第11話―“魂滅の魔眼”
「……アアアァァ!!!!」
突如、姉上から出た魔力波で少し後ずさる。
「姉上………!?」
「きたよ。おめでとう」
瞬間、辺りは死気に包まれた。
人間は言わずもがな、木が、地面が、空が、死んでいる。木は枯れ、地面は割れ、空は血を連想させる程に紅い。
姉上を見てみると、右眼が鮮やかな紫色に光り、その眼には非幾何学的で不可思議な紋様の魔法陣が浮かんでいる。
「へえ。これはすごい。これほどとは少し予想外だったよ」
「これは……?」
奴はその問いには答えず、姉上に斬りかかる。姉上が睨むと、やつの握っていた剣がボロボロと崩れ落ちた。
「魔剣すらも滅するか……流石に想定外の力だ」
そして、姉上は静かに言葉を発する。
「死ね―“魂滅の魔眼”」
その瞬間、奴は糸が切れたかのように崩れた。その生命反応は既に停止している。
「姉上!!」
そして魔力を使いすぎたのか、姉上は静かに倒れた。
「―お疲れ様です、姉上」
そうして私は、姉上を抱き抱え、転移魔法で王城に戻った。
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2人が去った後の“境界”。
幾つもの屍の中から、1つ起き上がる影があった。
「やれやれ。まさかここまで強力だったとは……。あの瞬間に魂を逃がしておいて正解だったね。身体を滅ぼさなかったのは少々『怠惰』だよ、〝紫の魔女〟さん。まあ、ここで身体を滅ぼしたとしても、依代はいくらでもいるから、対して意味はないんだけどね」
そう呟いて、彼―アリオスは、『魔力を使わず』に転移するのだった。