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都合のいい結婚
そう、何もかも都合が良かった。
金持ちで、身分が高くて、扱いやすい。
口説けばすぐに懐いて、言いなりになった。
そんな女を、花嫁にした。
そう、都合を合わせたの。
あなたに気に入られるように、何もかも。
財産、身分、傀儡として。
そうすれば、私をまた選んでくれるでしょう?
あなたにとって、とても都合のいい私を。
華やかな結婚式を終えた夜、男は女に言いました。
「お前自身に求めるものはもう無い」
女は笑顔で頷きました。
「ええ、知っているわ」
その返答に男は顔を顰めます。
「知っていたなら結婚するはずがない」
「それでもいいと思ったから結婚したの。大丈夫よ、今更責めたりしないから。利用するだけして、要らなくなったら捨ててもいいわ」
何をされても構わない。女ははっきりとそう告げました。
男は女を気味悪がり、距離を取りました。