第9話 鹿肉の焼き肉 後編
肉屋さんに獲って来た鹿の解体から捌きをお願いして、待ち時間に東門経由で牧場へお馬さんを預けに。
東門の守衛隊長さんに報告
『隊長さん、肉屋さんで解体から捌き引き受けてくれました』
最初から、親切にしてくれてる守衛の皆さんを焼き肉へお誘い
『薬屋婆さんの所で、捌いてもらったお肉で焼き肉をする予定なので良かったら来ませんか』
『あと、荷馬車の御者をしてくれた守衛さんも良かったら』
「ご馳走してくれるのか」
焼き肉と言ったら麦のシュワシュワ
『良くしてくれてるお礼です、ただ、飲み物は持ち込みして下さいね水しか無いですよ』
「御者した2人喜ぶぞ、あと若いのを1人良いか」
4人の守衛さん、1人だけ呼ばないのは酷いですよね
『笑顔の眩しい人ですよね、では、お馬さんを牧場に預けに行ってきます』
「ここで預かっても良いぞ」
やっぱり優しい守衛隊長さんです
『牧場主さんも焼き肉に誘いたいので行ってきます』
牧場に到着
牧場主さんに声を掛けます
『お馬さんをまたお願いします』
「厩舎に入れておいてくれますか、実は、馬達の食欲が無くて困ってるんですよ」
オイラ専用のお馬さんを厩舎へ、ん?オイラに熱い視線を向けてるお馬さん達、勘違いではありません。
牧場主さんのお馬さん達が食欲無い、もしやと思いニンジン出したらヒンヒン鳴きだしました。
餌桶にゴロゴロと入れていきます、お馬さん達は贅沢になっちゃたんですね。
此から牧場に来るたびにニンジンの差し入れをする事に、まだまだ、スキル-収納の時間経過無しに沢山ありまから。
牧場主さんを薬屋での焼き肉にお誘い
『今日、街の薬屋で鹿肉の焼き肉を予定してます、良かったら家族で来ませんか』
「良いのか、牧場経営でも肉を食べるのは皆と同じで機会が少ないんだよ」
忘れずに、麦のシュワシュワが無い事を伝えときます
『待ってますよ、ただ、飲み物は持参してくださいね水しか無いですよ』
東門
素通りです。
再度、肉屋へ来ました
焼き肉、参加人数か多くなりそうなので
『鹿肉、半分持ち帰りさせて下さい』
食べきれなかったらスキル-収納の時間経過無しに見つからないように入れておけばと
『捌き賃は、残りを置いてけば良いですか』
「おいおい、毛皮も置いていってくれるなら捌き費用を差し引いても、この状態なら大銀貨2枚で買い取るぞ」
鹿1頭で大銀貨4枚以上って事、薬草採取より効率良いじゃん。
状態って条件付き
『買い取り金額、状態で違うんですか』
次回の為に確認です
「普通、持ち込まれた段階で獲ってから2日以上は経ってるんだが、血抜きも不十分で、ここまで状態の良いのは滅多に持ち込まれない」
次からも同じ状態で持ち込もう
『では、次回からは買い取りお願いします』
肉を担ぎ上げます。
「次回からって、金は要らないのか」
昨日から何度も、領主さまからの盗賊退治報酬が有りますから
『はい、次回からは買い取りお願いします』
店を出ました。
薬屋まで肉を担いで戻ると
婆さん
「遅いぞ!」
え!遅いって
『夕方までに採ってくればって』
担いでる肉を見せて
『今日、ここで焼き肉、牧場主さんの家族と東門の守衛さん達を誘ったんです』
「なに勝手に誘ってる、台所を貸すと言ったが、焼き肉する場所とは言って無いぞ」
言うと思ってました
『これで勘弁してください』
担いでる肉を降ろして、中薬草と上薬草を各10束、いつものように、手持ちの革袋から出したように見せかけてスキル-収納の時間経過無しから出して渡します。
「しょうが無いな」
得意の満面の笑みで
「煎じるの手伝えよ」
鹿肉の焼き肉
薬屋の裏庭で行う事になりました。
参加者は
薬屋婆さん
薬屋の両隣さん(匂い対策でお誘い、7人)
東門の守衛さん4人(隊長さん、御者をしてくれた2人、若い人)
牧場主さんの家族4人(年頃の娘さんが居ました)
なぜか、誘ってない商業ギルドマスターの爺さんに受付嬢さんが2人が居ます、1人は前にお会いした黒髪が特徴のヌレガミさん、綺麗な受付嬢さんはいいんですが、商業ギルドマスターの爺さんはなぜ居るんだよ。
オイラを含めて20人、よかった肉を多めに持ち帰ってきて。
オイラは焼き担当、秘蔵の付けタレを使用、味?、オイラは焼き焦げしか食べれなかったので判りません、各種部位、全て食べ切りました、ただ、皆が笑顔で美味しい・旨い・最高と言ってくれたので満足です。
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焼き肉参加者の会話
