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ALONES  作者: 旅がらす
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12/14

3-1 Toma 『禁書目録』

長らくお待たせしました。今回より、後書きにキャラ紹介をしていきます(・o・)ノ

「『禁書目録』……?」


 自らをそう名乗った『彼』に、トウマたちは警戒を解かなかった。アズリがパソコンをギュッと抱き締める。何かあれば、すぐに『遠隔知覚』でパソコンを媒介に、アズリの『声』を病院にいる局員のパソコンや携帯に届けることができる。

 すると、『禁書目録』が楽しそうに笑った。その双眸がアズリを捉え、瞳の色がどんどんと朱に染まっていく。


「面白いですね。電子情報を用いた『遠隔知覚』の一斉送信ですか」

『な……!?』


 行動を先読みされ、アズリの身体が硬直する。すると、それまで一歩も動かなかった渡瀬が前に進み出て、アズリを守るように、二人の前に筋骨隆々な腕を挟ませる。その双眸は、『禁書目録』と同じように朱に染まっていた。


「『分析能力アナライシス』だな」

「えぇ、『肉体強化能力ストロンガー』の一種です。どうやら、貴方も同じ穴のムジナのようですね」

「あぁ。超能力者特別支援局、南方支部支部長補佐、渡瀬政信わたせまさのぶという。先天的覚醒型アポリオリの肉体強化能力者だ」


 渡瀬は淡々とした口調で喋る。すると、『禁書目録』はクスリと笑った。


「先天的覚醒型は珍しいですね。大抵の方は後天的覚醒型アポステリオリだというのに」

「…………」

「さぞかし苦労されたでしょう。生まれながらに『異端』であることは」

「…………」


 『禁書目録』は楽しそうに渡瀬に話しかけるが、渡瀬は沈黙を決め込んだように、黙っていた。それが面白くないのか、『禁書目録』は肩をすくめ、ため息をついた。


「……寡黙な方なんですね」

「喧騒は心を惑わす。私はそう教わった。今の君は騒がしい。本来の目的から脱線しては意味がない」

「…………」


 渡瀬の言葉を聞いて、『禁書目録』は驚いたように目を丸くした。それから、ゆっくりと目を閉じる。


「……そうですね。お遊びはここまでにしましょう」


 次にそう言って目を開いたとき、『禁書目録』の瞳は元の澄んだ黒色に戻っていた。


「とりあえず、警戒を解いていただけませんか。僕は貴方たちと戦う気はない」

「ならば要件と君が『禁書目録』たる証を示してくれないか。私はこれでも用心深いのでね」


 『禁書目録』の申し出に、古賀埜がすかさず答える。『禁書目録』は口を閉ざしたが、それも一瞬のことですぐにコクリと頷いた。


「確かに。貴方たちはそれを確かめる権利があるし、僕は貴方たちにそれを見せる義務がある」


 『禁書目録』はそう言うと、ヴンという音と共に、分厚い百科事典のようなハードカバーの本と羽ペンをトウマたちの目の前に出現させた。


『これは……なんですの?』

「『具現化アポート』という能力です。『催眠能力ヒュプノシス』を応用した、ただの幻覚ではない、『触れる』幻覚を造り出す能力です」

「……アポートとは、『瞬間移動』の発展型ではないのか?」

「あなた方の言っているのは、『座標移動ムーブメントポイント』という能力です。理由は分かりませんが、音無ヒカルは勘違いをしているようですね」


 『禁書目録』はそこまで言うと、さて。と話を元に戻した。


「今、僕が『具現化』した、この『目録』と『羽ペン』こそが、『禁書目録』。レンに宿る力、僕の本当の姿です」


 見てみますか? と『禁書目録』は、トウマに見えるように『目録』を動かし、ページを捲った。そこには、能力の名前が五十音順に並び、それぞれの能力の特性について細かい説明が書かれている。中には、トウマが初めて聞く能力も書かれていた。


「これが、『禁書目録』……」


 古賀埜が息を呑む。その手はフルフルと震えていた。

 『禁書目録』はコクリと頷くと、宙に浮かんだ羽ペンを手に取り、サラサラとページに羽ペンを走らせる。トウマの見るなかで、それは先ほど目にしたアズリの能力を書き留めていた。


