(≧▽≦)

「うおりゃああ!!」

「はぁあああ!!」


アイリスとランバートが一斉に俺に斬りかかってくる。

ランバートは上段、アイリスは下段からとお互いの邪魔にならないような軌道を描いて斬りかかってくる。対するアレクは木刀で下段からのアイリスの一撃を弾きつつ、ランバートの上段からの斬り下ろしを身を捻って躱す。


「なっ‼」

「ちっ!」


一撃を躱されたランバートが追撃を放とうと身を翻した瞬間、目の前のアレクの木剣が迫っていた。一撃を躱し後ろに回り込んだアレクが無防備のランバート目掛けて木剣を振り下ろしたのだ。



パ――――――――――――――ンッ‼



「グフッ‼」と小さな悲鳴を上げたランバートの顔面にアレクの木剣が見事にクリーンヒットする。次の瞬間、ランバートが闘技場からはじき出される。致命傷を負ったと判断され弾かれたのだ。



「ランバートさん!」


ランバートが外に弾かれたことで二対一という数の有利が消えたアイリスが外に弾かれたランバートの方を見て声を上げる。その一瞬を隙にアレクがアイリス目掛けて一撃を放つ。



「…っ‼」


その一撃を何とか反応したアイリスが受け止めるが、アレクの前蹴りがアイリスの腹部に命中し、アイリスもランバートと同じく外に弾かれた。



「…まだまだアイリスは甘いな。仲間の身を心配するのはいいことだけど、戦闘中に相手から目を逸らすのは厳禁だぞ! それとランバートは一々挙動が大きすぎる。もう少しコンパクトにするといいと思うぞ。コンパクトな剣筋に変えてもランバートなら問題なく力を出せるだろ? せっかく筋力増加の贈与(ギフト)があるのに宝の持ち腐れになるぞ?」


アレクが外に弾き出されたランバートとアイリスの方に向かって歩きながら今の戦闘訓練の反省点を上げていく。今は午後のラスト一コマの授業『戦闘訓練』の時間だ。


普通の戦闘訓練の授業では先生や雇われ教官から指導を受けるのだが、Sクラスは基本的に模擬戦オンリーだ。元々基礎が出来ている優秀な生徒しか所属していないので、今はひたすら模擬戦でお互いを鍛え合うのが目的だ。


アレクはランバートと始め模擬戦を行っていたが、途中からアイリスが「コンビネーションプレイに挑戦したい!」と言い出したので、とりあえずランバートとコンビを組ませてやらせてみたが、まったくダメダメだった。


お互いがお互いの邪魔をしあって居て、結局お互いがお互いの邪魔にならないように気を付けながら戦うというぎこちないコンビプレーを見せられる結果となった。


誰が見てもダメなのは見てわかるが、実はアレク自身も「コンビプレー」と言う技術や経験をしたことがないのでどうアドバイスすればいいのか悩んでいるのだ。結果「とりあえず模擬戦しながら確認しようぜ!」ってことになり戦ったのはいいが、余計に酷くなった気がするのだ。


これなら一対一で模擬戦した方が合理的だと思われる散々な結果だ。



「そもそもコンビプレーって必要あるのか?」


アレクがそう問いかける。


「必要ないと思うけど… けど練習はしておいた方がいいと思うぜ」


「そうですよね。いついかなる時でも誰とでも一定以上の技術を発揮するために必要な技術だと思います!」


「確かにそうだよな…」


実際、多人数で協力してダンジョン攻略を行うときには、仲間とのコンビプレーやチームワークが重要視される。確かに個人の卓越した技術や実力は必要だが、ダンジョン攻略において重要視されるのはチームワークなのだ。



「やぁやぁお困りだね諸君!このロベールが教えてあげようか?」


軽いノリで突然姿を現せるロベール。初めて会った時は真面目な好青年的な印象が強かったが、調子に乗るとお調子者のような奴に代わることがある情緒不安定な奴なのだ。



「私がコンビプレーの精神を教えてあげようか?」


「ロベールは経験あるのか?」


「当然だとも! 私が教えてあげよう!」


残りの授業時間はロベールからコンビプレーの精神とやらを学んだ。ちなみにロベール・ランバートペアとアレク・アイリスペアで二対二の模擬戦を行ったが、やっぱり個人個人の戦いとなってしまった。


