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悪役令嬢、母国を救う  作者: アンフィトリテ
331/349

第330話 悪役令嬢、儀仗を受け、案内されながらに考える

(悪役令嬢・プレイヤー視点)

悪役令嬢は、儀仗を受け、案内されながらに今の自分の精神性について考えます。


[『いいね』いただきました皆様方に心よりのお礼を申し上げます]

 立派な中世ヨーロッパ風のお城にエレヴェティング・プレーンで降り立ったわたしたち。

 エレヴェイティング・プレーン上はバリアで隔離されているんで大丈夫だったのだけれど、着陸時にものすごい土煙を撒き散らしちゃって、正直結構冷や汗だったわよ。

 ちなみに、どかしてくれなかった馬車は押し潰しちゃった(テヘペロ

 まあ、苦情は受け付けないよ。

 警告は出していたんだしね?


 そんなこんなで、今わたしたちは手厚い歓迎を受けているみたいなんだが……麗奈=わたし自身としちゃ、『何のゲームだ、これ?』って思ってしまいそうなほど、異様な光景になっていた。


 聞いた話による儀仗兵っていう兵隊さんたちが出迎えて、敬礼(?)してもらえるらしい。

 いや、まあ、テラとはまた違った文化もあるエルゲーナだけれど、テラにもこんなのあったっけね?

 何にせよ、悪役令嬢もので、悪役令嬢が儀仗兵付きで出迎えられてるとか、記憶にないわ。

 どこの国賓だよって……今のわたしたちがそうか。

 とにかく、何かする度に大事になっちゃうから、色々感覚が麻痺してきそうよね。


「………」


 あと、何が変な感じかって、わたしが天使モードでふわふわ宙を浮かびながら移動していることかな?


 帝都上空からPIN打ちしに来たときは、高度が高過ぎて、自力飛行する勇気が出なかったもんだから、音声コマンドで飛行コントロールしていたんだが、今は高さもないので自分で背中の翼を動かしているんだよ。

 あー、『人間』やめているのね、わたし……とか普通に思う。

 昔、夢で空飛んだことがあったような気もするけれど、もしかすると大天使ファウレーナだった頃の潜在的記憶が呼び覚まされていたりしたんだろうか?

 背中の翼があるのに慣れちゃったら、『人間』形態に戻った後も、まあ影響しそうなんだよね。


 ちょい心配だわ。


 さて、土煙も収まってきたみたいだし、出発しますか?

 わたしは、メグウィン殿下、ハードリーちゃん、メルーちゃん、銀髪聖女サラマちゃんたちの方を振り返って頷きかける。

 いやー、わたしが提案したんだけれど、このフォーメーション、相当イレギュラーらしいのよね?


 護衛対象が真っ先に出てくるとか、まあ、普通はあり得んか?


 でも、天使モードのわたしとお顔が売れているサラマちゃんが真っ先に出てくるのはインパクト大だと思うのよ。

 それに今バリア張っているのはわたしだしね。

 うん、もちろん今はメルーちゃんに加えて、ハードリーちゃんも戦力になっているよ?

 でも、いついかなる緊急事態にも対処できるようにしておこうと思うと、地上ではわたしがバリアを管理しておくのが良いと思ったのよ。

 二人はわたしが教えた音声コマンドを実行するくらいしかできないものね。


 いずれは英語も勉強してもらって、音声コマンドの中身を理解した上で実行できるようになって欲しいけれど、今はまだそのときじゃない。


 わたしが責任持って、皆を護って、謁見の間というところまで行かなきゃいけないのよ。


「儀仗兵、敬礼!」


 おお、凄い!

 槍が少し傾けられた?

 エルゲーナの国賓の出迎えってこんな感じなんだ。

 しかし、槍の揃った動きが格好良いなあ。


 乙女ゲーじゃ、主人公=ヒロインが王子様や高位貴族令息と結ばれるのが定番だけれど、外交使節と活躍するって……うーん、まあ、あるちゃあるか?


 タダ、多嶋さんとこの会社がリリースしている乙女ゲーにその手のはなかったわね。

 だから、馴染みがないっていうのはあるんだけれど……うーん、悪役令嬢が天使として外交使節の先頭で仕切ってるとか、頭に何か湧いてんじゃないのって思っちゃうわ。

 もうエルゲーナがリアルって分かっているから、シナリオ云々言わないけれどさ。


 おや、あの通路の真ん中で待ち構えているのが儀仗兵のお偉いさんなんだろうか?


「オドウェイン帝国皇帝の名において、帝城は、特使の方々を歓迎するっ!」


 それっぽいなあ。

 髭面だし、年齢的にもそうなんだろう。

 多分、この『人』が謁見の間まで誘導してくれるんだろうか?


 おお、アリッサさんもいるじゃん!


 わたしを見て、次に下の特使の皆を見て、何かにギョッとしているみたい?

 ……ああ、わたし=メリユが二人いるのに気付いてくれたのかな?

 先に帝国に行っちゃっていたアリッサさんには、ハードリーちゃんのこと、伝わっていないもんね?

 そりゃあ、びっくりもしますわ!


 あとで説明してあげなきゃねと思いつつ、わたしは宙に浮かびつつ前進していく。


「っ!」


 儀仗兵のお偉いさんが突然慌てたように動き出す。


「儀仗兵、十歩後退っ!

