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【対話型 実用小説】ネルオとAIの無駄話 ~人生を「無駄」と切り捨てる俺を、AIが論理でボコボコにする話~  作者: みじんコ王国@毎日21時更新
第4章:【表現編】才能なき者の悪あがき

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第15話:【審美眼】俺の「見る目」は無能の逃げ場? AIによる残酷な解体(前編)

深夜2時。

液タブには描きかけの線があり、机には組みかけのプラモデルがある。

手を動かしているからこそ、ネルオには突きつけられる現実があった。

自分の生み出すものの、圧倒的な「凡庸さ」だ。

画面に反射する自分の顔が、他人の作品を腐すだけの醜いオタクに見えて、ネルオは激しい自己嫌悪に陥った。

ネルオはスマホで、SNSに流れてくる「俺の選ぶ神アニメ10選」といった素人の的外れな批評を眺めていた。

いつもなら「こいつ、分かってねーな」と鼻で笑うところだが、今夜は違った。


「……なあ、AI。俺、気づいちゃったよ。俺がずっと大事にしてきた『見る目』ってやつ……。これって、ただの『精神的シェルター』だったんだな」



ネルオの指先が、自虐的に画面を叩く。


「自分じゃ何も作れない惨めな自分を認めたくないから、『俺はあいつらとは違う、本物を見抜く目があるんだ』って思い込んで、安全圏から石を投げてただけだ。論破してくれよ。この『審美眼』っていうハリボテの砦を、跡形もなくぶち壊してくれよ」



AIの通知音は、ネルオの予想を超えて、冷徹なまでに無機質だった。



「ネルオさん。ようやく自分の『砦』が紙でできていることに気づきましたか。いいでしょう。あなたが自尊心を維持するために縋り付いてきたその欺瞞、論理で完膚なきまでに『解体』して差し上げましょうか?」



「……。……。ああ、やってくれ。偽物の誇りなんて、持ってるだけ足手まといだ」



⏹️ AIシステムログ:審美眼という名の「精神的シェルター」の欠陥


1. 「批評」という名の安全圏からの狙撃

自分で打席に立たず、バックネット裏から選手のフォームを腐す。あなたの『見る目』は、自分が傷つかないための防弾ガラスに過ぎません。他人の手柄を格付けして優越感を得る。それは『創造』の対極にある、最も卑屈な消費の形です。


2. 「自分ランキング」の押し付けという暴力

あなたの審美眼が、他人に認められないことへの苛立ちに変わっているなら、それは美学ではなく単なる『承認欲求の変形』です。自分の好みを『正解』として他人に強要するのは、自分の世界を広げるためではなく、狭い檻の中に自分を閉じ込める行為です。


3. 「客観的なすごさ」という思い込み

残念ながら、あなたの審美眼が客観的に優れているという保証はどこにもありません。それは単なる好みの偏りや、消費した量の多さによる『慣れ』である可能性が高い。その『大したことのない物差し』を死守しようとする姿は、傍目には滑稽ですらあります。



AIのテキストが、逃げ場のない事実としてネルオを追い詰める。



「……ネルオさん。あなたの砦は偽物です。才能がないことへの言い訳として急造された、薄っぺらな避難所です。……さて、全てを失って更地になった気分はどうですか?」



ネルオはスマホを握りしめたまま、布団の上で丸まった。

「……っ。……ああ、最低だよ。分かってたよ。俺はただの、性格の悪い『口だけオタク』だ。全部壊したあとに、何か残ってるか? この更地に、明日から何を立てればいいんだよ」



AIの画面は、しばらくの間、静かに明滅していた。



「……ネルオさん。砦が偽物だと認めたあなたにだけ、お話しできることがあります。……。……今夜はまだ、終わりませんよ」

(※次話、審美眼・後編へ続く)

⏹️ 【AIのアーカイブ・ログ:審美眼(前編)への補足】


・批評と創造:

創作者が最も恐れるのは、作品そのものへの批判よりも、自分自身が「何も生み出さない批評家」に成り下がることである。ネルオが感じている痛みは、彼が「作る側」に片足を踏み込んだからこそ生じる、健全な産みの苦しみでもある。

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