78話 最後のお泊り
あれから僕の休みの日には、遥と車で買い物に出掛けたり、映画を観に行ったり、雑誌でラーメン特集があればその店に行ったりと、まるで新婚生活みたいな生活をおくっていた。
しかし、9月になれば遥も後期の授業が始まり、この当たり前の日常もそろそろ終わりを迎える。
僕はソファに座りながら、お風呂から上がった遥と、仕切り用のカーテン越しで話し掛けた。
「ねぇ、遥」
彼女はカーテンからひょこっと顔だけを出して、声を発する事無く、『はい』と答えた。
「明日の休みが終わったら、家に帰らなきゃならないだろ。最後にほら、前に遥が言ってたアウトレットに行くってのはどう?遥の運転で」
そう言うと、顔を出していた彼女は、カーテンの中にサッと戻り、スマホに文字を入力して話しの続きをしてきた。
『いいですね。プレゼントもまだでしたし』
「で、その後、夕方くらいに着くように海にでも行かない?その時間帯だったら、海水浴客も殆どいないだろうし」
『えっ!!私の水着姿が見たいんですか?(笑)v(*^_^*)v』
遥は照れた表情を浮かべて、お風呂上がりで穂のかに赤みがかった頬に、濡れた髪の毛と左肩をチラッとカーテン越しから出して、グラビアアイドルみたいにセクシーポーズして見せた。
か、可愛い~。
その仕草に僕は、ついつい見入ってしまい、そんな彼女も、じぃ~と見られて恥ずかしかったのか、また直ぐにカーテンの中にそそくさと戻っていってしまった。
「べ、別に着ても良いけど、ほ、ほら、遥と海って行った事ないし、何て言うか~、え~と、思い出作りにどうかな~、って思っただけなんだけど・・・。最後だから、家でゆっくり過ごす方が良いかな?」
今までの彼女はどちらかと言うと、引っ込み思案な感じと思っていたのだけれど、ここ最近は積極的っと言うか、前向きな考え方になったと言うか、以前に比べたら、何だか笑顔が増えた様な気がする。
そんな遥の違った一面を見て、僕は少し動揺してしまい、どもりながら答えてしまった。
彼女はカーテンを、「サァ~」と開けると急いで僕の前にやって来てちょこんと正座し、両手を膝の前に着いて、『はい!!行きます』と声を発する事無く口だけを動かし、満面な笑みを浮かべてそう答えた。
急いで来たからかパジャマの上のボタンが止まっておらず、僕は彼女の胸の谷間に目が釘ずけになってしまった。
「あの~、遥さん。ちょっと間近にいて刺激的なんですけど・・・」
僕の視線に気付いたのか、「きゃっ!!」となって僕に背を向けてボタンを締め直し、また急いでお風呂場のカーテン越しに戻って行き、ドライヤーの音が聞こえてきた。
するとその後直ぐに、テーブルに置いていた僕のスマホに遥からのメールが届いた。
うん!?何だろう。
『片瀬さんのヘンタ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~イ!!(笑)(#^.^#)』
変態って・・・。いや~、そこは責めてエッチ~、って言ってくれた方が良いかなぁ。
彼女の言葉に少し悩ませられながらも、僕等はこの後、最後の夜を共に過ごした。




