第53話⑤~桐山剣・最後の切り札!!~
【アメイジングゲーム状況】
・桐山剣 HP800:手札4枚 EG③
ユニット:【ブルーバード】(【聖天の覚醒】装備中)
【ビッグマウンテン・ゴーレム】
【灼熱の龍騎士―ヴァルキリー・サラ―】
ツール:【ボンドストーン】
・大森穂香 HP1100:手札0枚 EG⑧
ユニット:【虹色の魔導戦士―マジェスティアス―】
ツール:【プラントウォール】
≪融合≫により起死回生の如く爆誕した融合ユニット≪灼熱の龍騎士―ヴァルキリー・サラ―≫!
剣の2つの切り札をも凌駕するその威力の詳細は……これだ――!!
◎――――――――――――――――――◎
◎融合ユニットカード◎
【灼熱の龍騎士―ヴァルキリー・サラ―】
融合素材:《サラ・チャンドレイユ》+
《ヴァルキリー・フレア・ドラゴン》
AP:700 DP:500 AS:10
属性 赤 ユニット/ドラゴン/ナイト
/ヒーロー/融合
・能力:[フライヤー]
①このユニットが融合召喚された時、
自分のユニット1体を対象に
APを300アップさせる。
②自分の手札を1枚以上捨てる。
その後相手フィールドのプレイヤー、
フォロワーにランダムで手札を捨てた
枚数分300ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
(≪融合≫は組み合わせるユニットやカードで強さも十人十色に変わるが、剣は2枚ともハイパーレアカードであるエースを放り込んだ事で凄まじい融合ユニットを生み出した――!
まさに灼熱の如く熱した切り札、下手に手を出せば火傷は必須だ……!!!)
ギラギラとした銃司の高揚に満ちた目線が融合ユニットを熱く語る。
龍騎士の特徴は、ユニットに力強いエールを送る『絆の強化』と乱暴なまでに敵を焼き付くす『業の成す火力』!!
「……まずは≪ヴァルキリー・サラ≫のユニット強化効果発動! ≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫のAPを強化する!!」
巨大なユニットに騎士の絆を与えられ大強化! ゴーレムのステータスはAPが1000!
――だが龍騎士の本領はこんなものではない!!
「更に≪ヴァルキリー・サラ≫第二の効果! 手札を捨てることでその枚数分300ダメージの火炎弾を御見舞いするぜ!!」
剣は手札の4枚から1枚残して、3回の火力を与えようとする。
(いけない……このままじゃ――!!)
穂香はそれを許すわけが無かった!
「≪マジェスティアス≫の効果! 私はEGを④払って、2枚のマリオネットトークンを場に出します!!」
ここに来て火炎弾の盾となるトークンを2体呼び出した穂香、その色は……青!!
◎――――――――――――――――――◎
◎トークンカード◎
【ブルーマリオネット】
AP:0 DP:100 AS:10
属性 青 トークン/マリオネット
・能力:このトークンがフィールドに出たとき、
自分はデッキから1枚カードをドローする。
◎――――――――――――――――――◎
2体のマリオネットが出たことで龍騎士の火炎弾の的を増やしただけでなく、枯渇していた穂香の手札を2枚も増やしていった。
「やっぱりマリオネットは出してきたか……しゃーないが、このまま3発行くで!!
――『灼熱龍弾』!!!!」
ヴァルキリー・フレア・ドラゴンの口から遮二無二に放射される火炎弾!!
命中したのは先程召喚されたブルーマリオネット2体、そして穂香に一発着弾された。
「うぁッ……!!」
〔穂香 HP1100→800〕
(よし穂香にダメージが通った以上、ここは躊躇わず攻めるしかない!!)
直ぐ様剣のユニットに攻撃コマンドが下った!
「≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫、≪ブルーバード≫で攻撃!!!」
2体同時攻撃! 穂香はどう対応する!?
