第15話②~切り札騎士・桐山剣、出陣!!~
予選ゲーム1st STAGE『チャンバラ・ファイター』。剣達シャッフルの活躍の前に、まずはAブロックの様子から見てみよう。
『――ゲーム超次元世界を生きる戦士達の祭典、名付けて『G-1グランプリ』!!
今年も全国から有望なゲーム戦士達が集まりました! まずはAブロック、先陣を切る二人のプレイヤーから白熱のバトルが幕を開けます!!
さぁ、最初の挑戦を見せてもらいましょう!!』
東側がレッドゾーン、西側がブルーゾーン。円型フィールドを真っ二つに分かつラインの中央で、二人のプレイヤーが向かい合った。その手には電光竹刀が握られている。
「プレイヤー、一同、礼!!」
WGC専業実況アナウンサーの前口上が終わり、審判の号令がかかる。プレイヤーはルールに則り礼を交わした。剣道さながらの緊張感が場に張りつめる。
「―――始めッッ!!」
静寂のVRフィールドに、突如として電光竹刀の火花が散る!
プレイヤーが狙うのは、プロテクターに仕掛けられた「ウィークポイント」だ。光るボタンの位置は頭であったり右腕であったりとランダムだが、自分側のボタンがどこにあるかは見えない。攻撃を仕掛けつつ、直感でガードを使い分けなければならないのだ。
――パァンッッ!!
決まった。ブルーゾーンのプレイヤーにヒット! 右腕のボタンをダイレクトに撃ち抜いたレッドゾーンのプレイヤーが、一点を先取した。
Aブロックの開始を皮切りに、同時進行で各ブロックの試合が始まった。一回戦から接戦を繰り広げるコートもあれば、実力差がありすぎて数秒で決着がつくコートも見られた。
そして、いよいよ真打の登場だ。
『只今より、Φ《ファイ》ブロック一回戦、第15試合を始めます! 参加プレイヤーはフィールドに集合してください!!』
Φブロックに組み込まれた桐山剣は、控え室のアナウンスを聞くやいなや、痺れを切らした様子で立ち上がった。
「よし、行くかッ!!」
ここで、特訓を経て培われた剣の『プレイヤーステータス』を紹介しよう。
☆桐山剣/プレイヤーレベル:21
[プレイヤーステータス]
・アクション:A+ ・シューティング:B
・ロールプレイ:A ・タクティクス:A+
・スピード:B+ ・ブレイン:B++
・ハート:B+ ・ミュージック:C
・ラック:S
[プレイヤースキル]
・【エース・スラッシュ】
・【精神統一】
(※ステータスはD〜S++までの15段階表記)
全体的に高水準で安定しているが、特筆すべきは「ラック」。幸運のステータスが突出した、独自のバランスを保っている。
また、経験値の蓄積で習得した『プレイヤースキル』は、大会ルールにより1ゲームにつき1回のみ使用可能。この切り札をどこで切るかが、勝利の鍵を握ることになるだろう。
一ヶ月の特訓の成果がどう出るか、期待が高まる。
◇◇◇
剣がVRフィールドへ向かうと、瞬時に試合用プロテクターが装着され、手元には電光竹刀が転送された。
プロテクターは意外なほど軽く、電光竹刀はライブのペンライトを大きくしたような感覚だ。振れば剣先がしなやかに空を切る。
「こりゃええな。しょーもないボケかます奴も、思い切りシバき倒せるわ」
竹刀をハリセンか何かのように振り回す剣。新喜劇で鍛えたツッコミの血が騒いでいるようだ。
VRフィールドの中央で、剣と対戦相手が相対した。その瞬間、ゲーミングカラーのスポットライトが二人を照らし出す。
『――さぁ続きまして第15試合! レッドゾーンからは予選初出場、桐山剣、16歳!』
G-1グランプリのような公式大会では、プライバシー保護の強化と「本名で実績を残すことこそが名誉」という風習から、ニックネームではなく本名での出場が一般的となっている。
知名度皆無のデビュー戦ながら、観客席からは大きな拍手が送られた。剣は緊張を見せるどころか、騎士道精神に則った鮮やかな一礼でそれに応える。
そんな剣の最初の対戦相手は――。
『そして相対しますブルーゾーン、椿 黒男、15歳!!』
この男、実は悪名高い「ブラックヘロン」の一員であった。下っ端として予選に紛れ込み、大会をかき乱そうという魂胆だ。
剣は相手の正体を知らず、椿もまた剣の素性を知らない。だが、何かを企む椿の目は、獲物を狙う蛇のように濁っていた。
「プレイヤー、一同、礼!!」
一礼し、顔を上げた瞬間。椿が放った微かな殺気を、剣の直感が捉えた。剣は即座に警戒レベルを引き上げ、竹刀を構える。
「始めッッ!!」
スタートと同時に、二人のプロテクターが光った。ウィークポイントは、互いに「頭」だ。
(ケッ、このキザ野郎が。一気に片付――)
―――パァァァァァァン!!!
