63話 遥が家にやって来る日
休みの日は目覚ましの電源は付けずに、自然と目が覚めるまで布団の上でゴロゴロしているのだけれど、今日は遥が家にやってくるので、いつもの仕事に行く時間と同じくらいに起きて彼女を迎える準備をしていた。
太陽の日の光がベランダに当たってる間に、自分の布団と押し入れに入れていた予備の布団を物干し竿にのせる。
ふぅ~、予備の布団があってよかった。
ジーンズのポケットにしまっていたスマホを取り出し、天気予報のアプリで、この地域周辺の降雨状況を確認する。
思い返せば去年、布団を干して買い物に出掛けている時だ。さっきまで天気が良かったのに、急に雨雲が現れ、あれよあれよと言う間に雨に降られてしまい、敷き布団がビショビショになって何とも悔しい思いが今でも覚えている。
「もぅ、天気予報め~」と思いきや、実は天気予報はその時間帯だけ雨が降る事を前もって予測していた。
そんなやりきれない思いを押し殺し、僕はその晩、掛け布団敷いて寝た事が1度だけあったので、それで、一応お客さん用も兼ねて予備の敷き布団を買っていた。
続いてキッチンとお風呂場とトイレを掃除して、いつでも遥が来ても大丈夫な様にスタンバイをして待っていた。
すると、スマホに着信を知らせるメロディーが鳴り響く。
遥からだ。
『今から自転車に乗って行きま~す ヽ(´▽`)/』
「うん、気をつけておいでよ」
『は~い ♪( ´▽`)』
何か待ってる僕の方がそわそわするなぁ。う~ん、あっ、そうだ。暇つぶしに読みかけの小説でも開いて待ってよ。
僕は、3段式のカラーボッスに置いてあった小説を取ろうと手に触れた時、ピンポーンと聞こえる呼び鈴が部屋に鳴り響いた。
あれ?さっきメールの着信があったから、遥じゃないだろうし。いや待てよ、今から行くよって言っときながら、実はビックリさせようとして下の駐輪場からメールをしてたりして。
ひとり勝手に想像してワクワクしながら、玄関先で「は~い、今開けま~す」と言ってドアを開けてみた。
僕の目の前には、ストレートヘアーのスラットした女性が立っていて、お互い目と目が合った瞬間、その女性の方から先に口を開いた。
「おはようございます、お兄~さん」
その女性は、挨拶すると同時にお辞儀をしてきた。顔を上げるとそこには、頬笑みを浮かべた麻衣の妹である亜季ちゃんが玄関先で立っていた。