アレクvsロベール

アイリスvsランバート


それぞれ別々に戦い始めた模擬戦となった。

ちなみに勝敗はアレク・アイリスペアの勝利だった。



「そろそろ授業を終わるぞ。各自ぼちぼち解散していけ! それじゃ本日の授業はこれにて終了、おつかれさま」


ジョナ先生が授業の終了を告げ、本日のすべての授業が終了する。放課後はそれぞれ自由行動だ。研究会に参加する人、それぞれ模擬戦を行う者・学年ランキング戦に参加する者や模擬戦を観察する者など人それぞれ放課後の時間を人それぞれ過ごすのだ。



「そういえばアレクくん、たしかサザーンって方から模擬戦挑まれてましたよね?」

「あ、そうだったな!サザーンって確か次期ザウバーン侯爵家の当主だろ?」

「あ、そういえば確か挑まれてたな。 忘れてたわ」

「うわ!ひっでぇーなアレクは!」


実は今日の昼食時にアレクはサザーンから決闘戦を挑まれており、今日の放課後に行うことになっていたのだ。


「正直… 眼中にないわ。はじめの一撃でボコって終了にしようと思ってる」


「うわ… それは酷いこと考えてるな」


アレクとランバート、アイリスがサザーンとアレクが学年ランキング戦を行う予定である屋内闘技場へと向かう。


『学年ランキング戦』はお互いが決闘場所を指定した場所で行うことになっているのだ。


場所は学園中に存在する訓練場グラウンドや屋内訓練場ならどこでも可能なのだが、今回サザーンが一方的に指定してきた場所は講堂横にある屋内闘技場でランキング戦を行うことを指定してきたのだ。




◇◇◇



アレクが屋内闘技場の前でアイリスとランバートと分かれ、闘技場へと向かっていく。



この屋内闘技場はコロシアムのような作りで、中央が闘技場が設置されており、それを囲むように観客席が設置されている。ちなみに、この屋内闘技場は学園イベントや校内戦の時しかあまり使われない闘技場なのだ。



たかが学年ランキング戦になぜここを指定したのか分からないが、とりあえず挑まれたのでテキトーに済ませて終わらせようとアレクが闘技場に入場すると…







「「「ワァ――――――――――――――――――ッ‼」」」






そこには闘技場の観客席を埋め尽くすほどの生徒たちによって埋め尽くされていた。ほぼ三百六十度、生徒たちによって観客席が埋め尽くされていたのだ。





“さぁ始まりました! 本日の学年ランキング戦で戦うのは… なんと!わが校が誇るエリートたちの一人! 平民出身でありながらも序列七位の席を見事勝ち取ったアレク選手です!”



「「「おおおおおおおおおおお!!!」」」




“そしてそして!なんとその序列七位に挑む挑戦者が現れました! 挑戦者の選手は我がアスラエル王国の古き時より王国を支えてきた古豪の上級貴族一族『ザウバーン侯爵家』の次期当主候補であらせられるあのお方です! 序列41位にしてBクラスの主力選手であり、次期Aクラス入り間違いなし!と噂される… サザン=フォン=ザウバーン選手です!!”



「「「おおおおおおおおおおお!!!」」」

「やっちまええええ!」

「貴族の力をみせてくれええええええ!!」

「平民に身の程を教えてやれええええ!」






これは何ですか…?

なんでたかが学年ランキング戦に実況+満員の観客がいるんだ!

絶対これおかしいだろ!おかしすぎるだろ!絶対仕込んだな…。




“おぉっと!サザーン選手がご入場してきました! みなさん盛大な拍手でお出迎え下さい!”


