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父のフルートレッスン

山崎兄妹、両親、祖父母、僕と7人の大家族になった。

一番、大変なのは、食事の支度。祖母、母、僕と山崎でそれぞれ役割分担し

てる。高校は弁当だけど、”一人も二人も同じ”と祖母が作ってる。

山崎は恐縮してたが。

美里ちゃんは、の”見える”体質はそのままらしい。美里ちゃんは、音楽室に

入るときは、俊一叔父は隠れているようだけど。


山崎の母親は、どうも良くないらしい。

普段の不摂生がたたったのか、重症の肝炎と胃潰瘍という祖父の説明だった。

入院が長引くようだ。(収入の目処がないので、山崎一家は生活保護を受ける事になった)

山崎兄妹は、短期の里親ということで、うちで生活することに。


山崎は休部届けを出すため、僕と一緒に登校。

山崎は、母親の事を簡単に説明。顧問も休部を認めた。


部活を休む原因になった山崎のバイトは、実は少しでも生活費を稼ぐためだったと、

本人が言っていた。母親が稼いだお金は、皆、あの美里ちゃんに暴力をふるった男に

とられてたとか。

お金の問題もとりあえずは、心配なくなったし、後は母親の病気の心配だけだ。

夏休み中なので、昼間は美里ちゃんと母親の見舞いに行くと言っていた。

山崎の話によると、母親は人がかわったように、弱気になり、少し優しくなったそうだ。


白井先輩と約束した通り、父に白井先輩のフルートをレッスンする日を決めた。

それが今日の午後。

白井先輩はしらないけど、父はフルート専攻だったのだ

ー・-・-・-・-・-・-・-・-・・-・-・-・-・-・-・-・・-


「裕一の父です。息子がお世話になってます」

父は、白井先輩にもっともらしく挨拶したが、スラっとしてて長い黒髪の美人を

目の前にして、ちょっと驚いてる。

”お前、こんな美人の彼女をゲットしたのか?すごいな”

なんてささやいてくる。もちろん、全否定した。先輩に悪い。


目の前のおしとやかな女子高生の中身は、バリバリ体育会系の精神の持ち主なんだ。

僕とは、完全に友人でしかない、間柄だ。

ところで、彼女の季節限定のバイトって、なんと山菜取りだったそうだ。

フキやワラビなど、山に入って取ってたそうだ。

確かにはやりの”山ガール”なんだけど、微妙に違うか。

父は、彼女のバイト内容を聞いて、びっくりしてる。

美少女が、春クマをおそれず山菜取りとは。。と


レッスンは、彼女がフルートの音をだした時、父がストップをかけた。

ダメダシ?はやすぎない?

父は、白井先輩のフルートを取って、見た後、了解をとって自分で音階を吹いてみた。

すると、あれ?、て所が2箇所ほど。


「白井さん。このフルートね、初心者用だけど、それでもオーバーホールしないと

だめだよ。器具のいかれてるとこもある。これは、僕が知り合いの

管楽器修理の人に出そうと思うけど、いいかな?」


そういえば、釧路の先生に2,3度レッスンを受けたといってたけど、先生は

なにも言わなかっただろうか?

白井先輩に確かめると、その先生からは、”楽器を調整に出すように”と

言われてたらしい。先生自身が、自分でできる範囲でメンテしてくれたそうだけど。


「もちろん、でも、直してもらうのはありがたいです。でもお高いのでしょう?」

白井先輩、何かおしとやかになってる。


「大丈夫、修理代は裕一が払ってくれるから」

の父の答えに え??だ。僕は自由になるお金は殆どないけど・・

”僕が事務所で無料で働く”のか、そのぶんは・・


「楽器のないのは不便だから、修理が終わるまで、よかったら私の楽器を

使ってください。しばらく吹いてませんが、定期的にメンテしてますから」

金色に輝く父のフルートに、白井先輩は目をパチクリさせてたが、

じゃあ、遠慮なく使わせていただきますと、楽器を吹いてみた。


音が全然違う。いつもの白井先輩の音じゃないみたいだ。

いくつかの調でスケールとアルペジオを白井先輩が吹いた後、父がちょっとアドバイス。


「うん、いいよ。ただ、もうちょっと口角をあげるように。たまに体勢が

崩れるから気をつけて。白井さんは、音大は目指さないんだよね。そう、

裕一から聞いてる」

「ええ、ただ、アマチュアの吹奏楽団に入りたいんです。でも、

フルートって、競争率高いって、釧路にいる先輩が言ってました。

そんな競争に勝つためにも、少しでも、うまくなろうと思ってるのですが

なかなか、自分でも笑えるくらい、上達しなくて・・

レッスン受けてみたんですけど、続けられなくて。レッスン料は両親は出してくれないので」

そして、そのためのバイトが、山菜取りね。アウトドア美少女だ。


父は、簡単な曲を使い、タンギングやブレス、ビブラートまで

基礎なんだろうなっていう事を、丁寧に指導していた。

白井先輩は、集中して真剣に、練習してた。

レッスンが終わり、先輩は深くお辞儀して感謝しながら帰った。


「裕一の彼女だから、無料大サービスだよ。欧米人なみに鼻は高いし、目も大きいし、色も白い、

スマートだし。でも、おしとやかな外見と違い、中身は相当頑固で負けず嫌いかもしれない。

ガッツもありそうだしね。」

「父、わかっただろう?僕より白井先輩のほうが、男らしいんだ。

春クマの怖さは、父も知ってるだろう?そんな中、山ガールで山菜取りだ。

僕はヘタレキングだからね。白井先輩は、僕にとって頼れる兄貴みたいなもんだよ」


”甲斐性のないやつめ”っていう父の言葉を背に、僕は僕の練習を始めた

夕食までの間だから、2時間ほど出来るかな。

僕は、ベートーヴェンの11番を練習しはじめた。

この曲は、4楽章でできていて、1、4楽章は、オクターブ、アルペジオの連続で

これを、アレグロ、つまり速く弾かないといけない。

速く弾くためには、まずゆっくり練習する ってことで始めたが。。。


この曲って、力強いところはそのままで、

後は”こんなの軽くひけちゃいます”っで、超速く弾かないと、いけないようだ。


父の揶揄が入るかと思ったら、バイオリンの楽譜をみてる。

かあさんの演奏のCDを 楽譜を見ながら聞いてるようだ。

あーあ、所々に楽譜にチェック入れて・・後でかあさんに怒られるぞ








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