薬屋婆さんに商業ギルドマスターの爺さん
「「いや~、便利な奴きたな」」2人の総意
「爺、若造が余所へ行かないよう頼むぞ」
「領主さまから、既に屋敷を預かってるので、理由を付けて若造に提供だ、商業ギルドは、嫁候補として人気の受付嬢を連れて来たぞ」
「若造、牧場の娘を気に入って誘ったんじゃないのか」
「盗賊退治報酬の馬を牧場に預けたので焼き肉に誘ったと言っていた、牧場主に娘が居るのは知らなかったそうだ」
「そう言えば若造、馬を手に入れたって言ってた」
「14頭だぞ、一財産を無償で預けるか」
「牧場主も若造の恩恵を受けたのか」
「東門の守勢隊長は、牧場のだった馬を安く売ってやってと言ったそうなんだ、若造、なぜ全部預ける」
「買い取れなくて悔しいのか」
「そうだよ」
「盗賊退治で充分若造からの恩恵を授かったろう」
「それより若造に謝ったか」
「謝る?」
「若造が、誘ってない商業ギルドマスターの爺さんが居ると気分を害してた。ババが声を掛けたと言ったら、次は誘わないでと言われたぞ」
「本当か、この肉もう食えんのか」
「盗賊退治報酬と違約金話、謝る気は無いのか」
東門の守衛さん達
「ユウさん、盗賊を捕らえて来ましたけど、夜の見張りとかどうしたんですかね」
「馬だって勝手に付いてくるって」
「分からん、ユウに関しては分からん事ばかだ」
「見ましたよ盗賊11人、あんなのを相手に戦ってたら俺ら殺されてましたよ」
「同感」
「ユウさんは命の恩人です」
なぜか、若い守衛さん、輝いた目でオイラを見ています、ちょっと怖いです、オイラ、そっちでは有りませんからね。
薬屋婆さんと東門の守勢隊長の会話
「婆さん、ちょっと良いですか」
「どうした」
「ユウの事で」
「盗賊退治に行ったと聞かされたときに、上薬草を採ってきたと聞きました。パン屋の娘が元気に成ったのはユウが取ってきた上薬草を飲んだからですか」
「そうだよ、若造が上薬草を採ってきた事、他では話すでないぞ」
「恩人に迷惑を掛けるような事はしませんよ」
「私を含めた、各門の守衛に領主さまの私兵で盗賊討伐を行ってたら今どうなってたか、だからって、盗賊を放置したままでは通商の被害、静養客の減少で男爵領はジリ貧だったと思います」
「門の守衛は、盗賊の被害で商隊に温泉静養客が減ったのに気付かない訳が無いか」
「あと、領主さま、報酬が大金貨1枚では少ないと言ってましたが、渡した時の喜びようを見たら少ないとは言えませんでした」
「充分だよ、若造は大した事をしたとは思ってないから」
「盗賊退治を大した事では無いって、ユウは何者なんですか」
「東門の守衛隊長はどう思う」
「尋常では無いとしか」
「そうか、個人的には勇者さまではと思っている、個人的だぞ」
「納得できました、今夜から寝れそうですよ」
「若造に対する接し方を変えるなよ、特別扱いが嫌いなようだ」
「頑張ります、守衛の連中には内緒にしときます」
商業ギルド受付嬢の2人
「盗賊退治報酬、燐領の辺境泊さまと伯爵さまからも出るって」
「合わせたら、大金貨3枚は確実」
「お宝売却金も入る」
「大金貨5枚以上だって聞いたよ」
「そして、街住人カードも発行されるって、資金はたっぷり家だって買えるよ」
「馬だって所有、牧場に預けてるけど1頭は自由に使えて維持費無し」
「美味しいお肉も食べれるし」
「お人好しって話だけど、私がしっかりすれば問題なし」
「「優良物件きた~」」
牧場主の奥さん
「あなた、預かってる馬を他に売られる前に娘を」
「娘、旦那にするのは容姿じゃないよ、幸せ掴むなら経済力だよ、性格も良い感じだし」
「商業ギルドの受付嬢に負けるんじゃないよ」
両隣さん
「美味しいな~」
「また、あるかな~」
「また、あると良いな~」
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お馬さん達の会話
「なんで、オマエなんだよ!」
「そう言うけど、大変だったんだぞ」
「なにが大変なんだよ、牧草にニンジン沢山貰ったんだろう」
「貰ったけど、あの若造、オレより早く長い距離を走るんだぞ」
「またまた、なに言ってるんだ、オマエより早く走るって」
「さらに大きい鹿を、牧草やニンジンと同じように突然出して片手で持つんだぞ」
「そんな人族居てたまるか」
「それが本当なら俺たち必要ないじゃん」
「だから、ここに預けられたのか」
「ここも、待遇はそれなりだから我慢するか」
「皆、偶のニンジンを期待して明日から出される飯をしっかり食べろよ」
馬達にも、呆れられるオイラでした。