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濾過
路面電車のチンチンと放っている音が空回りし、町に響く。
松山駅は風情が既に漏れ失せ、閑散であった。
夜行バスでほぼ寝ずに遠出したのが原因であろうか、彼の身体はそう感じ、それを受けた頭は残念という感情を発生させていた。
その路面電車で道後温泉まで行ってみたはいいが、ここらへんのどこかに穴が空いているのであろうか、やはり風情は少ない。
かの漱石が愛した3階席の個室で食った団子は美味かった。
風情とは如何なるものであっただろうか。
もしかすると風情はそこにどんと息をしていて、それに気づかず、勝手に落胆しているだけではなかろうか。考えれば考えるほど分からなくなっていた。
片田舎の町を電車でゆられている。
おととい、きのうと一転、旅全体の速度感が一定に収束するかのよう、静かな時間が流れてる。
ふと、松山驛の景色が脳裏に浮かんだ。




