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17.転生してから三年後

気まぐれトーカ。

 今日の朝食は何を作ろうかと思いながら、昨日の夕食の残りの野菜と魚でだしを取ったシンプルな野菜スープにあった朝食を作ることにした。



メルキドの商店で見つけた四角いパンを食パン位の分厚さにカットし軽くあぶる。

パンの表面が軽く焦げ目がついて所で火を止める。

次にメルキドの商業区をぶらりと歩いているときに見つけたフライパンに猪肉の脂身を入れて火にかける。脂身から油が出てきたところで脂身を捨て、野鳥の卵と昨日狩りで捕った猪の肉を薄くスライスしてフライパンで焼く。



焼いた卵とレタス風の野菜、そして猪肉を先ほど軽くあぶっておいたパンに挟んだシンプルなサンドイッチを作る。これで今日の朝食は完成だ。



完成した料理を二人分テーブルの上に並べる。今日のドリンクチョイスとして野菜だし汁で作った健康にうれしい特性アオシルを用意しておく。師匠は意外とこのドリンクが好きなのだ。俺は苦手だけど。



さて、今日の朝食はこんなもんで十分だろうと思い、今も寝ているであろう師匠を起こしに俺は寝室へと向かった。






 ここは魔の森にある一本の太い木の上に俺が一から作ったツリーハウスに師匠の改造魔法で空間を広げ、日本の住んでいた頃のマンションに似せて作った自作の家だ。

台所も、寝室もあり三年前の転生してきたころに泊まっていたあのぼろ宿より快適な生活を送れるようになった。



魔の森は危険な猛獣や魔物が多いが、ここは木の上なので認識疎外の魔法をこの家に付与しているため、猛獣や魔物に見つかることはない。



階段やはしごは無く、魔力を空中で固めるイメージで足場を作り、その足場を使ってこの木の上まで登るのだ。そのため、おそらくこの家に一緒に同居している師匠や俺以外は基本的に入ってこれないだろう。



この世界に転生してかれこれ三年の月日が立ち、俺は十歳になっていた。そこそこ筋肉も付いてきた。

ボロ宿で寝泊まりするのがどうしても我慢ならなかったので、どこかマシな泊れる宿をと思って探したがどこもかしこも似たようなものだったので、それならいっそ自分でつくっちゃえ!ってことで自分を鍛える名目で少しずつツリーハウスを作ることにしたのだ。


一か月くらいで外装はほとんど完成したころに、今でいう師匠が勝手に住み着いてしまったのだ。はじめは追い出してやろうと思っていたが、“看破の魔眼”で見たところ、その男性は俺より強かった。いやおそらくメルキドの街で見てきたどの冒険者たちよりぶっちぎりで強い実力を持っていた。


俺はその男性にある提案を持ちかけた。

「俺に戦いを教えてくれる代わりに、ここで住ませてやってもいい」と提案すると男性は「いいんスか?」と以外にも乗り気でこの提案を受け入れ、今でも一緒に暮らしているのだ。



◇◇◇



「アラ? もう朝食~ できました?」


寝室に着くと、普段は寝坊助のクセに今日は起きていた。


「今日は珍しく起きてたな。朝食は俺特製サンドイッチと昨日の残りスープだ。冷めないうちに食おうぜ」

「さんどうぃっちでスか? またあっちの世界の料理スか?」

「あぁ、おいしいから期待してくれ」

「それは楽しみッスねぇ~」


師匠には俺のことをある程度教えている。俺には地球で暮らしていた時の前世の記憶がある程度のことや幼馴染のことは教えてないが、代わりに「守りたい人がいる」と言うと、それは女か?とニヤニヤとされイラってしたのを覚えている。そのほかにも俺の魔眼について話したところ、師匠からは「私のステイタスについては黙っててほしいッス。」と言われている。


魔眼の効果でなんでこうなったのかまでは分からないが、少なくともある程度の推測はできているのでできる限り触れないようにしている。


「この“さんどうぃっち”って美味しいスね~」


どうやら俺の気に入ってくれたみたいで良かった。

俺も自分の分のサンドイッチを食べる。我ながら上手にできたと思う。まぁ日本のコンビニで売ってる奴よりは不味いだろうが、すくなくともこの異世界の食事よりは数段旨い。


俺は食べ終わったお皿を洗い、片付けを済ませた後、いつもの日課に入る。



いつもの日課、即ち師匠との戦闘訓練!


俺と師匠は小屋から降りて、お互いに木刀を持って向かい合う。

師匠が真正面から人間とは思えない敏捷性で突っ込んでくる。狙いはおそらく俺の首あたり。

俺は師匠の木剣が首に届く前に下からすくい上げ、木剣の軌道を変える。

後ろにバックステップして師匠と一旦距離をとる体制をとる。師匠は追撃しようと体制を立て直し木剣を中段やや高めに構え、左足を前に出した。


俺は「今だ!」とばかりに師匠の懐に飛び込む。

バックステップの体制はフェイクだ。俺が逃げようとすれば師匠は追撃をしてくる。今まで何度もこのパターンで防御できずにやられてきたが、そのたびに師匠の動きを見てきた。師匠は踏み出す時に、必ず左足から踏み込む。踏み込んだ状態からいきなり懐に飛び込まれれば、どんな猛者でも一瞬隙が出来る。


師匠も同じく、突然懐に飛び込まれたため一瞬隙が出来る。俺をそれを好機として師匠のどてっぱら目掛けて木刀を振りぬく。 ——————決まった!一本とったりぃ!



と思ったが、俺の木刀は空を切っていた。

師匠の懐に入ったはずなのに、俺の目の前から師匠の姿が消えていた。

何か後ろから迫ってくるような悪寒が背中を走る。俺が後ろを向いた時にはすでに目の前に木刀が迫っていた。


「あ… これ無理だわ…」俺はそう言い残し、次の瞬間、師匠の一撃を顔面でモロに受けてそのまま倒れ込んだ。

薄れゆく意識の中、一体これで俺は何度目の気絶だろうか?と思いながら俺は意識を手放した。



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