46話 ドライブの約束(2)
次の日の金曜日。遥が大学から帰って来るまでの間、部屋を掃除して、晩ご飯の下準備を整えていた。
するといつしか時間は昼近くになり、僕のスマホに遥からのメールが届いた。
僕の家から車で20分の所に、遥の住まいがある。
遥に会えるのは嬉しいが、正直、助手席に補助ブレーキが無い状態で、初心者の運転の横に乗るのは、大学時代の免許取り立ての友達以来だ。
確かあの時の友達は、免許取得後1週間くらいだっただろうか。合コンに行くから、その人数合わせとして僕に白羽の矢が立った。
その頃、僕と麻衣とは、既に親しい間柄だったが、「せっかくのお誘いだから行ってくれば」と、麻衣にサラっと言われて、渋々連れて行かれたのを今でも覚えている。
しかもその友達は、ミッション車で迎えに来てくれたのは良いが、ギアチェンジをするたびにガックン、ガックンとノッキングするし、ブレーキはきついし、おまけに芳香剤の匂いは最悪。目的地に着いた時には、車酔いでノックダウン。
それを帰ってから、麻衣に状況を話すと、「何それ~」と、お腹を抱えて笑われた。
「何それ〜じゃないよ、もう大変だったんだから。いや、そんな生温いもんじゃないな、ただの拷問だね。ちょっと降ろして、吐きそうって言ったら、その友達は、こんな所で止めたら、後ろの車の迷惑になるから無理〜、って言われてさぁ」
僕がそう言うと、麻衣は「もぅ~、悠が弱ってるとこ想像出来る~」と言って、目に涙を浮かべて、ケラケラと笑いだした。
でもまあ、自分の車だし、オートマだから大丈夫だとは思うけど・・・。う~む、やっぱりちょっと不安。
どういったルートで走行するか、頭でイメージしながら車を走らせた。
遥の家は、坂を上った所にある高級住宅街の一角にかまえている。
そんな遥の家の近くに辿り着くと、彼女は家の玄関先で待っていてくれて、僕の車に気付いた途端、手を振って出迎えてくれた。
今日の彼女は、ジーンズ姿て、胸元に英語の文字が書かれた白のTシャツに、その上から白の長袖のシャツを羽織っていた。
家の前に止め、車から降りた僕は、「お待たせ」と遥に声を掛けた。
すると遥は、スマホに文字を入力した後、僕のスマホに送信してきた。
『お久しぶりです、片瀬さん。今日は宜しくお願いします』
「うん、じゃあ、今日は先ず、遥の家の周辺を走行して、慣れた所で、近くに出来た大型のショッピングセンターまで行って、ランチを食べに行こう」
僕がそう言うと、遥は笑顔を浮かべて、『はい』と頷いた。




