第11話②~結成! シャッフル・オールスターズ~
―――変わってここは、ビッグウェーブのスタッフルーム。要は関係者立ち入り禁止の個室。
「あれからお客さんもぎょーさん来るようなってな、移転してから2週間で借金が返せてもうた! 何でもあのボルダリングが人気らしい」
豪樹は満足そうに豪快に笑っていた。
「本当に良かったわ! 移転する前までは、借金取りまで来て大変だったのに」
「あの時のエキシビションマッチが皆に響いたんだろう。あのゲームは僕の魂にも染み渡ったよ」
みのりと槍一郎も相槌を打つ。
「――あ。お嬢ちゃん、レミちゃんって名前やったな。さっきは脅かして悪かった! ほら遠慮せんでお菓子食べぇや」
「あ、はい。頂きます……」
レミはすっかり恐縮していた。剣とみのりが豪樹に会ったときとデジャヴである。
「……ほんで? 話ってのは何や、剣?」
「実はですね……」
剣はレミと同じく事の事情を話した。内容は省略。同じ事書いてると字数稼ぎになっちゃいますからね。
「――テロリスト関連の事件は、うちも良う聞いとる。だがそれはゲームワールドだけの事やない。『ギャラクシー』の中にも不正の改造コードを使うて、アーケード・オンラインゲームをチートする輩が危険人物報告されとる。そいつらの殆どが、剣の言う『BLACK HERON』の奴らや。
―――このままじゃゲームワールドの閉鎖だけやなくプレイヤー全員の自由が消えてしまう。ワイもそれだけは勘弁ならへんのや!!」
「アイツら、現実でも同じような事やっていたのか……!!」
ブラックヘロンの悪行は近所にも広まっていた。
身近に悪意の種があっても、それに気がつかなかった剣達は更にやるせない気持ちを高めた。
「そこで豪樹さんにお願いがあるんです。僕ら四人で、ブラックヘロンを潰すために『G−1グランプリ関西予選』に出ます。そこで豪樹さんの力を貸してほしいんです。僕らのゲーミングチーム、『シャッフル』に入団して下さい!!」
豪樹の答えは眼の強烈な輝きと共に、既に覚悟を決めていた―――!!
「――――当たり前や。何でもこの高橋豪樹さまに任しときや!!!」
豪快な豪樹の高笑いと同時に、『シャッフル』5人目のメンバーが加わった。
「だ、大丈夫ですか? 剣くんの無茶振りは良いとして、チームに入ったらお店の方はどうするんですか!? 経営とか忙しいのに」
「無茶振りって何やねん?」
ちょっとムッとした剣である。
「大丈夫やみのりちゃん、スタッフも十分整えとるし。剣には前に店も救ってもろうて、最高に楽しいゲームをさせてくれたんや、この豪樹いつでも力になったる。それに最近ちょっとゲームの勘不足だしな、ワハハハ!!」
「剣くん、貴方とんでもない人を仲間にしちゃったわね……」
レミは少し呆気にとられていた。
「でも根はとてもいい人だぜ。レミもいずれ慣れるよ。―――これでメンバーは揃ったな」
この時点でゲームチーム『シャッフル』のメンバーが5人となった。オフィシャルプレイヤーに、殿堂入りに、経営者兼ジムトレーナー。それでいて皆実力のあるプレイヤーとは、何と頼もしい仲間であろう。
「なんだか凄いメンバーになっちゃったね。何かこう……魔王を倒す勇者のパーティーみたい! 勇者でリーダーは剣くんね!!」
同じ闘いの意志を持つ者同士が集まった事で、突然みのりのRPG思考が動き出した。
「俺がリーダーで勇者? だったらみのりは、さしずめこのパーティーの『プリンセス』とでも言うんか?」
「そう♪」
「何が『そう♪』やねん」
勝手に盛り上がっている剣とみのりに、他の三人も食らいついた。
「何や? オモロそうな話やな」
「じゃあたし達はどーゆー役なの?」
みのりの好奇心は、豪樹やレミにも伝わっていく。
「んーと、槍一郎くんが疾風よりも速くて槍を使う『パラディン』!
――豪樹さんは百戦錬磨の『格闘王』!
――そしてレミちゃんが、パズルや計算が得意な『算術士』って感じかな?」
「へぇ~。あたしが算術士って、カッコ良さそう!」
「パラディンって、別にこれは僕らのイメージでって事だろう?」
「そう! 私達は『シャッフル』のチームで闘うオールスターなの!!」
(オールスター……か!)
みのりの言葉に剣はピンと何かを閃いた。
「……そうや、俺達はスターなんや! 誰が一番とかじゃない、皆が主役の勇者チームが『シャッフル』だ!! ――――よっしゃ、決めた!!!」
「決めたって―――何が?」
剣の咄嗟の決断に、みのりはきょとん。
「俺達は正義の味方でも、ヒーローでもない! ゲームを愛するが為に魂をかける『シャッフル』のゲーム戦士だ! 今から俺達5人メンバーで、【シャッフル・オールスターズ】と呼ぶ事にする!!」
―――シャッフル・オールスターズ!!
メンバー全員が、呼び名に誰も反対するものはいなかった。
それは皆がゲーミングチームの旗の下に、『ゲームが大好き』という思いが一つである事を知っていたからだった。
「「「「賛成ッッ!!!!」」」」
「よーし! そうと決まれば一致団結や。皆手ぇ合わせてくれ!!」
そして剣は仲間と手を重ね合わせる。いよいよこの瞬間から、時代を揺るがすゲームの勇者達のゲーミングチームが誕生するのだ!
「皆の力で、ゲームの頂点を目指そうぜ。
――これがシャッフル・オールスターズの誓いだッッ!!」
―――おぅ!!!!!
ビッグウェーブに勇者たちの号砲が木霊する。この誓いが何れ、あの三国志の『桃園の誓い』にも似た、伝説に名を刻む儀式となるだろう。……それは、アミューズメントパークのジムの中であろうとも。
「―――じゃ頂点を目指すなら、まずはブラックヘロンを潰さないと。今のままじゃ倒すにはまだ足りないよ」
「あ………?」
槍一郎が言いかけた『足りない』もの。それは―――!?
「実力不足だ。―――皆で一緒に特訓するぞ、剣!!」
次回、第12話。
シャッフル・オールスターズ、特訓開始!!
剣に足りないものとは…?
お楽しみに!!




