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悪役令嬢、母国を救う  作者: アンフィトリテ
343/348

第342話 悪役令嬢、神罰の第二段階を執行する

(悪役令嬢・プレイヤー視点)

悪役令嬢は、神罰の第二段階を執行します。


[『いいね』いただきました皆様方に深く感謝申し上げます]

「手段を問わぬ、そこの聖女らを斬れ! 斬れ!」


 四十代半ばくらいだろうか、銀髪で色白な肌の、彫の深い端正な顔立ちの皇帝陛下が冷徹な眼差しでわたしを見てくる。

 なるほど、色々半信半疑だった皇帝陛下も(ようやく)わたしを敵認定したってところかしらん?

 役に立たない上に、反逆するなら斬ってしまえって?

 でも、まあ、手遅れなんだよね。


 わたしとしては一度痛い目見てもらわないと気が済まない状態になっちゃってるんだから。


 特にハードリーちゃん=リーラに対して(結果論ではあるけれど)あんなことをしたのは正直許す気はないのよね。

 それこそ一度オドウェイン帝国の政治機能が崩壊しても構わないと思っているもの。


「斬れ、斬れぇ」


 第一皇子殿下だっけ?

 皇帝陛下の命が出たおかげか、お山の大将のごとく叫んでいるけれど、何なのよ、コイツは……お父様似で容姿端麗だけれど、正直イラッとする。


「無駄なことを」


 さっきからバリアをコォンコォンと鳴らすことしかできていないっていうのに、また槍を突き立てようとする騎士さんたち。

 本当に反省なんてしないわよね。


 こうなったら、第二段階に移行するしかないでしょ?


 痛い目に遭って欲しい『人』たちを残して、ランダムにローカルタイムインスタンスを止めていくコードを即興で準備することにする。

 今エルゲーナ側じゃ生成AIでコーディングはできないから、こういうとき、自分でスクリプトを書けるのは大きいわね。


「“Show Editor-2”

 “Show Editor-3”」


proc ShuffleActorList {list} {

set n [llength $list]

for {set i [expr {$n - 1}]} {$i > 0} {incr i -1} {

set j [expr {int(rand() * ($i + 1))}]

set temp [lindex $list $i]

lset list $i [lindex $list $j]

lset list $j $temp

}

return $list

}


set shuffled_actors [ShuffleActorList $actor_names]


foreach actor_name $shuffled_actors {

[$actor_name GetProperty] SetLocalTimeInstance $local_time_instance

update

after 1000

}


 あとは引数を使った実行で半径一キロ圏内のactorを対象として、ただし、『ホワイトリストは除く』ということにする。

 ホワイトリストには、既に特使の皆のactorを登録済。

 あとは皇帝陛下、あの辺の皇族の方々と偉そうな貴族のごく一部、聖職者くらいか。

 ホワイトリスト外の『人』たちには……ちょーっち地獄絵図になるかもしれないけれど、まあ全員時間を止められるだけだからね。

 決して(回復可能な)石化魔法を使っている訳ではないのだ(ここ重要)


 数日間くらい、痛い目見て、泣いて許してって言ってきたら、解除してあげるわ。

 当たり前だけれど、命なんて奪わないわよ。

 正直、『人』が命を落とすなんて、せいぜい天命か、病気か、事故か、天災かくらいでしか起こり得ないほど平和な日本で育っちゃったJDにそんな度胸はない(ドヤァ


 だいたいさあ、このお城で働いている『人』たちだって皆家族がいる訳じゃん?


 わたしのせいで家族を奪われたとかで恨まれたくはないし、そんな目覚めが悪くなるようなこと普通にできっこないのよ。

 だって、これ、リアルだから。

 エルゲーナの現実なんだから。


「“AddActorsToWhiteList”

 “PickingStart”」


 神の目上でホワイトリストに連中を追加していく。

 約三秒で反映されて(なぜか)付随エフェクトで身体が輝いちゃうのよね。


「“Pick”

 “Pick”

 “Pick”

 “Pick”

 “Pick”」


 はい、皇帝陛下。

 第一皇子殿下。

 宰相(?)

 大司教様(?)だっけ?

 あと、皇族らしい方々と高位貴族の一部。


「へ、陛下、お身体が!」


「貴様、何をした!?」


「わ、わたしの身体が!?」


「いやぁ、光ってるぅ!」


 さっきは身体が光った『人』が時間止められたからなあ、パニックになってるなってる。

 まあ、これでも動じない皇帝陛下は、大したものだと思う。

 正常化バイアスというか、自分に不幸が降りかかるとか考えたことがないのね、きっと。

 取り合えず、二十人くらいPickしたところで打ち止めにしておくか。


 コーディングを終えてエディタ画面を閉じたところで、メグウィン殿下とハードリーちゃん、メルーちゃんが駆け寄ってくる。


 そして、銀髪聖女サラマちゃんたちもわたしをじっと見詰めて頷いてこられるんだ。


「メリユ様」


「メリユ様」


「お姉ちゃん」


 皆もわたしが第二段階に移行にしようとしていることは分かっているみたいだ。

 空中キーボードから手を離すと、わたしの手に一人ずつ手を重ねてこられるの。


 いや、なんか、すごくてぇてぇな雰囲気なんだけれど?