「『目録』を所持する者が『視た』能力を『記録』し、自分のものとして『引き出す』能力。謂わば『超能力の百科事典』。それが究極の能力、『禁書目録』です」

「究極の、能力……」


 トウマは息を呑む。『禁書目録』の言っていることが本当ならば、確かにこれは究極の超能力だ。しかし、それならば、『禁書目録』を所持するレンの体は……。

 そんなトウマの想いを、まるで読み取ったかのように、『禁書目録』が代弁する。


「尤も、これまで僕を所持していた能力者は、例外なく若くしてその生涯を終えましたが……」

「……!」

「僕はあまりにも『異端』すぎる。本来、一人の人間が抱えきれない『悪魔』をその身に孕んでいるようなものですから」


 『悪魔』

 そう、『禁書目録』は自分を例えた。

 確かに、超能力は危険だ。使い方一つ間違えれば、十中八九自滅する。そして、レンはあまりに大きすぎる力を持つ上に、その力の制御方法を知らない。


「だからこそ、僕はこうして現れた」

「え……?」


 トウマたちはそれを聞いて、首を傾げた。一体どういうことなのか分からずにいると、『禁書目録』が話を続ける。


「僕が今、レンの身体を借りて皆さんの前に現れた理由はニつあります。一つは、レンの保護依頼です」

「……保護依頼?」

「はい。レンはまだ力を使いこなせない。僕がこうやって出てくれば、それは解消されますが、解決にはならない」

「……つまり、我々はレンくんが能力を使いこなせるように手伝いをする、ということか?」


 古賀埜が訊ねると、『禁書目録』はコクリと頷いた。すると、それまで黙っていたアズリが『あのあの』と口を挟む。


『し、しかし、そんなに危険な能力をどうやって使いこなすんですの?』

「確かに、レンでは僕を完全には使いこなせない。でも、『触媒カタリスト』を利用すれば、危険度は低くなるはずです」

「『触媒』……?」

「えぇ。能力をレン本人から引き出すのではなく、実際に存在する物質を介して使用することで、能力強度を調整できれば、危険度はいくらか低く抑えられるはずです」

「はずって……随分と曖昧なんだな」


 『禁書目録』の言葉に、トウマは不安感を抱いた。『禁書目録』は、初めての試みであるから実例がない。ある種の賭けである。と肩をすくめた。


「では、問題はその『触媒』だな。実際に存在するもので、且つ能力を介するのに適した形、か……」


 古賀埜がそう言って腕を組む。トウマも『触媒』になりそうなものがないか、思考を巡らせた。しかし、どれもいまいちで、これだ。と思えるものがない。他の皆も同じようで、意見はなかなか出てこなかった。

 沈黙を破ったのは、意外な声だった。


「……ケータイ」

「え?」


 それまで黙っていたヒロが口を開いた。


「あずっちのパソコンみたくすればいいにゃ。ケータイならカメラやダウンロードで『記録』できるし、『引き出す』のだってデータフォルダを使えば楽々ー」


 一瞬の沈黙。ヒロは何故みんなが黙っているのか分からず、首を傾げている。次の瞬間、ヒロ以外の全員が、大きなため息をついた。


「まさか、兼村に先を越されるとは……」

『うぅぅ。お姉サマ、どんまいですの〜』

「何か、すっげー悔しいな……」

「まぁ、彼には悪いが……」

「ですね……」

「みんな俺っちのことバカにしすぎだにゃー!」


 あまりの全員の落胆ように、ヒロもさすがに憤慨する。しかし、彼の案は誰も否定はしなかった。


「携帯電話か。確かに、今どき小学生が持っていても違和感がないな」

『電子機器への能力付加なら、私が教えられますの!』

「携帯電話なら、使っていくうちにすぐに使いこなせるしな」

「……決まりですね。では、これ以降の対処はそちらでお願いします」


 『禁書目録』は微笑むと、『目録』と『羽ペン』をしまった。


「では、二つ目の目的へと移りましょうか」


 そう言って、『禁書目録』はトウマに向き合った。次の瞬間、霧が二人を包み込む。


「これは……?」

「『念動力能力』と『催眠能力』の合成能力、『拒絶する霧キャンセラー・ミスト』です。能力者と能力者が許可したもの以外を『拒絶する』能力。長いので、僕は『鳳仙花』と呼んでいます」

