第6話・石人とマグナ岩
ポイントに向かう道中で、もう一度依頼についてカエデと確認する。
「カエデ?依頼のことなんだけど……。」
「ふぇっ!?あ……す、すみません!もう一回言ってください!!」
カエデめ、尻尾をモフられまくったせいで、完全に意識がこっち側にない表情をしてしまっている。
「シャキッとしないと一緒にいくのをやめようかなあ。」
「そ、それだけは!」
キリリとした顔に戻り懇願するカエデ。当然俺はその気は無いが。俺もモフりすぎはあんまよくないな。自重せねば。
「フフ、冗談だよ。それで、依頼は?」
「そ、それならよかったです。….依頼の内容は、トゥンクの街からでて少し歩いたら着くアグリ山の石人を一体討伐することです。石人は、種族としては強い種になりますが、このアグリ山はいわゆる魔素というものが薄いのでしょうか、レベル的には低いものが多いです。」
魔素。やっぱ魔法があるんだから、魔素もあるか。ラノベで予習済み(?)だから、聞かなくても多分大丈夫かな。
「しかし、アグリ山は良質の鉱山でもあるのでこういった石人は一般の人からするとかなりの脅威と言えます。」
「石人ってどうやって倒せばいいんだい?」
「石人の体内には、真核と呼ばれる部分があるんです。そこを破壊すればオッケーです。ウキョ….キョウさんなら一発で多分破壊できますよ!」
そういってカエデはグッと親指を立てる。
なるほどね。
やっぱりあんまり向こうのラノベの世界と変わらない感じかな。
ちなみに呼び方はカエデの尻尾をモフりながら直させた。間違えた罰は、モフり一週間なしの刑だから、カエデも頑張っている。
というか、カエデは俺のことを信用しまくってくれててめっちゃこそばゆい。嬉しいけどね。
しかし石人かあ。
….いや、別に嫌では無いんだけど、モフれる毛がないからなあ。さっきの月狼の王には言葉が通じたけど、無機物からできてるやつにも通じるのかどうかも少し心配だ。
まあとにかくやってみなくちゃわからないか。
目的地のアグリ山には、それから少しして到着することができた。
アグリ山は鉱山というだけあって、そこかしこにその運搬路の入口がある、赤茶けた山であった。
「それじゃあ、いこうか。」
初依頼を前に気負いなく俺が言う。
そうして、俺とカエデはアグリ山の中へと入っていった。
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「ところで、このアグリ山は何の鉱山なんだい?色的には鉄山っぽいけど、よくみたら不思議な輝きを持ってる気がするし….。」
石人を探しながら、雑談がてら俺はカエデにそう聞く。
やけに周りに人気がないけど、今日は休みの日なのかな?
「このアグリ山は、『マグナ岩』と呼ばれるこっちの世界特有の鉱物の鉱山です。マグナ岩っていうのは、鉄みたいなんですけど、火属性の魔素を微量含んでいるので、安価な火属性の武器の錬成などに使われています。」
ふむふむ。火属性が得意だと思われる俺としては、少しいただきたいけど勝手に盗むのはいかんしな。ここは我慢するしかないかあ。
ドシーーン!!ドシーーン!!
その時、遠くの方から地響きが聞こえてきた。
おっ、ようやく石人のお出ましかな?
待ちわびたよほんと。
腕がなるぜ。
「….こんなに大きな足音、石人ってしましたっけ….?」
隣でカエデが何か言っている。
あれ?今なんかすげえ悪いフラグをたてられた気が….。やめてくれよカエデさん….。
しかし、そのフラグは無事回収されることとなる。
「ガンガンガゴン!ゴガギャン!」
人の頭ぐらいの大きさの石でできた歯を鳴らして何事か喋るそいつは、身長がゆうに5メートルほどはあった。
しかし、一番の特徴はそこではない。
カエデから聞いていた通常のゴーレムより明らかに体を構成している石の色が違う。
そいつは、全身を真っ赤に光らせていたのだ。
「火石巨人….」
隣で呆然とした顔でカエデがそう呟く。
ただでさえモフれる毛がないのに、さらにゴツいのかよ….。
俺は、前途の多難さにそっと溜息をつく。
そして、おもむろに1回カエデの頭を撫でて気持ちを切り替えた俺は、「ふぇっっ!!?」と驚いたカエデを無視して、魔法を詠唱した。
「会話!」




