第19話②~みのり、不安の吐き時~
いよいよ5thSTAGE、次のゲームが始まろうとしていた。
シャッフルのメンバーが着実にポイントを稼いでいくなか、控え室で一人だけ不安げな表情を浮かべる者がいた。河合みのりである。
「どないしたん、みのり? 浮かない顔して」
「あ、剣くん……。あのね、みんなここまで結構ポイント取れてるでしょ? 私の今の総合ポイント、少ししかなくて。もしかしたら、ここで敗退しちゃうのかなって思ってたの」
気丈なみのりが珍しく弱気になるのも無理はなかった。
予選ルールでは、5th STAGE終了時点で全出場者のうち上位半分に入れなかった者は、強制リタイアとなってしまう。
現在のみのりの獲得ポイントは109ポイント。順位で見ても、次に進めるか危うい状況だ。
「このままじゃ、皆で予選突破する夢が……」
チームでの目標を達成できないかもしれないという不安が、みのりにとって重圧となっていた。
「何や、そんな事気にしてたんか! チームがどうとか余計な心配してたら、大好きなゲームも嫌になっちまうぞ! ゲームに勝つことだけが全てやないんやから」
「………そう?」
「せやがな。勝ち負けなんて、俺みたいなガチ勢が気にしたらええねん! ゲームを楽しんで、飯食うて、風呂入って寝る! それの何がおかしいんや?」
剣さん、後半は言っていることが滅茶苦茶だが、言いたいことは伝わります。……多分。
「……みのりちゃん。もしかして、予選で取り残されるのが嫌なの?」
レミが心情を察するようにみのりに話しかける。
これにはみのりも「……うん」と小さく頷いた。
「せやな、みのりちゃんも特訓を一生懸命やってたしな。気持ちは分かるで」
豪樹も同情を寄せる。
「でもな、こればかりは自分との戦いだから、俺らにどーすることも……」
もちろん剣も、親友であるみのりの悩みを何とかしてあげたいと頭を抱えた。
「ちょっと待ってて」
そこで槍一郎がすぐさまプレイギアを取り出し、何かを調べ始めた。
「みのりちゃん、もしかしたら次のゲームで頑張れば、予選に生き残れるかもしれないぞ!」
「えっ、本当!?」
「とは言っても、かなりギリギリの順位だけどね。次のゲームでNo.1を獲るか、かなりの高得点を出せば後半戦も出場できる。まだまだチャンスはあるよ!!」
みのりの順位は、ボーダーラインのわずか下に位置していた。ここで成果を出せば、翌日の後半戦への進出も可能となる。
「ただ、後半戦からの予選通過はもっと厳しくなるけれど……」
「大丈夫! そしたら私、精一杯やって、全部出し切って皆に託すもん。とりあえず今は、前半戦を突破したい!!」
みのりは剣のようにゲームが得意なわけではないが、自分の限界を自覚していた。だからこそ全力を出し、ベストを尽くしたいという気持ちは尚更強くなる。
そんなみのりの最後まで諦めない意志が、剣の心に強く響いた。
「そうだな! 一番大事なのは、何事にも一生懸命やることや。結果はどうなっても、俺も誰も文句は言わへん。精一杯やってこい、みのり!!」
「……うん!!」
☆
――お待たせしました、前半戦ラストゲーム!!
次のゲームに移るため、VRモーションによって会場のフィールドがモードチェンジされる。
広大な荒野から一転、無機質な工場のような鉄鋼フィールドに姿を変えた。
床には100マスのパネル、壁には時計のようなルーレット。
そしてパネル各所に描かれているアイコンは……『爆弾』だ――!!
さぁ実況の新垣次郎、士気を上げるゲーム紹介のコールをお願いします!!
『――ボランティアやバイトでは絶対やりたくない、極限の地雷掃除! 数字を頼りに、地雷地獄から生き残れ!! 5th STAGE・【マイン・スイープ・アライブ】!!』
◆―――――――――――――――――――――◆
PLAY GAME No.15
★G-1グランプリ予選 5th STAGE★
【MINE SWEEP ALIVE ―マイン・スイープ・アライブ―】
・ジャンル:ロジック・サバイバル
・プレイヤーレベル:35
【ルール】
各ブロック100人のトーナメント制で行う、『マインスイーパ』の対戦型派生ゲーム。
※『マインスイーパ』とは、地雷が隠れているマスを避け、地雷の無いマスをすべて開けるゲームである。
今回のゲームはタイムアタック制ではなく、2人対戦のサドンデス制。地雷マスに触れず、最後まで生き残った者が勝利となる。
【獲得ポイント】
・2回戦~4回戦進出:各10ポイント
・準々決勝進出:30ポイント
・準決勝進出:40ポイント ・準優勝:50ポイント
・No.1プレイヤー:100ポイント
(※各試合で開けたパネル1枚につき、1ポイント加算)
◆―――――――――――――――――――――◆
「マインスイーパか……微妙な所を突いてきたな」
「みのりちゃん的にはどうかな?」
槍一郎とレミが心配そうに尋ねるが、
「……ん、行けるかも!!」
みのりには、彼女なりの自信があった。
何しろ特訓の際も、神経衰弱やバランスゲームの成績はメンバー内でトップクラス。槍一郎の分析データでも『ハート(精神力)』が突出しており、その言葉には説得力があった。
ちなみに、現在のプレイヤーステータスは以下の通りである。
☆河合みのり/プレイヤーレベル:9
[プレイヤーステータス]
・アクション:C++ ・シューティング:B
・ロールプレイ:B++ ・タクティクス:B+
・スピード:C+ ・ブレイン:B
・ハート:SS+ ・ミュージック:B+
・ラック:C+
[プレイヤースキル]
・なし
まだプレイヤーレベルは低いが、精神力を表す『ハート』の数値がSS+と断トツに高い。プレイヤースキルこそ未獲得だが、みのりは着実に力を身に付けていた。
「それと私、マインスイーパを昔パソコンでよくやってたの!」
マインスイーパは、家庭用パソコンに標準搭載されていた定番ゲーム。みのりが経験者なのも頷ける。
「……まぁ、自信があるのはいいんだけどさ。過信だけはするなよ。自分のペースで精一杯やること。いいな?」
「むー、分かってるって!」
剣がリーダーらしく振る舞うので、みのりは少しだけムッとした。いつもの明るい彼女に戻った証拠だ。
「リーダーらしくするのも良いけど、最初はお前の番だぞ、剣」
槍一郎がΦ《ファイ》ブロックのトーナメント表を指差す。第1試合に、すでに剣の名があった。
「あ、やっべ! じゃあ先に行ってるわ!!」
剣は一目散に控え室を後にした。
「いってらっしゃ~い♪ 私も頑張るね!」
笑顔で剣を送り出すみのり。その裏で――。
「――準備は出来たか?」
『手筈通りに……!』
「よし、ならばこっちも次の段階に移る。
―――【D-Z計画】、実行の準備だ……!!」
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