「……やられた――!?」
椿が小賢しい策を巡らせる暇などなかった。開始わずか0.7秒。一瞬の刹那、剣の迅速な踏み込みが一本を奪い去っていた。
『おおっと!? 桐山選手、実況する間もなく一本を決めたァァ!! なんという早業でしょうか!!?』
この一撃に、実況者はおろか控え室のプレイヤー、観客席までもがどよめきに包まれる。
「剣くん、早ーい!」
「よし、その調子だ剣!」
モニターで見守っていたみのりと槍一郎も、強化された剣の動きに満足げな表情を浮かべた。
「―――二本目、始めッッ!!」
「……っ、ちくしょうッ!!」
追い詰められた椿は、やけくそ気味に突っ込んでくる。しかし、動揺で乱れたその攻めは、今の剣にとっては見え透いたものだった。
「脇腹が空いてるぜ、隙ありッッ!!」
―――スパァァァァン!!!!
椿の右脇腹に輝くボタンを、剣の横一閃が正確に捉えた。 VRビジョンに勝利を示すホワイトランプが点滅し、桐山剣の完勝が告げられる。
『お見事! 第一回戦・第15試合の勝者は桐山剣!!』
「ぃぃよしッッ!!!!」
剣は力強くガッツポーズを決めた。一方の椿は、成すすべなく肩を落として去っていった。
控え室では、剣の鮮烈な勝利が早くも話題となっていた。期待の眼差しを向ける者、嫉妬を隠さない者。そして、仲間の四人もまた、剣の快進撃に続かんと気勢を上げる。
激戦の結果、みのりは準々決勝、レミは3回戦での敗退となってしまったが、槍一郎と豪樹は圧倒的な実力を見せつけ、各ブロックで優勝を飾った。
残すはΦブロック決勝戦。勝ち上がったのは桐山剣と、もう一人。
他の仲間たちが味わわなかった、肌を刺すような嫌な空気がフィールドを包み込む。
◇◇◇
「槍ちゃん、剣くんの決勝の相手ってどんな人なの?」
控え室で試合を終えたレミが、モニターを注視する槍一郎に問いかけた。
「『妻夫木 鳶雄』……不味いな、こいつには良い噂がない」
「どういうこと?」
みのりも不安げに顔を寄せる。
「あの華奢な体からは想像もつかない握力と筋力の持ち主だ。だが、問題はそこじゃない。過去に対戦したプレイヤーたちから、彼が“改造コード”による不正行為を行っていたという証言が相次いでいるんだ」
「……それじゃ、まさか今回も!?」
「その疑惑が潔白か、あるいはブラックヘロンの仕業か。それを暴き、粛清できるのは、今あの場に立つ剣しかおらんわけやな……」
豪樹が腕を組み、静かに闘志を燃やす。
己の竹刀一本で、蔓延る悪を叩き斬れるか――。
行け、切り札騎士・桐山剣!
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