「……≪マジェスティアス≫でゴーレムをブロック!! ≪ブルーバード≫は受けます!!」
重いゴーレムの鉄槌をマジェスティアスは受け止めながらも、その衝動に押し潰されつつある。そこで最期の賭けとして魔法をゴーレムに零距離で当て、相討ちとなり両者とも破壊。
そしてブルーバードの幸せの青い翼が穂香の純白のワンピースドレスを撃ちはたいた。
「ッ……」
〔穂香 HP800→400〕
(盾の役割を果たしてくれてありがとな≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫! 後は俺達に任せてゆっくり休んでくれ!!)
たかがカード、されどカード。剣の首の皮を現在まで守り通した≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫に感謝の意を送った剣。
「こんなところで……終わりはしない!!!」
穂香もまだ執念の炎を消してはいなかった!
先程マリオネットの効果で引いた2枚の手札から、1枚をカードスキャン!!
『ツールカード、【ユニットリバイバル】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ユニットリバイバル】属性:黒 EG:②
・効果:自分の墓地に置かれている
ユニット1体をフィールドに出す。
◎――――――――――――――――――◎
簡単に言うならばアメイジング版『死者◯生』のようなカード。自分の墓地にあるユニットを蘇生させてフィールドに戦線復帰させる。
「私の墓地から、≪虹色の魔導戦士―マジェスティアス―≫を復活させます!!」
数秒前までドでかい激戦を繰り広げたばかりのマジェスティアスがまたしてもフィールドに舞い戻った!! これは穂香の執念がユニットに乗り移ったのか!!?
「また出やがったよちくしょう……!!!」
しかし戸惑う暇はない。剣にはまだユニットが1体、≪ヴァルキリー・サラ≫が残っていた!
「このまま終わらせてやらぁ!! ≪ヴァルキリー・サラ≫で穂香に攻撃ッッ!!!」
龍騎士の能力は[フライヤー]。
それと同等の能力を持つユニットでなければブロック出来ないなかで、穂香は[フライヤー]ユニットを持っていない。ヴァルキリー・サラに遮るものは無い!!
――押し切るかッッ!!?
『――――カウンター・レスポンス発動』
……ダメだ、穂香にまだ手立てが残されている。マジェスティアスのマリオネット召喚効果が――!!
「私が生み出すマリオネットは5体、EGは⑩!! その色は……『赤』と『黒』です!!!」
これで最大限までEGを溜めた穂香は、それを全てマリオネットに使う。赤3体と黒2体だ!! そのマリオネットの効果は……
◎――――――――――――――――――◎
◎トークンカード◎
【レッドマリオネット】
AP:0 DP:100 AS:10
属性 赤 トークン/マリオネット
・能力:このトークンがフィールドに出たとき、フィールド上のプレイヤーまたはフォロワー1体を対象に100ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
◎――――――――――――――――――◎
◎トークンカード◎
【ブラックマリオネット】
AP:0 DP:100 AS:10
属性 黒 トークン/マリオネット
・能力:このトークンがフィールドに出たとき、フィールド上のフォロワーを1体破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
これ即ち……!
「≪ブラックマリオネット≫2体の効果で、剣さんの≪ヴァルキリー・サラ≫と≪ブルーバード≫を破壊!
――そして≪レッドマリオネット≫3体で全て剣さんを対象に合計300ダメージを与えます!!」
操り人形の赤と黒が混じりあった魔光線がユニットと剣を直撃!!
「くぁぁぁあああ!!」
〔剣 HP800→500〕
そしてマリオネットの効果で2体のユニットが一瞬にして全滅!!!
(これは……ヤバすぎる――!!!)
穂香の場にはマジェスティアスと5体のマリオネット……完全なる形勢逆転。執念の渦に吸い込まれた!
