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一日目 二階は奇怪

 どうにも腹が立ってしょうがない。

 三日ほど前からになる。俺の階の真上から泣き声が永遠と聞こえてくるのだ。

 一日なら我慢できるがこうも続くとこっちまで気を病みそうになる。


「あのーすいません大丈夫ですかー?」

 とりあえず上の階に行ってインターホンを押してみたが少し泣き声が止まっただけでまた、泣き出してしまった。そもそもこの部屋の住人の顔すら思い出せないので大家に部屋番号を伝え注意して欲しいと言った。

 ところが、その部屋に住人はいないらしい。 適当な大家だが流石に住人の有無は間違えないだろう。


 誰も住んでいないはずの部屋から聞こえてくる少女の泣き声。



 ホラーかな?

 自室に帰って色々考えていたが、どう考えてもこれは恐怖体験だ。もう夜なのも怖さに拍車かけて今度はこっちが泣きそうになってくる。

「仕方ない、アレをやるか……」

 俺は部屋の中を漁りなんとなく材料に使えそうな物を鍋に入れていく。

 ある程度材料を入れ目を瞑りながら鍋をオタマで混ぜる。

 

 ――できた。

 鍋の中には両端がガラスで出来た筒状の物体が転がっている。それを取り出して上手くできているか確認する。

「よし、多分上手くできてる」

 俺が作ったコレは見たくない物が透けて見える魔法の筒だ。




 しかし無茶苦茶な力である。

 俺は去年三十路を迎えた独身童貞無職だ。

 もっとも去年まではしっかりコンビニでバイトをしていたのだが、俺の誕生日に女子高校生のバイトが

 「今日誕生日なんですね、おめでとうございます!これからも一緒に頑張りましょう!」

と俺に言ってきた。

 いつも無心で働いていたのだが何故かこの日はその子の前で号泣してしまった。

 

 その後恥ずかしさと情けなさから家で一か月ほど引きこもり無事バイトをクビにされ無職に至った。

 それからは何故か時々ポストに入れてあった袋ラーメンを食って生活していた。

 あの日も確かその袋めんを食べようとしていたはずだ。水を沸騰させ袋めんを入れ、さいばしで麺をかき混ぜ天井のシミを見ながらふと思った。


 金欲しいなあ……


 すぐにさいばしに伝わる感触が変わったのを今でも覚えている。

 鍋の中に視線を戻したらそこには大量の札束。

 その後の事はあまりの出来事に気絶したのでよく覚えていない。




 今になって思えば俺は童貞無職のまま三十路を迎える事によって俺は魔法使い?いや錬金術師になったのだろう。

 鍋から取り出した透視できる筒はまだ温かい。筒を覗きドキドキしながら泣き声の方を見ると。


 女の子座り少女の裸体。


 あまりの衝撃に気絶しそうになったが何とか持ちこたえしっかりと目に焼き付ける。

 札束を偽造?した次は児童ポルノ。次々と罪を重ねている気がする。


 ミシッ


 「えっ?」

 覗いてた筒から目を離し上の階の床を見ると今にも崩れそうになっていた。

 このままでは上の階少女が床に叩き付けられてしまう。

 頭の回転が遅い俺にしてはすぐに少女を受け止めようと頭が回り、腰をかがめしっかりと受け止められる体勢をとる。

 

 ミシッ


 ――落ちて来る!

 

 顔の真上にレースのパンツがあった。

 

 関係無いかもしれないが小学校の頃野球で一度もフライを取れなかった事を思い出した。

 そんな絶望的な運動神経と反射神経では少女を避ける事も出来ない。

 裸よりパンツの方が良いかも……そんなどうでも良い感想を抱いた後の事はあまり覚えていない。

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