 うん、あれよね?

 ご神罰の執行の責任を『わたし一人に押し付けたりしないから』って感じの、皆の気持ちが伝わってくるのよ。


「ええぃ、やぁ!」


「斬れ、切り裂けぇ!」


「聖女を必ずや斬れぇ」


 コォン、コォン……


 そんな中も騎士さんたちは今も必死に槍でバリアを攻撃していて、皇族と貴族の『人』たちはおろおろし始めている。

 これがテラの中世を舞台にした洋画なら、今がまさにクライマックスってな感じ。

 うぅ、二、三日、痛い目に遭ってもらうだけなんだけれどなぁ……既に大分カオスな状況になりつつあるのに、お姉さん、冷や汗掻いちゃうよ?


「皇帝陛下っ」


「うわっ、何事!?

 姫様、メリユ様、ご無事ですかっ!?」


 そして、謁見の間の、開きっぱなしの扉からさっき目にしたアリッサさんとあの女性近衛騎士さんが飛び込んでくる。


 銀髪の北方美人って感じの女性近衛騎士さん。


 うん、強い(確信)

 敵側のサブヒロイン張れそう……というか、第二皇女殿下と良い勝負ね。


「エリガポ公爵令嬢か。

 遅かったな」


 エリガポ公爵令嬢、名前も強い(確信)

 そして何より玉座前まですっと行って跪くまでの流れが、演技みたいにすごい。

 ……いや、彼女もホワイトリストに追加しておかないとね!


「皇帝陛下、畏れながら申し上げます。

 せ、聖女猊下らを討たんされるご決断、陛下が帝国を想うお気持ちの表れであると重々承知しております。

 しかし、何卒ご賢明な……」


「ならん!

 今聖女らを排せねば、我が帝国の命運は尽きてしまうであろう」


 飛び込んできたばかりだって言うのに、女性近衛騎士さんの状況判断は早いなあ。

 にしても、皇帝陛下もちゃんと危機感を持ったか。


「あぁぁ、終わりだ、終わりだ!

 神は帝国中央教会を許されまいっ」


「キーディー大司教?」


 今まで(皇帝陛下の傍で)押し黙っていて影が薄かった大司教様が突然両手を挙げて、喚き出してる。

 ……いや、良いところで邪魔しないでよ、状況が更にカオスになっとるがな!


「実は、せ、先日、中央教会にて神像が血の涙を流し始めたのでございます。

 その直後、雷が落ち、中央教会の尖塔が崩れ落ち……ああ、やはり、神はお怒りであらせられるのだ」


「何っ!? 聞いておらぬぞ!

 なぜ黙っていた!」


「も、申し上げることができなかったのでございます。

 皆、手を汚してしまっておりますのを自覚しておりますゆえ」


 神像が血の涙を?

 わたしは何もしていないんだが!

 ………多嶋さんか! 余計なことを!


「皇帝陛下、お聞きの通りでございます。

 神のお怒りは間違いのないものでございます。

 このまま神による聖なる秩序を乱し、ご神罰を招くようなお振る舞いをなされれば、我が帝国に拭い切れぬ禍根を残すことになりましょう。

 不敬なこととは重々承知しておりますが、聖女猊下らを害するようなことはお止めになり、本軍の即時解体をっ……」


「ならん!

 神の神像が血の涙を流したからといって、神に何ができるというのだ」


「既に軍船が多数消失してございます!

 おそらく、もはや次はないかと」


 女性近衛騎士さんがローカルタイムインスタンスで時間を止められた騎士さんたちをちらっと見られながらにそう話される。


 ああ、やっぱり何かの洋画を見てるみたい。

 良いよね、女性近衛騎士さんが活躍する映画って。

 わたしも女性だから余計に思うわ。


「お父様、その通りでございますわ。

 わたくしは、神のお怒りを受け、一度は死んだも同然の身。

 神がその気になられれば、帝都ベーラートは一瞬で消失することでございましょう」


「陛下、畏れながらその通りかと」


「テーナ、アレムまで、それほどまでに神を怖れるかっ!」


 おおう、黙っていた第二皇女殿下と第二皇子殿下も追随するの、なかなかよき展開ね!

 けれど、皇帝陛下の方は……ダメ。

 怒りのあまり、提言の一つも受け入れられないみたい。


 まあ、どういう展開になろうと一度はやっちゃう気になってるので……そろそろ始めますか?


 わたしはメグウィン殿下、ハードリーちゃん、メルーちゃんに頷きかけ、『始める』ことを伝えるの。

 と……その前に、アリッサさんと女性近衛騎士さんをホワイトリストに追加っと。


「“Pick”

 “Pick”」


「………っ!?」


「ご心配なさらないでください。

 わたしも光っていますよ?」


 さすがアリッサさん、フォローがうまい。


「さて、仕方がございません。

 ご神罰の第二段階へと進ませていただきます」


「使徒殿、一体何をもって神罰とするか?」


 眼力が強い……けれど、それに怯むわたしだと思って?


「“Execute batch for Stop-LocalTime-Instance-for-AllActors except whitelist.dat within 1,000 m radius”」


 わたしは、わたしの右手の上に重ねられた三人の手の上に左手を重ねて、神罰の第二段階用に用意した音声コマンドをついに実行してしまうのだった。


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