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11話目

1週間後



「さてウォードくん、行こうか」


「はい、行きましょう」


カイゼル公爵とウォードは薬草栽培1週間の成果を確認するため教会へと馬車で向かう所だ。護衛は黒騎士団団長グランツと騎士グリムだ。カイゼルから馬車に乗るよう勧められたがクロも一緒の為それを断りグランツの横に騎乗してついていく事にした。


「グランツさん、もしかして非番の日に教会へ様子を見に行ってくれてた?」


グランツは通常勤務の合間に教会へ問題がないか様子を伺ってくれていたようだ。


「おっ!ウォードくん鋭いね!団長は非番の日はあまり外に出かけない人なんだけど、この1週間だけはいそいそと出かけては教会へ行っていたみたいなんだ」


グリムが茶化すようにウォードへ教えてくれた。


「グリム、余計な事は言わんでいい。非番の日に偶々通りかかっただけなのだからな」


「あはは、メリルからも聞いたけど顔の怖い剣士様が一日中見張ってくれていたって言ってたよ。一日中見張っていなくても冒険者が来てくれてたから大丈夫だったのに、でも気にしてくれてありがとう。グランツさんのおかげで変な奴が絡んで来ることも無かったみたいだしね」


「うむ///」


おぉグランツさんが照れてるの初めて見たかも!あっ横でクスクス笑ってたグリムさんが殴られた。痛そー、これ以上はやめておいた方がいいかな。


馬車はゆっくりと教会へと歩を進めて行く。



一方教会では。


「どどどうしましょう?!公爵様がいらっしゃるなんて!こんな汚い所へ!お茶とかご用意した方がいいのかしら?!あっお茶菓子も何もないわ!今から買って来ても間に合いません!あぁもっとちゃんとお掃除しておけばこんな事には・・・せめてお茶だけでも!でもそんな高級なお茶なんてご用意できないわ。どうしましょう?!」


「シスターは少し落ち着きなさい。公爵様は薬草を栽培しているところを見学しにいらっしゃるだけなのよ?私も居るんだから大丈夫よ」


「しかしギルドマスター!こんな西の外れまで足を伸ばして頂けるんです。なにか粗相があっては・・・もうっ!ウォードさんももう少し早く言ってくださればいいのに!」


そう、ウォードがカイゼル公爵が見学に来ると伝えたのは昨日の事だった。


「シスター、大丈夫よ!ウォードお兄ちゃんから聞いたけど公爵様はすごく優しい人だって言ってたもん」


そうこうしているうちに公爵家の馬車が教会の前へと到着した。

「いらっしゃったみたいね」


「えぇ!もういらっしゃったの?!早いわ!どうしましょう?!」


「ギルドマスターも来てくれたんだね。ありがとうございます」


「ふふふ、ウォードくんの成果を確認しなくちゃ夜も眠れないからね。でも先に見ちゃったけどあれは凄いわね」


ギルドマスターは先に栽培している所を確認したようだ。


「ウォードくん、ここがその教会かね?」


カイゼルが馬車から降りて辺りを見渡しながら質問してきた。


「はい、この教会の裏手で栽培しています」


「公爵様!本日はお日柄も良く・・・」


「シスター、落ち着いてよ。それじゃあ変な挨拶になってるよ。カイゼル公爵様ご紹介します。こちらがこの教会のシスターです。今回の薬草栽培に大変協力していただきました」


「君がシスターかね、今回の件、世話を掛けたな。よくやってくれたと感謝している」


「いえいえいえ!とんでもございません!全てはウォードさんとカイゼル公爵様のお力添えがあればこそです!」


シスターはカイゼルからお褒めの言葉を賜わり失神寸前のような顔で答えた。


「そして・・・メリル!こっちにおいで!この子がスライムの主人でメリルです。今回の功労者ですね。メリルが居なければこの計画もできなかったと思っています」


「初めまして公爵様!メリルといいます。この子は友達のスラリンです!よろしくお願いします」


「うむ、ウォードくんから話は聞いている。よく頑張ってくれているとな」


カイゼルはメリルの頭をわしわしと撫でスラリンにも撫でて答えてくれた。


「ではメリルだったな。栽培している所に案内して貰えるか?」


「はい!」


メリルは元気に答え教会の裏手の薬草栽培をしている所へ案内してくれた。


「ここが薬草栽培をしている所です」


「なんと!これほどとはな!」


通常自然に増える薬草では1週間で増える数には限りがある。周りに自生している雑草や草花の影響もあるからだ。しかしカイゼルの見た光景はそれを凌駕する程に柵の中いっぱいに薬草が増えていた。


「これは予想外の量ですね。おそらく100本くらいでしょうか?1週間で約10倍の量になるのであれば定期的に栽培する事もできるでしょう」


「これはなにか特別な方法で栽培したのか?」


カイゼルがメリルに栽培方法を確認する。


「いえ公爵様、わたしは特に特別な事はしていません。無駄な雑草を取って1日1回お水をあげただけです。あとはスラリンのおかげだと思います」


「なるほど、これならばスライム栽培を認めない訳にはいかんな。だがこの薬草の効果を確かめねば。ギルドマスター、鑑定を頼んでもよいか?」


「その必要はございません、すでにギルドにて鑑定結果が出ておりますので」


「用意がいいな、して結果は?」


「はい、ウォードくんが持っていた魔の森で採取された物には敵いませんが西の平原で採取されたものと比べますとおよそ5倍の効果が認められました。この回復効果であれば問題ないかと」


「5倍だと?!それはすごい!これで民衆も納得してくれるだろう!」


「お兄ちゃん?ちょっと難しいお話なんだけど結局どうなったの?」


「あぁ大成功だよ!これもメリルのおかげだね!ありがとう!」


「ほんとに?!よかった〜!!」


メリルはスラリンを抱えクルクルと周りながら喜びを表現していた。


「だがこれから本格的に栽培するとなると色々と問題点が出てくるが、それはこれから皆で考えていく事にしよう」


「そうですね、いつまでも冒険者の方に見張りを頼んでいたら高くついてしまいますからね」


「それにギルドでは薬草採取のクエストが激減するでしょう。初心者冒険者の受けられるクエストが減ることは由々しき事態になりかねませんものね」


「とりあえず当面は栽培を続けて行くって事でいいですか?」


「うむ、問題なかろう」


「ええ私も賛成します」


「よかったね、メリル!」


「うん!これで薬草を納品すれば少しはシスターの役にたてるね!」


あぁメリルは本当に優しい子だな。お金儲けをしようと思えばいくらでもできるのにシスターや孤児院の子供達の為にって一生懸命に薬草を育ててくれたんだ。


ウォードはメリルの頭を撫でてメリルの頑張りを讃えた。





「あそこが例の場所か」


「あぁ、獣魔を使って金儲けができるらしい。しかも親が居ないガキ共と一緒に売り飛ばせば・・・」


「今夜決行するぞ」


「「「おう」」」

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