あと数秒でマジェスティアスの攻撃コマンドが始動される、そんな時だった。
「…………剣!!」
「ッ?!」
銃司に呼び掛けられた剣は無意識にゲームの進行を止める一時停止ボタンを作動させる。
『アメイジング・一時停止』
「…………何や銃司?」
何故ここで銃司が自分を呼び掛けたのか分からず、剣は戸惑いと喉が張り裂けそうな緊張感の狭間に立っていた。
「……このゲームの最後の瞬間が訪れる前に貴様に聞きたいことがある。――剣、勝利への道は見えているか?」
「勝利への道……」
それを聞いて剣は今一度状況を頭の中で整理させた。
マジェスティアスの攻撃指令まで10秒、だがその前に最後のドロータイムを5秒前に迎える。
現時点で加えている1枚、そしてドローの1枚の計2枚のカードで逆転出来るか……
その時、剣は一旦深呼吸をして、極限まで緊迫し硬直していた表情が一時的に和らいだ。
「………………まだ、見えてるだけや」
そして穂香もその答えに感情出さず、言及をすることもなく無言で見送る。
「……そうか、まだ届かんか。だが道が見えてるのは分かっているんだ、周囲が見えなくなるほど緊張すること無いだろう?」
(……こいつ――!)
『敵に塩を送られた』? ――いや、今の剣にとって銃司は敵じゃない。
銃司が剣の為に送る好敵手なりの鼓舞なのだ。
「でもな銃司、やっとその勝利への道やらに届きそうなんだ! 思えばクソ長い道だったけどな、大事な友達の為に戦ったこの道は、俺はここで無駄にする気は無いぜ」
――思えばこの半年……いや半日にかけてこの紅蓮城で戦ってきた連続の激闘は、剣や他のライバル達にとっても、運命をも変えた戦いにもなった。
元は穂香と遺産G-パーツを取り戻すために立海遊戯戦団に立ち向かい、今やチーム同士で互いに認め合う所にまで成り上がった。
ゲームの一つ一つで結ばれた絆、それが剣のゲーム戦士としての力を閃光のように輝き、強く鍛え上げていったのだ。
全ては、目の前の親友を救い出すために……
「……これは貴様らのゲームだ。部外者がこんな時に中断させて悪いが、最後に一言だけメッセージを贈らせて貰う。
――――絶対に、負けるな……!!!!」
「…………それは誰に、何に向かって言うてんねん?」
「好きに解釈しろ」
「……あんがとよ、じゃ都合良く受け止めさせて貰ったぜ! ――――穂香!!」
剣は一時停止ボタンを押す前に、穂香に声を掛ける。
「…………はい」
「例えこのゲームがどんな結果になっても……、お前が思い通りにならなくなったら、そんときには俺を思い切り恨んでも構へんからな! 親友の痛みは全部俺が引き受けてやる!!」
終始視線を冷たく剣に突き刺した穂香に、少しだけ柔い笑みが溢れた。
「…………まさか、ここまで私を庇う剣さんを誰が恨むものですか。むしろ私が剣さんに恨まれる立場なのに」
そして笑みから一転して顔がひきつり、必死に訴えるように剣を見つめる穂香。
(ホントに……幾らでも恨んで構いませんから。――お願い、どうか……貴方の剣で、私の盾を壊さないで…………!!!!)
今にも泣きそうになっている穂香の目を見て、剣にはその訴えはお見通しであった。
「……そんな辛い目で俺を見るなよ。俺は目の前の親友を泣かすために戦ってんじゃねぇ。お前ならとっくに分かってんだろ?」
――そして、停止されたボタンを作動させる……!
『アメイジング・続行』
「大事なものを守るために!! 切り札騎士は魂の剣を抜くぜッッ!!!!!」
ユニットの攻撃指令まで10秒! その刹那に、剣の烈火の如く赤きPASのオーラを右手に宿す!!
「このカード1枚で今度こそ……今度こそ決めてやらぁ!!!!!!」
残り5秒!! 最後のドロータイム到来!!! 【ロングソード】から放つ会心のPAS能力発動!!!!