「いっけえええええ!サザーン!」

「平民風情に貴族の力を思い知らせてやれええ!」

「きゃーーーー!素敵よぉサザーン様ぁあ!」

「思いあがった平民をぶちのめしちまええええ!!」



サザーンの登場に観客席に座る生徒たちが一斉に騒ぎ出す。

なにアイツ… そんなに有名人だったの?

っていうか俺の応援が一つもないんですけど…?




「やあ卑怯者の平民風情よ… 逃げずに来るとは殊勝な心掛けだね!」


サザーンが学園指定の制服姿に宝石や豪華な装飾が施された一振りの剣を腰に携えて闘技場に入場してきた。サザーンの剣から地味に魔力を感じる…おそらく魔法剣の類だろうな。というよりも…



「この茶番はなんだ? どうみてもおかしいだろ?」


「フッフッフ!なーに!おかしいことはないさ! ただ私が仮にもSクラス生徒に挑むのだ! その勇士を是非とも見たいという熱烈なファンたちが多くてね… まさかここまでみんな見に来てくれるとは思いもしなかったよ!」


無駄に長い藍色の髪の毛を手でなびかせる。


「さーて… そろそろ始めようじゃないか!熱烈なファンたちが是非とも私の勇士を見たくて騒いでいることだしね!」



サザーンが後ろを向いて指定の場所に向かう。

その姿を見てからアレクも同じように指定された場所に向かう。闘技場ではお互いの立ち位置が決められており、お互い約10メートル離れた距離にプレートが埋め込まれているのだ。



“さぁついに始まります! まさか初日からわが校のエリートに挑む勇士を見られるとは私たちはとても幸運です! お互いが指定の場所に着いて向かい合いました!”



アレクとザザーンがそれぞれ武器を抜く。


サザーンは腰に指していた豪華な装飾がされた剣を抜き放つ。

それに対してアレクは異空間収納から木刀を取り出した。




“サザーン選手が剣を引き抜いた! ま、まさかあの剣は…間違いありませんんん!! ザウバーン侯爵家に伝わるという秘宝の『魔剣』を抜き放ったぁあああ! 私も見るのが初めてです!まさかこんなところでザウバーン侯爵家に伝わる魔剣を見られるとは思いませんでした!!”



実況がサザーンの抜き放った剣に夢中のようだ。

観客たちもその実況に煽られ、サザーンの持つ魔剣に一斉に視線が杭付けにされる。


(まさかアレが魔剣で… 秘宝なのか…?)




“おぉっと! 対するアレク選手が抜き放った剣は… あれはなんでしょうか? アレク選手が取り出したのは… あれは木剣でしょうか? な、ななななーんと! アレク選手が取り出したのは木製の模擬剣です! あの武器で戦うの言うのでしょうか!”



実況が俺の取り出した剣を見て、さらに実況を白熱とさせる。観客たちもなぜ木剣なのかと疑問を浮かべている。なかには「ちゃんとした武器を使えよ!」「危ないぞ!」と声を掛けてくる観客までいる。


たしかに俺の取り出した剣は木製だ。

それもその辺にある木から削りだしたただの木剣なのだ。

だけど、ただの木剣でも普通の生徒が使う場合と俺が使う場合ではまったく別物なんだぜ?




「おい貴様! 私を愚弄するのか! 真剣を使いたまえ!!」


サザーンが俺の持つ剣に怒り始めた。まぁ確かに相手は魔剣、こっちは木剣と…あまりにも舐めている感じだけど、サザーン程度に本気を出すほど俺は大人げなくないんだわ。



「あぁ気にするな。 お前如き…これで十分だ」


ブチッ‼


「き、貴様ぁああ‼ その言葉…後悔するなよ!覚悟するがいいわ!」


サザーンの額には血管が浮き出ており、顔が首まで真っ赤になった。そうとうお怒りのご様子で何よりです!もっと怒ってその額の血管切れちまえ!






“さぁ… ついに始まります!序列7位アレク選手VS序列41位サザーン=フォン=ザウバーン選手の…学年ランキング戦がついに… 開幕ですっ‼‼”



今日が最後の平成ですね。

さよなら平成、よろしく令和!

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