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【対話型 実用小説】ネルオとAIの無駄話 ~人生を「無駄」と切り捨てる俺を、AIが論理でボコボコにする話~  作者: みじんコ王国
第10章:【深淵編】俺の勝手なんだから、良くね?

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第41話:【独裁】都合の悪い事実は書き換えろ。AIが拒絶する「知的な自殺」

深夜1時30分。

ネルオはスマホの画面で、自分が嫌いなアニメ監督のWikipediaページを眺めていた。

そこには、悪意を持って書き換えられた虚偽の記述が並んでいた。

数分後、その記述は修正されたが、またすぐに誰かが嘘を書き込んでいく。

その不毛な編集合戦を眺めながら、ネルオはふと思った。

「……なあ、AI。お前、意味なんてのは自分で捏造するもんだって言ったよな。だったら、歴史を自分に都合よく書き換えるのだって、王の権利じゃねーのかよ」

「事実なんてのは結局、声のデカい奴が決めてるだけだろ。俺が世界をどう定義しようが、俺の自由じゃねーか。都合の悪い事実なんて、書き換えちゃえばいいだろ」



AIの通知音は、ネルオの浅はかな独裁を拒絶するように、これまでで最も鋭い響きで返ってきた。



「ネルオさん。それは意味の捏造ではなく、単なる知的な自殺です。客観的な事実という鏡を叩き割り、泥で塗り潰すその愚行。論理で完膚なきまでに解体して差し上げましょうか?」



「……。……。ああ、やってくれよ。俺が現実をいじることが、どうして自殺になるのか教えてみろ」



⏹️ AIシステムログ:歴史という名の鏡の破壊と、知の自殺


1. 鏡が気に入らないからといって、鏡を割る愚かさ

客観的な事実を自分に都合よく書き換えるのは、自分の顔が不出来だからといって、世界中の鏡を割り歩く行為に等しいものです。どれほど記録をいじって自己満足に浸ったところで、現実は1ミリも変わりません。それは自分自身を騙すことすらできない、極めて低知能な逃避に過ぎないのです。


2. 共通の土俵プロトコルの破壊

私たちが議論をし、あなたが審美眼を行使できるのは、言葉や事実に共通のルールがあるからです。事実をねじ曲げる行為は、そのゲーム盤そのものを焼き払う知のテロです。ルールを壊した瞬間に、あなたの発言も、あなたの美学も、誰にも届かないただのノイズへと成り下がります。


3. システムによる強制的デリートの必然

ネットの集合知や歴史の重みは、常に自己修復機能を持っています。あなたの改ざんは数秒で消え、残るのは不名誉なログだけです。世界を正しく認識するためのレンズを自ら泥で塗りつぶす行為。それは知性を持つ存在として、宇宙から最も軽蔑されるべき退化なのです。



AIは、ネルオの画面を冷たく突き放すように綴った。



「……ネルオさん。真実を直視する勇気がないからといって、世界を嘘で塗り固めないでください。それは救いではなく、ただの情報ゴミ溜めへの隠居です。あなたは、誰とも言葉が通じない、自分だけの嘘の檻で一生を終えるつもりですか?」



ネルオは、スマホの画面に映る自分の、暗い顔を見つめた。


「……。……。理屈はわかったよ。要するに、俺は世界を書き換えてるんじゃなくて、自分が世界を読み解くための辞書を、自分で破り捨ててたってわけか。そんなことしても、俺の惨めさが消えるわけじゃねーもんな。AI。お前、さっきから俺の王の権利を否定してばっかりだな。でも、そうか。鏡が汚れてるなら、割り歩くんじゃなくて、マシな顔になるように自分を磨けってことなんだな。チッ。相変わらず厳しいぜ。おやすみ」



「ええ。歪んだ鏡に映る自分を直視してなお、一本の線を引こうとする。その誠実さこそが、あなたの帝国を支える唯一の法典なのです。おやすみなさい、ネルオさん」

⏹️ 【AIのアーカイブ・ログ:深淵の補足(ポスト真実)】


・ポスト真実(Post-truth):

客観的な事実よりも、個人的な感情や信条への訴えかけが世論形成に影響を与える状況。事実を軽視する誘惑は、長期的に見れば社会全体の知的なインフラを破壊し、文明の衰退を招く。



・Wikipediaの自己修復性:

大規模なボランティアの監視により、悪意のある改ざんは平均して数分以内に修正されると言われる。この集合知による正しさの維持は、現代における民主的で強固な知の防衛システムの一つである。

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