デッキから1枚、切り札を呼び起こす……
「【エース・ドロー】ッッッッ!!!!!!!」
そして直ぐ様カードスキャン!!
『アクションカード、【ファイティングブレード】!!』
「2枚目の《ファイティングブレード》……!?」
「もうここまで来たら破れかぶれや、ファイティングブレード・二刀流で、全力全開で、お前にぶつけたらぁ!!!」
ユニット攻撃コマンド始動まで残り5秒、剣は全力疾走で穂香の領域を突撃していく!!
マリオネット、マジェスティアスの布陣をするりと潜り抜けて穂香目掛けて突っ込み、カード装填へと構えを取った!!
残り4秒! 3秒、2秒……
『――カウンター・レスポンス発動』
レスポンスによるアメイジングの刻が止まる……穂香の残り手札1枚のカードがブレスにスキャンされる……!!!
『アクションカード、【業炎の玉】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【業炎の玉】
属性:赤 EG:④
・効果:プレイヤーまたはユニット1体を
対象にする。それに500ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
500ダメージの特大バーンカード、真っ赤で特大級の炎の玉を発し、剣の残りHP500をジャストキル前提で討つ穂香! 彼女も手札ゼロからの1枚ドローで極運を掴んだのだ!!
ゴォォォオオォオオオ…………!!!
桐山剣に業炎の玉が直撃。あと一歩、届かなかったのか……!? 炎の勢いが収まり、剣のHPは――――――
〔剣 HP 1 〕
…………え、HP1ッッ!!!???
「!!!? な、何故……何で剣さんのHPが0になら――――」
確かに≪業炎の玉≫が剣の身体を焼き尽くした筈だった。だが、剣はその直前に――――!!
『カウンター・レスポンス発動、アクションカード……』
「う……ぁ……ぁぁぁああああ……」
穂香はカウンター・レスポンスのカードを把握した途端に、全身にとてつもない震えが襲った。突破口を打ち破り、桐山剣を生き延びさせたそのカードは――!!
『――――【ど根性】!!!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ど根性】属性:赤 EG:①
効果:自分に受ける致死ダメージを
一度だけHP1まで耐える。
◎――――――――――――――――――◎
「……失敗したな穂香ァ!! まだHPと剣二本残しているぜ!!!!」
「そんな……そんな…………ッッ!!!!」
カウンター・レスポンスを終えて、再びアメイジングの刻が動く。
その直後に剣のファイティングブレード二刀流が横に縦にと大きく振りかぶり、全身全霊の乱れ斬撃・4連斬り、炎と共に咲き乱れん!!
〔穂香 HP400→300→200→100〕
そしてラストッッッッ!!!!
「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおるるるるらあああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!!!!!!」
〔穂香 HP100→0 KNOCKOUT!〕
最後の一太刀、横一文字に斬り裂いた衝動で穂香はアメイジングのVRフィールドをも場外に突き放ち、部屋の壁に思い切り叩きつけられた。
「ぅ……く……、お……父、様ぁぁぁぁぁ……!!!」
そして父への呼び掛けも虚しく、穂香は力尽きるように倒れ果てた。
そして剣も全ての力を使い果たして、ブレードを地面に刺しながらも膝を付いた。
(…………勝っ、た……ぜ……)
剣の魂の炎は徐々に勢いを落とし、灰のように燃え尽きたように、剣はぜーぜーと息を切らしながらゲームのコールアナウンスを耳に傾けた。
『――GAME SET! 桐山剣、WIN!!』
アメイジングウォーズ・EX FINALSTAGE、勝者 桐山剣。
しかしその結末は……余りにも、切ない。
「…………いや……まだ、や――!! ホントに辛ぇ戦いになるのは、こっからだぜ…………!!!!!」
次回、第54話。
戦争終結、しかし既に新たな驚異が……!!!!
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