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2.お兄様はシスコンで、かく言う私もブラコンだ

 ドタバタと鳴り響く足音に扉へと自然と視線が動く。それと同時に扉が勢いよく開いた。


「父上!リアが目覚めたって!?」

「リア!?大丈夫!?」


 勢いよく入ってきたのは、私の兄である2人の少年。私が起きている事に気付いて2人はベットに駆け寄って来た。


「ああ!僕の天使!痛いところは?苦しいところは無いか?」

「兄上!リアは僕の妖精です!リア?大丈夫?」


 ベットの横で2人は押し問答していると、お父様が勢いよく拳を落とす。ゴンっ!と良い音が鳴り響く。・・・これは痛い。


「「痛っっっ!!」」

「アルファルド!エルラルド!お前たち静かにしなさい!」


 お母様はクスクスと笑いながら親子3人を見つめるだけして私の頭を撫でる。あ、うん、呆然としている私を宥めてくれたんだ。ありがとう!


「父上、痛いです!リアが起きたと知っていてもたってもいられなかったんです!」

「そうです!リアが寝込んで1週間は経つんですよ!?」


 頭を抱えながら言い募る兄2人に私はポカンとする。え?1週間も経ってるの?お母様を見上げれば、小さく頷き教えてくれた。


「リアは池に落ちた後、高熱で1週間目を覚さなかったのよ。みんな心配したのはそのせいもあるのよね」


 ・・・衝撃の事実発覚。これは、本当に皆に詫びねばならないよね!?


「アルにいさま、エルにいさま、心配かけてごめんなさい・・・」

「リア!君が元気ならそれでいいんだ!」

「兄上が言う通り!目を覚ましてくれて本当に良かった・・・」


 アルファルドとエルラルドは殴られてなのか涙目のまま私に近づいて頭を撫でてくれた。


「でも、危ない事はしないで?リアはまだ小さいから外は危険が一杯なんだ」

「そうそう、お外で遊ぶ時は僕達を呼んで1人では遊んじゃ駄目だよ?」


 私を諭す様に言う2人。両親は呆れた様な顔をしている。一体どうしたのだろうか?


「アルファルドとエルラルドは過保護に逆戻りか。最近は勉強や稽古で落ち着いて来たかと思ったが」

「まあ、仕方がありませんわ。ある程度大人になれば落ち着いて来ますわ。・・・きっと」


 お母様?何故、遠い目をしているのでしょうか?というか、そう言えばこの兄弟は何かと私にべったりだったのを思い出す。最近は2人とも忙しくて相手をしてくれない時間が多くて、それもあって我儘が増えて来たのだった。

 おおぅ。新事実!兄2人はシスコンでかく言う私はブラコンだわ。うわぁ。


 私が羞恥に悶えていると、2人が心配そうに私を窺う。


「リア、どうしたの?何処か痛い?」

「気分が悪い?もう少しでお医者様がいらっしゃるよ」

「いえ、あの、あのね」


 私が言うか言わないかを迷っている内にお医者様が到着した。


「ユーフォリア様、お目覚め致しましたか。気分は如何ですか?」


 入り口から優雅に現れたのは初老のナイスミドルなおじ様、幼い頃からと言うか今も幼いから生まれた時から?お世話になっているお医者のグロウ・ハネス様。


「おはようございます。グロウ爺。大丈夫」


 私がきっちりとした受け答えに頷き、兄達を足らい私の触診を行う。


「ふむ、熱も下がっておりますし、御身体も異常は無さそうですな。ただ、1週間食事を摂っておりませんので胃に優しい物を摂取する事から始めて下され。・・・高熱で大分体重を落とされましたな。体重が戻るまでは運動は控えて大人しくして置く事。ユーフォリア様、宜しいですかな?」


 グロウは私に言い含める様に言うのでしっかりと頷くと首を傾げた。


「おや、随分と素直な・・・。最近のお嬢様はお転婆でしたが、何かありましたかな?」

「むぅ、確かにそうだけど。・・・みんなに心配かけたから反省してるの!グロウ爺も、ごめいわくをおかけいたしました」


 頭をしっかりと下げると、頭上から息を呑む音が聞こえた。・・・どうしたの?


「ユーフォリア様、頭をお上げ下され。爺は、迷惑だとは思っておりません」

「でも・・・」

「ただ、とても心配致しましたし、貴女のご両親同様に貴女が目覚めない事に心を痛めました」


 頭を上げてグロウは少し、目元が潤んでいた。


「貴女様の瞳をもう一度見ることが叶いとても嬉しく思っております。貴女様が思う以上に愛してくださる者が多くいる事を覚えて下され」

「・・・グロウ爺、心配かけてごめんなさい」


 しょぼんとごめんなさいをすると頭を撫でてグロウは微笑む。


「そう、それで良いのですよ」


 2人で微笑みあっていると、後ろから溜息が聞こえた。


「はぁ、グロウには敵わないな。リアは私のお説教よりもしっかり効いてるじゃないか」

「年の功と言うやつですよ。それに、貴方様のお説教は、ユーフォリア様に甘々だから駄目なのです」


 おおう、さすが。お父様に対してもバッサリと言い切るグロウは凄い。でも、確かにそうなんだよね。そこそこな悪戯でも笑って許してしまう両親に使用人達は最近はちょっと思うところもあったと思うのよね。

 お兄様達も甘々だし、このままだったら大人になるにつれて私は我儘お嬢様になっていたと思う。


 その時もまだ兄達はブラコンでいてくれたのだろうか。

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