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残夏の園(改訂版)  作者: ずんだもち
二章 軋轢
23/26

過去の事件

夜。

雲一つ無い夜空。


半月が煌々と神社を照らしている。


昨日は満月だったのに。

この世界の月の満ち欠けはせわしない。


そんな事を思いながら、

私は傍らで寝息をたて出した

沢見さんがを起こさないように、

ゆっくり布団を出た。


襖を開け、縁側に出る。


「で、その子はいったい何なの?」


先に待っていた縁側に座る少女、

清瀬陽菜の顔は真剣だった。


「彼女は妖怪の沢見加奈子、夜雀族。

川で瀕死の状態で浮いていたんです。」


"瀕死"という単語に、

清瀬さんは眉をぴくりと動かした。


「・・・それで?」


「人里に運び、

治療を受けてからここまで来ました。」


「へぇ・・・。」


彼女に一言ことわりを入れて、

隣にゆっくりと腰を下ろす。


「傷の治りが早く、

今ではほぼ普通に生活はできてますが、

少し彼女の倒れてた状況が不自然で。」


清瀬さんの目がすっと細くなる。


「・・・続けて。」


「翼をもがれ、

背中には無数の切り傷がありました。


虎ばさみに右翼を挟まれてましたが、

あの罠であそこまで

傷がついたとは考えにくい。」


「・・・。」


清瀬さんが無言なので

私はそのまま続ける。


「そして本人はどうして

自分が怪我をしたのか、

全く覚えていない。」


ここが一番引っ掛かるところだ。


「ただ、身体は覚えているみたいで、

一人になると、

震えが止まらないみたいです。」


すると、

今まで沈黙していた清瀬さんは、

口を開いた。


「実はね。」


「はい。」


「この山に住む、

とある種族が過去に虐殺されたの。」


「え!!」


"虐殺"。


争いの無いこの世界に

似つかわしくない、

過激な言葉を、彼女は言った。


「しっ!声が大きい!」


彼女が起きたらどうするの?

非難の目が私を見つめる。


「す、すみません・・・。

でも、虐殺って・・・」


「この山にはね、

小鬼族 、夜雀族、鬼族が

お互いを助け合って生存していたの。」


「は、はぁ・・・。」


その話は以前に聞いた事がある。


「それで、月に1度、

この神社で会議を開いて、

お互い生活に不自由していないか、

確認しているの。」


私の世界でいう、

町内会議のようなものかな?


まだ会議をしている所は

見た事無いが。


「でもね、ある時期から夜雀族が姿を

見せなくなったの。

いえ、彼等だけじゃない。

鬼族も会議に参加しなくなって、

会議自体がもう

開かれなくなったの。」


「・・・え?」


「私は確認のため、

夜雀族の村に向かったんだけど・・・、

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