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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
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71話  遥と初めての夜(1)

 僕は今、湯船に膝を曲げて顎まで浸かっている。て言うか、浸かっているって言うより考えている。

 

 遥は今日、てか夏休みまでかは分からないけれど、泊っていく。いや一緒に生活する事になるのだ。

 

 遥も僕と同じ思いなんだろうか・・・。


 そんな事を色々考えていたら、身体を洗って湯船に浸かってから既に30分位は経っている。

 

 お風呂から上がった僕は、「いいよ」と遥に告げると、『は~い』と口を動かして、少し照れながらお風呂場に向かって行った。


 洋室に来ると、コタツ用のテーブルは端っこに移動され、僕と遥の布団がピッタリとくっ付いて敷いてあった。


 僕は、扇風機で髪の毛を乾かしながら、ジィ~と布団の配置を眺めていた。

 

 ピ、ピッタリ、だね~。


 近くで聞いてる扇風機の風よりも、「バシャ、バシャ」と時折お風呂から聞こえて来る身体にお湯を掛ける音の方が妙に気になって聞こえていた。


 これはやっぱり、オッケーと言う事なんだろうか?

 いやいや、ここは少し布団を離して今直ぐじゃなくても良いよ、をアピールした方が良いのだろうか?


 腕を組んで考え事に夢中になってたので、髪型が変な形で乾いてしまい、慌ててドライヤーでセットし直した。


 テレビでもつけて、音で紛らわしておこう。


 暫くしてお風呂から上がってきた遥は、パジャマ姿で濡れた髪の毛をタオルで巻いていた。


 彼女が通った後には、リンスの甘い香りが漂っていた。


 ドライヤーで髪の毛を乾かしている間、テレビの方を僕は見ていたけれど、じゃあ内容を説明出来るのかって聞かれると、政治家の人じゃないけれど、たぶん僕はこう言うだろう。「記憶にございません」って。

 

 ドライヤーの音が途切れ、遥は僕の肩をトントンと軽く叩き、スマホに文字を入力して送信してきた。


『明日は何時頃、家を出るんですか?』と、首を傾げて聞いてきた。


「え~と、遅番だから9時30分までには、家を出るよ」


『はい、分かりました。それまでにお弁当を作っときますね』


「うん、ありがとう。でも、冷蔵庫見たら分かると思うけど、いつも冷凍食品で電子レンジでチンしてるやつなんだ」


『簡単ですものね。でも、最近の冷凍食品って美味しいの多いですから』


「そだね」


『でも、明日は、頑張ります ᕦ(ò_óˇ)ᕤ』

 遥は絵文字と同じようにガッツポーズをして見せた。


「ありがとう、昼ご飯楽しみにしてるよ」

 そう言って僕は、遥の頭に軽く手を置くと、彼女はにかみながら肩をすくめた。


「さぁ、寝よっか」


 彼女は緊張した面持ちで、『はい』と少し頷いて布団の中に潜り込む。


 ドアは防音になっているので、部屋の中はシーンとして外からの音は聞こえない。

 電気を消しても、豆電球の明かりだけは残している為、薄っすらと部屋の様子をうかがえる事が出来た。


 遥の様子を見ると、天井を見ながら鼻まで掛け布団を被っている。


 しかし、彼女も僕の視線を感じたのか、僕の方に目を向けた。


 お互い布団の中で身体を動かし向かい合う。


 僕は自然と、「遥」と言って手を伸ばす。


 彼女も察してくれたのか、ゴソゴソしながら僕の布団までやってきてお互い抱き締めあった。


 遥の身体の温もりが僕の身体に伝わってくる。


 僕は彼女の髪の毛をそっと撫でると、目を瞑って僕に身を任せた。


 そんな彼女の様子を見て、僕は遥の唇にゆっくりと顔を近付けた。






















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