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ExtraMaxWay  作者: 凩夏明野
第二章-始まりを紡ぐ-
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新規

……意識が覚醒していく。俺は、椅子に座っているのか。


「どうだ意識は?」


掛けられる声には聞き覚えがある。

それもそのはず、コイツとの付き合いは5年程になるからな。


「ああ、はっきりしてるさ太一。」


「それは良かった。データ入力は成功だ。“フェイド”と意識に訴えれば発動する。やってみるか?」


返事はせず、消していた『BetweenLINE』を起動する。

メニューを見ると、確かに『FADE-out』が組み込まれていた。

“フェイド”。

意識に訴えてやると、一瞬で俺の体が不可視の存在となる。

なってる……?


「成功だな。正面見てみな。」


言われた通り前を見る。鏡が掛けられている。

田中太一がニヤニヤ笑っている。

そしてその隣には誰も座っていない椅子が置いてある。


「……ほ、本当だ!スゲー!消えてるよ俺。」


「だろ?知ってると思うが、エルステッドの“変換”を組み込んである。体細胞を、原子から透明の色に変える。更に着衣にも派生し、同じ様に原子レベルで色を透明にする。今までのフェイドと違い完全に透明だ。温度すら透明で、サーモグラフィーでも捉えられなくなった。」


……ついうっかり馬鹿な事を考えてしまいそうだ。


「止めとけよ?その内、視覚情報での連携を取れる様にする予定だからな。」


「大丈夫。何もやましい事はない。」


表層に出さなければ意識など妄想に過ぎないのさ。


「ならいい。宗司達ももう終わってる頃だろう。」


「そうか。じゃあ行くわ。」


フェイドを解き、着ていた病院服を脱ぎ捨てる。


「ああ言い忘れていた。もし透明のまま戻れなくなったら、エルステッドを訪ねて直接“変換”掛けてもらってくれ。」


「んな可能性があるのかよ。」


「大丈夫。五千回程使ったが、一回しかならなかったからな。安心してくれ。」


……出来ねえよ。

扉を開け放ち、白い廊下に出る。


「お?よお薫。」


「よっ。」


廊下の長椅子に杵築宗司が座っていた。


「すげえよなコレ。」


瞬間、宗司が透明になる。


「完全に透明や。こら水無月の爺さんもビックリの透明度だよな。」


「まあな。だけど存在がこの世から剥離は出来ん。攻撃が当たれば死ぬぜ?」


「まあそら仕方ないわな。つっても、当たらなきゃええんやで攻撃なんて。」


「それと、戻れなくなるリスクもある。」


「へ?そんな事聞いてへんで!」


医者がやったら訴えられそうな行いではあるな。


「安心しろ。エルステッドに直接“変換”を掛けてもらえば直る。」


「ああそうなん?なら安心や。」


見えない相手に、どうやって“変換”を使うかは知らんけどな。


「あ、そうだ時間は?今日定例会だろ?」


「現在時刻13時34分。定例会まであと26分よ薫。それくらいベリネで見ましょうね。」


前からやって来た大塔凜が俺の疑問に答えた。

顔を向けると、ニヤニヤ顔の凜と目が合った。


「見ようとしたのにお前が先に答えたんだろ?」


「言い訳なんていらないわ~。もうちょっとで頼ちゃんも終わるから、そしたら飛びましょうね。」


子供に話し掛ける様に俺に語りかけてくる。

「今日は誰が来るん?太一も来るんか?」


「来るだろ多分。」


「凜ちゃーん!」


今度は女の子の声が響く。

俺の後ろの方からだ。


「あ、頼ちゃん!おっと!お疲れ様。」


「凜ちゃんもお疲れ様!」


ニャンゴロゴロと凜と戯れているのは仲代頼子。

大地の原点使い。身長143cmと超ちっちゃいけど18歳だ。


「んーんーよしよし♪さ、じゃあそろそろIFLCに行こっか。」


<お前はどうするんだ太一?>

ベリネで太一に話し掛ける。

<後で行く。先に行って構わんぞ。>

<分かった。>


「太一は後で来るらしい。という訳で頼む凜。」


「あいよーりょーかい。MultiFlight“複数飛行”」


凜の瞳が、黒から青色に変わり、俺達は飛んだ。

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