 使徒様のお翼に槍を当てるなぁっ!」


 ああ、翼か……ごめん、まだわたし、自分の翼広げている状態での周囲との距離感みたいの掴めてないのよね。


 確かに翼を広げたままだと、槍に当たりそう?


 でも、大丈夫、翼を広げたままのわたしと特使の皆を護るためにその幅でバリア張っているから……って、儀仗兵の『人』たちにぶち当たるのか!?

 そりゃあ、お偉いさんも焦るわね。

 向こうは槍が翼に当たったらと心配してるんだろうけれど、こっちはバリアに儀仗兵の『人』たちに当たりそうと心配してるとか、ああ、何なんだ、この状況。


 まあ、今回のバリアは前面にシリンダー(円柱)の半分とその後ろにキューブ(直方体)の組み合わせでバリア生成したから、多分押し退ける形で機能するから大丈夫なはず。


 とか思ってる間に、バリアの前面の曲面に槍が当たったみたいで、コォンという音がして儀仗兵の『人』たちが槍を慌てて持ち直していくのが見えるの。

 あれね、テラの『人』が想像できるもので言うと、モーゼが海を割るヤツを思い出しちゃう。

 いや、まあ、そこまで大袈裟なものじゃないんだけれどね?


「……」


 それで、これ案内してくれる人っているんだっけ?

 そろそろ、特使の皆がエレヴェティング・プレーンを降りて、儀仗兵の敬礼を受けている中に入り切った頃合いだと思うんだが。

 通路の両側に兵隊さんがいるだけで、誰も……いなくない?


 ヤバい。


 これ突き進んじゃっても良いの?

 乙女ゲー、やり込んでいるわたしでも、こういうシチュエーションは未体験よ?

 視界の右隅に、わたしに追い付いてきてくれているアリッサさんの方を見る。


 うん、さっきから気になっていたんだけれど、アリッサさんの傍にいる『人』は誰だろう?


 綺麗な銀髪で、色白で、帝国皇女様に少ーし似ているような気もするけれど、若干気が強そうなというか、まあ、顔立ちは違うのかしらん?

 歳は、そうねぇ、アリッサさんよりは年下という感じ?

 カーレ殿下たちと同じくらいかもしれない。

 んで、その『人』とアリッサさんが何やら話し合っているみたいなんだけど、テンパってるみたいね?


 ああ、(慌てた様子で)出てきた出てきた?


「ぉ、お待たせいたしまして、誠に失礼いたしましたっ!

 天よりの御使い様、聖女猊下、ならびにセラム聖国、ミスラク王国の御随伴の方々。

 こ、これより、謁見の間へとご案内いたしますっ!」


 鎧からいって、帝国の若い女性近衛騎士の『人』なんだと思う。

 かなり緊張しているっぽいけれど、背筋をピンと張って、声も凛と響いて、なかなかに格好良いんじゃないの?

 何はともあれ、案内の『人』が出てきてくれてホッとしたよ。


 いやー、アリッサさん、GJっ!


 もちろん、サムズアップしたりはしないけれどね。






 わたしは案内人さんについて、お城の中へと入っていく。

 神の目や上空から見たことはあっても、地上数mの高さをふわふわしながら、突き進んでいくと、また違ったものが見えてくるのよね。

 元は……もっと立派だったのだろう、庭園。

 大きい木が幹の途中で折れちゃったり、植え込みの木々もその枝とか花とか葉っぱが周囲に散っちゃったりしているし、石像みたいのもあちらこちらで倒れたりしちゃっていて、見るも無残って感じなんだが。


 これ、わたしのせいか?


 うん、多分、衝撃波のせいだよねぇ。

 神の目で見ていたときよりもリアルな被害に心が痛むぜ。

 まあ、主に木々に対してだけれどね?

 帝国のお偉いさんの石像に対しては……何も思わないね。

 大天使ファウレーナの怒りを思い知れって感じよ。


「……」


 はあ、しかし、わたしの精神状態、本当に大丈夫なんだろうか?

 元が大天使だろうが、何だろうが、精神性がほぼテラのJDのまま、これだけの力を手にしているって言うのはねぇ?


 少年誌、青年誌の漫画を見ていれば分かるじゃない?


 大き過ぎる力を手にして、それを自由にできるって分かったら、必ず何かやらかすのが『人間』なのよ。

 現代のリアルでだって、常任理事国の核保有国の大統領なんか力で秩序を捻じ曲げたりしている訳よね?


 で、多分わたしは核保有国の大統領に対してでも威圧することができる。

 核攻撃受けてもビクともしないし、物理的にどうこうできる存在じゃないのよね、今は。

 逆にわたしが攻撃しようと思えば、指定領域の全てをこの宇宙から抹消することができる。

 クリッピングして、デリートする命令を実行するだけで、跡形なく消し去ることができる。


「うん……」


 それだけの力を手にしていて、わたしは……わたし自身が暴走して秩序を乱すようなことのないよう、今のこの精神を維持できるんだろうか?


 わたしはいつの間にかすっかり背中に馴染んだ翼の感覚にゾッとするものを感じながら、エルゲーナで一番大きいらしいお城を見上げるのだった。

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