19話 1泊2日旅行(7)~後片付け編~
いっせいに勢いよく打ち上げられた花火は、ラストをかざり、見ている人達をくぎ付けにした。
夏の風物である花火大会が終わると、観客はぞろぞろと歩きだし、「音、凄かったね~」とか、「来年もまた来たいね~」とか、口々に感想を言いながら帰路につき始めた。
僕達は、そんな人混みが少し引くのを待ってから、今日の寝どこであるログハウスに戻る事にした。
「花火見るの久し振りだよ」
『私もです。子供の頃、夏になると良くお父さんに花火大会を連れて行ってもらったなぁ。ちっちゃかった時は、肩車なんかしてもらって見てましたね』
遠藤さんは、ちょっと遠くの方を見る様な仕草で、昔の子供の頃の思い出を幾つか話してくれた。
歩いている距離は同じはずなのに、遠藤さんとの話しながらの帰り道は、行きしなと違って何だか短い距離に感じた。
ログハウスに帰って来ると、高野さんが「おかえり~」っと言って、声を掛けてくれたのに対して、相原は椅子の背もたれに腕を回し、その上に顎を置いてご機嫌斜めな感じで僕に話し掛けてきた。
「片瀬さん!!2人だけで打ち上げ花火を見に行ってたんですか~」
「行ってたよ。てか、誘っただろ」
「私は聞いてな~~~い」
相原は頬を膨らませ、プィっと横を向いた。
「べろんべろんに酔ってただろ、相原は」
「そんな時は水でもぶっ掛けて、「悪霊たいさぁ~ん!!」っとでも言えば素面に戻ったのに~。う~~、私と言うものが居ながら・・・」
良し、次回から迷わずそうさしてもらおう。
「あれ、長谷川さんは?」と、僕は相原に尋ねた。
「長谷川さんは、この施設にあるシャワー棟に先に行きましたよ」
「所で今何時、絵里ちゃん?」と、今度は相原が高野さんに尋ねた。
「20時をちょっと過ぎたぐらいですよ」
「確か22時までだったわよね、シャワー棟の利用時間って」
さっきまであんなに酔っ払っていた相原なのに、嘘みたいにまともな事を言っている。
「閉まる前に早く行っといで。長谷川さん鍵持って行ってないだろうし」
女の子達はシャワー棟に行く準備をしてから、ログハウスを後にした。
さぁ、後片付けをチャチャッとしますか。
そう思い1人で空き缶や紙コップ等、ゴミ袋に分別しながら片付けていると、肩を優しくトントンと叩かれたので振り返って見ると、遠藤さんが僕の背後に立ってスマホを見せてきた。
『やっぱり、1人で片付けてたんですね』
そう言って、遠藤さんも片付けをし始めた。
「ここはいいからシャワー棟に行っておいで」って言おうとしたけど、多分、麻衣と一緒で「こう!!」と決めたら諦めずに実行するんだろうなぁと思い、それ以上口にせず、僕は、彼女の行為に素直に甘える事にした。
ありがとう、遠藤さん。
相原と高野さんは、遠藤さんから『先に行ってて』とスマホを見せられ、急に引き返して行った。そんな遠藤さんが心配になり、後からログハウスに戻ってみると、2人で後片付けをしている光景が目に入り、相原と高野さんは目を合わせ頷いた。
「よっしゃ~!!いっちょやりますか」
腕まくりの仕草をした相原に対して、高野さんも呆れた感じで苦笑いながらこう言った。
「もうあの2人、めんどくさ~~~い」




