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第97話 不死王の城、不陽城へ


「飯食うぞ!マートルごはん!」

「ふふふ、そうですね戦う前に体力をつけておかねばなりませんね」


 マートル姫はベロニカと共に料理を用意する。


「私も手伝うわね」

「私達も!」


 テルーと女神見習いたちも料理に参加する。


「些かキッチンに対して人が多くないか。少し広くしてやろう」

 バアルは魔法でキッチンの空間を広げた。


 みんなの協力もあって続々と料理が出来上がっていく。

 大きなテーブルを埋め尽くすほどの料理たちが並ぶ。


「いただきます!」

 タケミが手を合わせてそういうと、他の者も彼に続いて同じ行動を取る。


「いただきます?」

「ご飯に対する感謝の気持ちを伝えるんだ、食材そのもの、それに関わった人、作ってくれた人とか。でも全部にありがとうって言ってたら折角のご飯が冷めちまうだろ?だからいただきますってまとめて感謝するんだ」


 見習いたちの質問に答えるタケミ。


「この子達はどうするんだ」


「私が面倒をみさせてもらうわ。心配無用よ」

「お前は目の前の事に集中していろ」

 タケミにそういうテルーとバアル。


「そうだな、よし食うぞ!」

 タケミは料理に手をつける。


 次々と口に放り込み、噛み、飲み込む。


「素晴らしい食べっぷりですわ!」

「黒夜叉使ったから、多めに食って補充しねぇと!あいつと闘うときにも使うことになりそうだし」


 タケミは魚の丸焼きも頭から骨だろうが構わずバリバリ食べていく。


「あれ、ダイゲンのじいさんは?」

「あの人ならタケミちゃん達が寝てからすぐに出てったわよ」

「そっか」


 ダイゲンがいないことに気づいたタケミ。


 彼はまた放浪の旅に出たようだ。



「ん、そうだ何かアドバイスあったら教えてくれ」

 食事しながらタケミはバアルとテルーに助言を求めた。


「死なないようにな」

「ちゃんと帰って来てね」


「分かりやすくて助かる」

 極めてシンプルな助言だ。


「主に魔法を使うらしい。それと剣だな」

「魔法に剣か、よくあるパターンだな」

 バアルが情報を付け加える。


「魔神王様に認められるだけの力はあるのは間違いない。あの様子だと以前のカテナ・べラードのように堕落して力が衰えている可能性もないな」


「まあ、なんにせよ挑むだけだ。いつも通りな、おかわり!」


「はい、どうぞおかわりです」

 マートル姫がタケミにおかわりをよそって渡す。


「そういえば剣についてだが、魔神王様が与えた剣を使っていたな。魔剣プルガティオ、もしやつを倒したらついでに持ってきてくれぬか。あれは極めて貴重な品だ」


 共に食事をしながらバアルはタケミに1つ頼み事をした。


「お前が集めてる、あの腕輪みたいなもんか?」

「そんな所だ」




 食事をたいらげたタケミは席から立ち上がる。


「ふぅー、食った食った!そんじゃマートル、ベロニカ、ネラとユイを頼んだぞ」


「私達が責任をもって看病させて頂きますわ」

「おまかせ下さい」

 マートルとベロニカは頷く。


「ガウ」

「クロもみんなと一緒に待っててくれ。今回はおれ一人で行かなきゃならないんだ」

「ガウ……」


 タケミはクロをなでた。


「よし、それじゃあな!」

 タケミは魔石を砕いて転送した。


「あいつ随分と調子が戻ったじゃないか。食事の効果か?」

「それもあるかもしれませんが、新しく挑む目標ができたからだと思いますわ」

 微笑むマートル姫はバアルにそう言った。



 転送された彼は城の前に立っていた。


「なんだここ?さっきまで夕方ぐらいだったのに、真っ暗だ。空に月も星もねえ」

 彼は周囲を見渡すが灯りらしいものは城の前周囲にあるランプや松明だけだ。


 そのランプと松明は蒼い灯りを発していた。


「ここは不陽城、陽の昇らぬ国の城でございます」

 急に背後からした声に反応し、構えるタケミ。


 経っていたのは鎧甲冑を着た騎士だった。

 兜をつけているため顔は見えない。


「あんたは?」

「我が王から案内するように仰せつかっております。どうぞこちらへ」

 