「……花言葉は、『私に触らないで』……だったか?」

「おや、意外ですね」

「こう見えて、ガーデニングが趣味なんでね」



 二人の間の空気が和らぐ。しかし、それも一瞬のことで、すぐに二人は真剣な表情で向き合った。


「貴方は、自分の能力について、知らないことが多い」

「…………」

「『炎纏いし蜥蜴サラマンダー』は、貴方が想像している以上に、強大且つ凶悪な能力です」

「…………」


 トウマは黙って聞いていた。『禁書目録』は、トウマの能力について、全てを知っている。自分が言葉を挟む必要はない。そう、判断した。

 『禁書目録』は、再び自身の『本体』を具現化した。パラパラとページが捲られ、真ん中を少し過ぎた辺りのページで止まる。


「念動力能力には、幾つか種類がある。それはご存知ですよね?」

「一応はな」


 トウマは『禁書目録』の問いかけに頷く。トウマ自身も、その一人だ。


「では、その内、『世界を構成する』四つの元素を操る能力については?」

「世界を構成する?」

「はい。西洋魔術においての四大元素、さらに中国の各方位を司る四神になぞらえた、四つの能力」


 『禁書目録』の言葉に合わせて、『本体』のページが一枚捲れる。そこには、彼の言う四つの能力と、見慣れぬ言葉が並んでいた。


 世界に根付く、四つの要素ファクター、地・水・火・風。そして、要素を司る四種の『念動力能力』

土使いソイル・マスター

水使いアクア・マスター

発火能力者パイロキノ

風使いエア・マスター

 それらの能力者の頂点に立つ八人、『四方陣しほうじん』、『四大元素エレメント

 四種の能力集いし刻、巨大な力、世界を包まん。


 そこまでで、文章は終わっていた。『禁書目録』は『本』を閉じて『具現化』を解く。


「お分かりでしょうか。貴方が如何に強大な能力者であるかを……」

「……一つ、質問していいか?」

「どうぞ」

「頂点なのに、何で二つある?」


 トウマが訊ねると、『禁書目録』は、腕を組んだ。


「確か、互いの能力が特化している部分の違いによるもののせいだったと思います。例えば、貴方の『炎纏いし蜥蜴』は一点集中攻撃特化型の能力、それに対して貴方の『裏』、『四方陣』の『朱雀』は広範囲攻撃特化型といった風に。」

「…………」


 さすがに、それだけの説明ではトウマは納得できなかったが、深く突っ込むのは止めた。深く言わないということは、今はまだ言えないということなのだろう。

 『禁書目録』は、話を続けた。


「僕は、『四大元素』の『真名』を持つ能力者を、ある目的の為にずっと探していました」

「ある目的?」


 トウマが訊ねると、『禁書目録』はそれまでの饒舌が引っ込んでしまったように口を閉ざした。その目は、どこか悲しそうだ。

 少しして、『禁書目録』はようやく口を開いた。



「……僕の目的を、今お話することはできません。でも、『四大元素』が全員見つかったとき、必ずお話します。だから、お願いします。どうかその時まで、僕の味方になってください」


 『禁書目録』は、そうトウマに懇願した。そこには、トウマには計り知ることのできない決意が秘められているのだろう。附に落ちない点がいくつかあったが、トウマはゆっくりと頷いた。それを見て、『禁書目録』が安心したように肩を揺らした。と同時に、眠そうな表情で小さく舟を漕ぎ始める。


「どうした?」

「少し、こちらに居すぎたようです。力が出ない……」


 『禁書目録』の言った通り、すぐに『拒絶する霧』が解除される。『禁書目録』が前に倒れそうになる。トウマはベッドから身を乗り出して彼を受け止めた。


「見て、いろ……『   』……」

「え?」


 トウマの腕の中で、『禁書目録』が小さく呟いた。トウマはもう一度耳を傾けたが、『禁書目録』はそれきり何も言わなかった。

登場人物 No.01


名前:五十嵐イツキ

性別:男

年齢:16歳(高校一年)

能力:後天的覚醒型

   念動力『風使い』

   遠隔念動力(媒体はスケボー)

性格:面倒くさがり

   短気

特技:困って(悩んで)いる人を瞬時に見分ける


備考:一応、主人公。

   何故か、老若男女関係なく好かれやすい(特に男に好かれやすい)

   七年前にある理由で覚醒した。イツキの昔を知る人間はほとんどいない。ある雨の日にトウマに出会い、今に至る。

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