11.城塞都市メルキド
※文章に誤字脱字、意味不明な文があったため編集しました。尚、文章が多少変わりましたが大筋は一切変わっておりません。
気まぐれトーカッ!
道中は比較的安全に歩くことが出来た。それはなぜかというと、マップの効果はどうやら『看破の魔眼』の一部であることがわかった。そしてある程度距離の縮小が可能だということがわかったので、実際に周囲五百メートルの縮小地図にすると、赤点と青点が現れたのだ。どうやらその点は小刻みに動いているので、生き物を示していることがわかる。
数十メートル先に赤点が三つほど表示されていたので興味本位で足音と立てずに忍び寄ってみると、そこには緑色の皮膚に腰巻をした小人くらいの人がいた。いや、人っていうよりモンスターに近い印象を受ける。どうやら三体そろってお食事中のようだ…。とりあえず『鑑定』の能力を使用すると、目の前に半透明のウィンドが現れ、目の前の魔物の名称と説明が記載されていた。
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名前:ゴブリンソルジャー
闘級:50
装備:棍棒
どこの森にも生息している小鬼の魔物。雑食。種族はオスのみで構成されており、メスはいない。繁殖能力は他の種族(主に人族)のメスを攫ってきて繁殖する。基本群れで行動しているため悪知恵を働くことがありマヌケだがバカではない。闘級は30~100。
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どうやらあの緑半裸の小人くんが異世界定番のゴブリンみたいだ。ゴブリン三人組は食事に夢中のようでこっちには気づいていない。ゴブリンが仕留めたであろう鹿を素手で肉を引きちぎって食べていた。どうやら鹿はまだ生きているらしく痛さのあまりに暴れている。三匹はその姿をみて笑いながら棍棒を何度も振り下ろしていたぶって楽しんでいるように見える。
見ていて気持ちのいい光景ではなかったが、気づいていないとはいえ戦う勇気もなく、ただその場を急いで離れるしかできなかった。
俺は急いで元の道に戻る。心の動揺を鎮めないといけないと思い、別のことを考えるようにする。
俺は一つ深呼吸をすると、今の時点で分かったことを自分にさっきの出来事の上に上書きするように自分に言い聞かせる。どうやら赤点は魔物を示しているようだ。なら反対の青点は人族の可能性が高いと考えられる。
数百メートル先に青点が五つあるが、これはおそらく旅人か冒険者なのかわからないが、すくなくとも魔物ではないことを祈るしかない。このままのペースで歩けば数分で出会うだろう。もしも魔物だった時のために俺は少しゆっくり歩いてマップを見ながら調節して歩くようにした。
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数分後、目の前の道から五人組の剣や杖で武装した冒険者風の男女が歩いてくるのが見える。どうやら青点は人族といった人間を示しているものだと考えられる。
その冒険者パーティーとは特に何もなくすれ違った。冒険者パーティーの一部は俺のことを見て「なぜこんなところに子供が?」と言いたげな顔をしていたが、すぐに気を引き締めた顔に戻って仲間とともに歩いて行った。絡まられなくてよかったと内心安心している。
そういえば、この魔眼の正式名は『看破の魔眼』だったはずだ。
看破とは「見破る」の意味がある。今のところこの魔眼の能力はマップ機能と周囲の探索程度の能力しかわかっていない。よく考えるとマップも周辺地域に居る生き物を示しているので、ある意味見破っている。と捉えることもできるが、本質からはずれていると思う。これからいろいろと実験して魔眼の能力を確認していくしかないか。
俺はそんなことを考えながら、街へと気持ち少し早めに早歩きで向かった。
道中色々なことがあったが無事にグラシア辺境伯領にある街に到着した。マップで名称を確認すると城塞都市メルキドとなっている。城塞都市と言われているだけであって、街全体を囲むように高い石垣のような城壁がずらっと取り囲んでいる。
無事着いたことに安堵したと同時にある問題に気が付いた。
その疑問とは“城塞都市メルキドにどうやって入ろうか?”だった。
城塞都市と言わるだけあって、町全体をぐるりと一周壁が囲んでいるまさに城塞のような街だ。
当然のごとく門には門番が配置されており、街に入る人を検問しているようだ。
俺の今の服装は庶民のそれだ。獣皮で作られたであろう靴や質素な服に長ズボンといったザ・村人感だしまくりの服装だ。これだけなら問題ないだろうが、問題は俺の外見だ。
はっきりいって子どもだ。当然のことだが七歳児だ。異世界では七歳児が世の中歩きまわるのは珍しいことなのかわからない。地球の常識で考えるなら保護者と一緒に歩きまわっている年頃のはずだ。しかし、俺は当然のごとく一人だ。「七歳児の一人旅です!」なんて通じるはずがない。
悩んでいても仕方がないので、門番がいい人なことを願って俺は門へと歩いて行った。
どんな質問が来ても噓八百で乗り越えるしかない!これは正当な嘘だから問題ない!はずだ!