 そういって騎士はタケミに背を向け、城に向かって歩き始める。


「ご丁寧にどうも」

 タケミが城の門前に立つと門が音をゆっくりと開く。


 門の向こうには兵士達が並び武器を掲げていた。

 中央を通っていくタケミ。


「おれ一人の為にしてはやり過ぎだろ」


 前庭を過ぎ、城の中に入っていく。中は薄暗いが掃除などの手入れは行き届いていた。


「こんなに綺麗にしてるならもっと明るくすりゃあ良いのに」


「不死王様のご意向です」

「ふぅーん、ホラー映画とか好きそう。つーか本人が登場してそうだもんな」



 そんな会話をしながらも進んでいくと玉座が置かれた巨大な広間に出る。


 その玉座には不死王が座っていた。


「来たか」

「当たり前だろ」


「死ぬと分かってか?」

 不死王の言葉をきいてタケミは笑う。


「やっすいセリフ。こちとらずっと死とは隣り合わせなんだよ。死神と旅してるもんでな」

 手を広げてそう言い放つタケミ。


「で、どうする?まずはお前の部下でもぶん殴れば良いのか?」


「いや、その必要はない。貴様の戦いぶりはみていたからな。カヅチ・タケミ」


 不死王は騎士達を下がらせた。


「あの大領主バアル・ゼブルを倒すとは中々。それも素手とは」

「……」



「なぜ来た?仲間を失うのが怖いか」

「それ以外に理由あるかよ」


 不死王の問いにタケミは即答する。


「ずいぶんと素直に答えるのだな」


「おれは大事な友達を失った、この間の事だ。その時最悪な気分だったよ。アイツはきっとこの結果に満足してる、でもやっぱり素直に受け入れきれねぇ。正直、今もまだ胸んとこに何かが刺さったみたいな気分だ」


 タケミは胸を叩いてそういった。


「ネラもユイも覚悟は決めてる。そんなのは分かってる。でもあの2人が死ぬのは嫌だ、それをただじっと見て待ってるなんて出来ねえ。結末がどうなろうとも、【挑む】だけだ」


 彼は構える。




「そうか、ならば来るがいい。お前の結末は既に決まっているがな」

「赤鬼!」


 タケミは赤鬼を発動する。


(最大出力!これで黒夜叉はいつでも使える)

 大量の蒸気を体から吹き出しながらタケミは壁や天井を使い縦横無尽に動き回る。


「身体が赤くなり、まるで機関車のように煙をだす。それで身体能力を向上させているのか……興味深い」


(なるべく動き回って、狙いをつけさせない!)

 

「そらッ!」

 タケミは死角から不死王を殴りつける。

 殴り飛ばされた不死王、しかしすぐに体勢を立て直す。


「硬ってぇ身体してんな」

「お前の拳もよく砕けずに済んでいるな。ふむ、これは剣も使うか」


 不死王は何もない空間から巨大な剣を取り出した。


「バアルの言ってた興味深い剣って奴か、そんなにデカいのとは聞いてなかったぞ。2メートルぐらい?お前の身長ぐらいあるじゃねぇか、そんなの振り回せんのか?」


「勿論だ」

 不死王は灰色の魔力を剣に纏わせ一振り、すると巨大な三日月状の魔力の塊が射出される。


「うおっと!そんなに振り回して、小洒落たこの城が壊れちまうぞ」

 横に飛んでこの攻撃を回避するタケミ。


「問題ない。耐久性にはこだわっている!」

 今度は先ほどよりも大きい魔力の塊を放つ不死王。


「っぐ!」

 タケミは両腕でそれをガードするが、大きく後ろに吹き飛ばされる。


「いってー。効くね」

「そうは見えんが」

 すぐに起き上がるタケミ。


「そうら!」

「ふむ、痛いな」

「そうは見えねぇけど、つーか二発目だろうが」

 タケミの反撃を受ける不死王もまた大きく殴り飛ばされる。


「にしても、こんなに暴れてるのにすごいなこの城。まじで壊れてねぇじゃん」


 これだけ派手に戦っているのにも関わらず室内は傷一つついていない。


「貴様にはこの威力は些か拡散し過ぎか。ならば……!」

 不死王は魔力を放つのではなく、直接斬りつけて来た。タケミはこれを寸前のところで回避、外れた斬撃は床を大きく抉った。


(さっきまで壊れなかった床が!)


「まだだぞ」

「あぶねっ!」

 斬り返してきた一太刀を両腕でガードするタケミ。


「……ッ!」


(防いだだけで腕が吹き飛ばされそうだ。ガードはやめたほうが良いか)


「今の一撃で腕が残っているか。驚異的だ」

 タケミの腕をみて不死王はそう言う。


「威力を刃に集めたって感じか」


「わかるのか」

「まあね」


(プロエさんの拳と同じ。無駄な破壊をさせずに力を集中させる)


 タケミは構えを変える。


 深い前傾姿勢、両腕はガードの状態にする、後ろに下がる事を考慮しない攻撃特化の姿勢だ。


「構えを変えて、さてどうなる」


「まぁ見てろ、霧の下に目があるならな」



ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も投稿していこうと思うので評価、コメントなどして頂ければ励みになります!

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