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【16KPV感謝】魔女の姉の身の回りの世話をしていたら、いつの間にか近衛騎士団長に抜擢されていました。  作者: 夜刀神遼
episode.03 〝剣神〟の故郷 編

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第18話―龍と精霊・2

 彼のその言葉に、答える声は無く、この空間に何度目とも分からない沈黙が走る。


「……あの――」

「――正直」


 耐え切られなくなったその時、沈黙を破る控えめなその声は、ウルからのもの。しかし、雰囲気が違う。


「……正直。そこに辿り着く一人目が貴方だとは思っていませんでした。辿り着くのも、まだ先の事だと」


 そう言いながら眼を開け、父親を見つめるその眼は――金色の瞳。


「心外だな。俺が何も考えてねぇとでも思ってたか?」

「貴方よりも頭が切れる者がいるではないですか」


 そう言いながら、ウルシアことティタルニア王が僕へ視線を向ける。

 シュタリウス王も釣られるようにチラッとこちらを見るなり、困惑混じりの苦笑を零す。


「……フハッ。たしかにな。だがまあ、精霊達と関わり始めたのは俺のが先だったからな。こと精霊に関しては俺の方が知ってるってこった。とはいえ、ほぼ知らねぇも同然だがな」

「どうやら、そのようです」


 ウルとは違い、相変わらず、感情の見えない淡々とした声だ。


「んじゃ、早速説明してもらおうか。龍ってのは何なのか。それと、精霊についてもな」

「……逃れるのは不可能なようで。承知いたしました。ですが、その前に――」


 言葉の途中で、彼女は鬼人オニの二人へ眼を向ける。


「お初にお目にかかります。〝原初ハジマリの島〟の主殿、そしてその伴侶殿。“精霊界エニスィテューレ”が現精霊王、ティタルニアと申します。以後、お見知り置きを」


 そう言って、彼女は優雅に一礼する。その礼に対して、返すように二人も凛とした姿勢で腰を曲げる。


「これは丁寧に。いかにも拙者、蒼月島が現代当主、御剣千羅センラ・ミツルギと申す。横の者が我が妻、蓮那だ。……しかし、その身体は人族ニンゲンの王たる彼の者の娘のモノではないか?」


 自己紹介の後、何かを見極めようとするかのように眼を細めながら、至極尤もな疑問を述べるセンラ殿。控えめに、しかししっかりと頷き、ティタルニア王は答える。


「仰る通りでございます。彼女の身体に根付いた〚精霊王の巫女ティタルニア・ザ・ソーサレス〛。その権能にて、この子の身体をお借りして顕現しております」


 彼女の言葉に納得したようで、先程とは逆にセンラ殿が逆に頷く。


「なるほど。承知した。さて、彼の人族ニンゲンの王の疑問も尤もであろう。拙者のことよりも、彼に答える方が先決だ」

「……ええ。では、まず龍とは何なのか、についてです」


 先刻のシュタリウス王のように、彼女は龍の棲まう龍桜山を見据えながら言う。


「前提として、その正体は魔族でも、精霊でもない」

「と、言いますと……?」


 続く彼女の言葉は、二人を除いて、誰にも理解し得ることは無いモノだった。


の存在、それは――神、とでも言うべきモノです」

「神……、ですか……?」


 周りを見ると、レナ殿とセンラ殿以外、皆困惑した表情を浮かべている。


「生きとし生けるものだけでなく、この世を構成する万物を統べ、管理する存在。ただし、何人たりともその存在を知覚することはできないモノ。それが神です」

「でもさ、龍は神なんでしょ?何で俺らは……いやまあ見たことは無いんだけど、知覚できているんだい?」

「それに、万物を統べるというのも解らないわね。結局、その龍は、それと神というのは何が出来るの?」

「落ち着いて下さい。一つずつ答えていきましょう」


 次々と捲し立てられる疑問は、アリオスとメロウ殿のものだ。

 二人を少し窘めると、少し間をおいてから再び話し始める。


「まず、知覚できる理由です。これは、彼の者が、〝神とでも言うべき存在〟――すなわち、神のような存在だからです」

「「え?」」「ん?」「は?」


 彼女の言葉に、皆が異口同音に困惑の声を上げる。


「……なるほど、言葉遊びみたいですね」

「ヴァイ殿、どういうことだ?」


 唯一僕が理解していることに気づいたのか、ラグナ殿も解らないといった表情のまま僕に問う。


「簡単な話ですよ。〝神のような存在〟ですから、神ではないのです。神に近しい存在ではあるものの、神ではない。だから、僕達でも見えるんです」

「ああ……」


 納得したのか、各々から溜息混じりの呆れ声ようなものが聞こえてくる。

 そして僕の答えが正解だったようで、ティタルニア王が頷く。


「そして、メロウさんの問いに対しての答えですが……“何でも”、という言葉が正しいのでしょうか」

「「「…………」」」


 再び、理解し難い言葉。

 またも訪れる沈黙は、しかしすぐにティタルニア王によって破られる。


「神というのは、一柱ヒトリではありません。例えば、生命を司る神もいれば、刀を、魔剣を司る神もいる。自らが司るモノにおいて、全てを能う力を持っています」


 続けて、彼女はその金色の瞳に、白菫しろすみれ色の魔法陣――“想創そうそう霊王眼れいおうがん”を浮かべる。


「そして、神という存在を認識できる、唯一の種族が、我ら精霊です」

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