誰に言い訳しているかわからないが、とりあえず門番のところに進むことにしたのだった。
◇◇◇
「はい。そこで止まってね。」
俺が門近くまで歩いていくと、武装した門番の中年おじさんに止められた。
門番のおじさんは片膝をついて僕と目線を合わせる。このおじさん…。意外と老けてる?
「近くの村から歩いてきたのかな?それとも迷子?」
本当の年齢は30手前なので、正直このしゃべり方されるとイラってくるのだがここは我慢だ。
「はい!冒険者になりたくてやってきました!」
フッ見るがいい!これが必殺ザ・夢見る少年作戦だ!これなら怪しまれないはずだ!我ながら冴えている!
「…そうかそうか!冒険者になりたくて来たのか!ようこそメルキドへ!街に入るためには市民証とかの身分証が必要なんだが、持っているか?」
「……身分証持ってないです。」
「…そうか村出身じゃ持ってないか。……別に持ってなくても入れるから心配しなくていいよ!」
わざとらしく落ち込んだ表情をすると、面白いくらいにおっさんが慌てて大丈夫大丈夫!と励ましてくる。フッちょろいぜ。酔っ払いと子どもには勝てないということわざがあるくらいだからな!
「それじゃ規則だから、この水晶に手を置いてくれるかい?悪いことしてる人を判断する道具だから安心して手を置いてね!」
俺は門番の人が持ってきた水晶から妙な違和感を感じた。持ってこられた水晶から発せられていることは間違いない。もしかすると、この妙な感覚が魔力なのか?
俺はその水晶を魔眼で鑑定すると、どうやら水晶の正式名称は『鑑定水晶:称号』という魔道具らしい。鑑定の能力が付与されている魔道具のようだ。この水晶に触れるとステイタスの『称号』部分が映し出されて犯罪歴があるかどうかわかるらしい。
称号とは、所謂その者を示すモノだ。貴族なら〇〇家の人と表示されたりするが平民は家名がない場合が多いため基本的に空白だが、偉業をなした者は人々から噂され定着する二つ名が称号に表示されたりする。
しかし、人を殺すと称号に『殺人犯』と表示されるように、この世界ではその人が行った悪行などが称号に現れるのだ。盗みを働けば『盗賊』と出るし、誰かから依頼され殺したら『暗殺者』と出る。しかしすでに犯罪者の称号が存在していれば、たとえその人を殺めても称号には表示されない。
この水晶の役目はおそらく街中に犯罪者を入れないための処置と考えられる。それなら自分には害がないはずだと思い俺は門番が持ってきた水晶に手を置く。俺の称号欄は空白だ。家を追放されたし、一度死んでいる身なので何も表示されていない状態だ。
「……よし!犯罪歴なしっと! では改めてようこそ!城塞都市メルキドへ!」
「わーい!これで冒険者になれるー!」子供っぽい演技で乗り越える作戦を継続する。
「冒険者ギルドはこの大通りをまっすぐ進むとあるから早く登録するといいよ!登録すればギルドカードが発行されるからね!ギルドカードは市民証と同じ身分証になるから便利だよ!頑張っていい冒険者になるんやぞ!」
「うん!おじさん!ありがとう!」
ナイス情報!わざわざマップで調べる必要もなくギルドの場所とギルド登録するともらえるギルドカードの存在を知ることが出来た。このおっさんの反応から察するに、どうやら七歳児でも冒険者として活動するのは珍しいことではないと反応からわかる。
俺は城塞都市の門番から聞いた通り大通りを通って冒険者ギルドへと向かうことにした。




