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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第3章 暁のオルテンシア
74/74

(74) 幼い魔王様の婿探し ━━ 暫し、休息の時

すごーくお久しぶりです❗短めですがよろしくお願いいたします。

 



 さて、色々ツッコミどころ満載な私の婿探し。


 前世は、結婚せずに死んでしまったから、結婚について?はよく分からない。そして、魔生?(魔族としての現世のこと)の今、私はこの世界ではまだまだ鼻垂れ小僧の50才。前世で言う女子中学生一年生にやっとなったかくらいの程度だ。


 でもいつの間にか前世よりは長生きしていた。夢中になって魔王業に勤しむというより、周りに助けられ、または振り回されてながら、あっという間の50年である。


 お兄様やカミーユさんは学院に通ったそうだけど、私は魔王な手前、通えないらしい。


 えーー!・・・羨ましい!

 私ももう一度学生生活、青春ってやつを謳歌してみたかった。女の子のお友達つくってさ、美味しいスイーツを食べに行ったり、放課後にでえととかもしてみたかった。


 ・・・現実にはどうも、魔王には学生生活は無理らしい。兎に角、前例がない。


 いや、それでも私、通ってみたよ?我が儘と言われるかもしれないけど、同世代の子達と学生生活を送ってみたかった。

 でも、過保護な保護者達と・・・何故か天使族や竜族(ドラゴン)達が押しかけてきて、ヤイのヤイの大騒ぎ、ゴツい護衛達と暴れまくり、毎日勉強どころではなかった。お友達をつくる暇もなかった!


 そして学園長に、ご丁寧にお願いされましたよ。


『ここでは魔王様を御守りできません(直訳:めーわくなのです)』。学校に来ても、結局御一人で授業を受けるのであれば、魔王城で受けるのと大差ないのでは?』


 結局・・・専属の教師から教えを請うてますのです。


 そうそうたる魔族たちからご教授して頂いている。帝王学?らしいも詰め込みやっとのことで魔王をやっていますが、ほぼお飾り魔王であることは悔しいですが、周知の事実であります。




 そうして入学早々のボッチ・・・決定となった。


 ひとりのお勉強はさびしい。しかも先生と二人キリが多く、サボりはすぐにばれるので、お昼ねなんか当然出来ない。


 魔族達にとって、魔族以外の種族と番うなど、兎に角女魔王の婿問題は魔王オルテンシアの(しもべ)たる魔族達の沽券に関わる事態で、家臣達がやたら神経を尖らせている。


 何も次代の魔王が誰がなるかは、世界球(ユニベール)が握っており、私が婿とって自分の息子が産まれても魔王になれるわけではない。


 私がいつまで魔王でいられるかはわからない。魔王でなくなるということ=死ぬ時、なのだ。生前退位はあり得ないのだそうだ。


 魔王でいられ続けられるかは、世界の意思、世界球(ユニベール)が決める。


 常に均衡を望む世界球(ユニベール)は種族の王に相応しくないと判断されれば、様々な形で、決裁が下される。殺されたり、寿命が突然尽きたりする。先のアルティオス王が前王を弑した時は世界球(ユニベール)の意に判した行為だったので、アルティオス王の治世はほんの数年で終わりを迎え、王は少しずつ狂い、苦しみながら朽ち果てるという酷い死に方だったらしい。



 世界球(ユニベール)に見離されたときは、悲惨な最後という訳でなかなか気が抜けないのも事実。その分魔力も魔界の結界を保持することのできる膨大な魔力があり、力ある魔族達を抑えるカリスマ性が求められる。


 力がある程度以上に必要なので、いくら世界球(ユニベール)が選ぶといえど、次代の魔王は力ある5大爵家の中からほぼ輩出され、私のような生まれながらの魔王はとても珍しいらしい。





『ちょっとぉぉ~~!!シア?オルテンシアッ!ここに来てまでだんまり?あと、手が止まってる!』




 えっ?




 リンディのラピスラズリのような紫紺に金を散らした虹彩と爬虫類のような縦に瞳孔が割れた瞳がくるりと動き、私を怒った顔をして覗き見ている。



 あーー、・・・そう言えば王城にいても周りがうるさいのでリンディの竜舎に来ていたんだっけ。




 魔族はまず竜に近づこうとはしない。



 そしてリンディもラピス種という気高い翼竜という種族であり、私の他は竜のお世話係であるカルファンしか受け入れないから、余程なことがなければ誰もこの竜舎には来ないはずだ。



 お世話係のカルファンは魔族にしては物好きな部類で、蛇族でもある。気高い竜であるリンディは蛇族を邪竜と嫌うけど、子供の頃から根気よく世話をしてくれて、しかも気が効くカルファンだけは心を許している。



 私は考え事をしたりちょっと逃避したいと思った時はリンディの竜舎に来ることにしている。但しリンディは日中は眠いので機嫌が悪いことが多い。眠りを邪魔されると機嫌が悪くなるのでいつもお詫びに鱗を磨いてあげている。私にされると気持ちいいらしいので、撫でられることによりよく眠れるらしいのだ。気持ちいいし、鱗も綺麗になるしで一石二鳥なんだそうだ。


 それに結構、鱗磨きは重労働なのだ。これを毎日、一枚一枚鱗を磨いてあげているカルファンは偉いなぁと思う。魔法でも綺麗に出来るけど、鱗磨きはご機嫌伺いのにはもってこいなのだ。でも、考え事に耽ってしまいつい手が止まっていたようだ。


「あっ~、ゴメン!ごめんね、リンディ。」慌ててリンディに謝る。


『・・・カルファンが言ってたよ。シアのお婿さん探しをしているって。』とリンディは拗ねたように私を睨む。


 ちょっと、カルファン。リンディになにいってるんだ。


「私もまだ幼生だし、結婚したってまだ子供を産めるわけでもないのにね。世の中の平和のために婚約者を決めておくそうよ。」


 私は鱗磨きの手を止めて、ちょっと休ませてと手を挙げて、リンディに背を向けて寄り掛かるように座り込んだ。


『・・・・・・。』リンディから返事はなかったのでまあいいかと一方的に話すことになってしまっていた。でも私は気にせず話す。


「魔王の私の婚約者なんて面倒よねぇ?あの超過保護なお父様とお兄様がいるのに、直ぐには決まらないでしょう。」



 独り言のようになったけど、リンディから少し身じろぎするような溜め息のような微かな動きが感じられた。


『・・・そっか。ねぇ、シア?その、まさかアイツじゃないよね?』

「ん? ━━━━ アイツ??」


『いやっ!いいっ!き、気にしないでっ。いいのいいの!』リンディは頭をブンブン振っているようだ。背に振動が伝わる。


「 ━━━━ そお?」アイツというのは誰を指すのか、と顔を挙げるとリンディと視線()が合う。


 うんうんとリンディは首を上下にこくこくと動かしている。まあ、きっとカミーユとパリスがリストを作って持ってくるだろうし、お父様とお兄様がもう少しで帰ってくるだろう。





 はて?リンディのいうアイツとは、一体誰のことなのか、その時の私は対して疑問に思わなかったのだけど、この後私は自分の諦めきれない思いを知ることになるとは思ってもいなかった。





 それは私の心のとても奥深くに眠っていたから









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