第6話①~アミューズメントパーク・ギャラクシー~
さぁ『令和』になって最初の極限遊戯戦記!
心機一転、思う存分読んでください!
第6話へゲート・オープン!!
―――時は”超次元ゲーム時代“。
古き良き情緒の狭間に、最先端のゲーム文化が蔓延る現代の大阪。
そんな浪速の活気溢れる街の中でも、特に賑わいを魅せる日本有数の繁華街・オフィス街――大阪市北区“梅田”。
その中心地に、超次元ゲーム時代を象徴する巨大施設が建設されていた。
それはゲーム一色の巨大アミューズメントパーク!
約3年の月日を経て、ついにオープンの時を迎えたのです! その名は――!?
「『GALAXY』って言うんやで!!」
むむっ、誰ですか! この小説の語り部である私、Mr.Gよりも先に答えを言っちゃう野暮な御仁は!?
「何や、主人公の剣が答え言うたらアカンのか。いっぺん、どついたろか?」
………続けてちょうだい。全く、剣さんってば血の気が多いんだから!
「ま、そーゆーこっちゃ。せっかくオープンしたんやし、俺らもそのギャラクシーを覗いたろ思うてん。どないする、みのり?」
「うん、賛成! 彼処の常連になれば、ゲームが上達するきっかけにもなるし、私達のチームの知名度も上がるかもしれないもんね!」
「流石、俺の成り上がりプランを分かってらっしゃる! 今日はオープンセレモニーの真っ最中や。早速行ってみようぜ!」
剣とみのりが住んでいるのは、大阪のシンボル・通天閣の膝元に位置する浪速区。
二人は近所の『動物園前』駅から御堂筋線に乗り込み、梅田駅まで直行。駅と隣接して建設されたギャラクシーへと向かうのだった。
◇◇◇
駅の東口へ抜けると、横断歩道の前に立ちはだかるのは――絶壁と言っても過言ではない巨大な建造物。
都心のデパートか、あるいは巨大モールかというほどの威容を誇るアミューズメントパークだ。
「ここが『ギャラクシー』……! 想像以上だわ」
「せやろ。ここのメインオーナーの松坂茂之さんはな、俺がガキの頃に近所で駄菓子屋を営んでたんや」
「え? 剣くん、そんな凄い人のお知り合いなの!?」
「松坂さんと懇意にしてたのはじいちゃんの方やけどな。よくビジネスの相談に乗ってたみたいや。ゲーム文化の隆盛を敏感に捉えたプロジェクトとして、駄菓子屋から出世コース一直線。長い年月をかけて完成させたのがこのギャラクシーや。俺もワクワクしてきたぜ!」
人と人との縁は、時に思いがけないイベントへと発展します。
剣の祖父・矛幻と、オーナーの松坂は超次元ゲーム時代の黎明期から深い交流があった。駄菓子屋時代から松坂と面識のあった剣も、矛幻の孫ということで、店のゲーム筐体をよくタダで遊ばせてもらっていたのだとか。そんな松坂と剣にとっては、数年ぶりの再会となるのです。
◇◇◇
剣とみのりがギャラクシーへ足を踏み入れると、一階のロビーはマスコミや取材記者でごった返していた。
無数のカメラフラッシュを浴びながら、堂々と質問に答える背広の男。彼こそがギャラクシーのメインオーナー、『松坂茂之』(46)であります。
「本日は超巨大アミューズメントパーク『ギャラクシー』のオープニングセレモニーにお集まり頂き、誠にありがとうございます!
本施設は地下1階から地上7階まで、計8つのエリアを完備した、全プレイヤーのための特大施設となっております。
それでは、各フロアをご案内いたしましょう!!」
館内にはマスコミだけでなく、招待された現役プレイヤーや一般客も詰めかけていた。松坂の先導によって、地下1階へと流れ込む人々。勿論、剣とみのりもその波に乗って進んでいく。
地下1階は、最新ソフトから玩具までが揃う販売ショップ。その活気はさながら築地市場の如し。購入前のお試しプレイも可能という、ゲーマーには堪らない仕様だ。
「凄ーい! まるで『ゲームワールドオンライン』のプレイヤー・バザールみたい!!」
「ギャラクシーのコンセプトは『現実のゲームワールド』らしいからな。プレイヤーのニーズや、本家ゲーム内では実現できないサービスを必死に考え抜いたんやろ。松坂さん、あんなに嬉しそうな顔して……努力が実ったんやな」
二人は溢れんばかりの品揃えに目を奪われながら、探索を続ける。
最新のVRソフト、ボードゲーム、プロ仕様のゲーミングデバイス。どれを取っても一級品だ。さらに――
「……!」
剣は、立ち並ぶラインナップの片隅に、どこか懐かしい雰囲気の漂うコーナーを見つけ、目を輝かせた。それが何のコーナーなのか尋ねる間もなく、群衆が次の階へと移動を開始する。剣は名残惜しそうに、その場所を後にした。
1階はロビー。そしてゲームワールドへ繋ぐ『エリアリンク』が設置されている。ここからゲートを出現させ、各エリアへ直接転送することも可能だ。
ここから上の階は、アミューズメントの真骨頂。アーケードゲームのオンパレードである。
2階は最先端VRを駆使した体感型テレビゲーム。
3階はアスレチックとサバイバルゲームを融合させたアクティブエリア。
4階はカジノやボードゲームが楽しめるアナログゲームフロア。
5階はカラオケやボウリングなど、スポーツアトラクションが主流。
そして6階と7階は、リラクゼーションエリア。シャワーやマッサージチェアで寛げるほか、ネットカフェや屋台村まで併設されている。
娯楽のすべてを凝縮したような、まさに夢の城だ。
「ギャラクシーでは最大24時間を限度とした時間指定料金制を採用しており、エリア内を自由に往来いただけます。
お買い物のみの利用や、エリアリンクによるゲームワールドへの遠征など、お客様のスタイルに合わせた多様なサービスを提供してまいります!」
はぁ~、実際にこんな施設があったら最高だろうなぁ〜。と思わせる松坂オーナーのPRは、大喝采の中で幕を閉じた。
正式オープンを待ち侘びていた客たちは、終了と同時に各フロアへと吸い込まれ、思い思いの冒険へと旅立っていった。
◇◇◇
セレモニーが一段落した頃、剣たちは松坂オーナーを訪ねてスタッフエリアへと向かった。松坂の知人ということで、二人は特別に関係者専用の会議室へと通された。多少の「ご都合主義」は、物語の華ということでご愛嬌。
「―――松坂さん!」
対する松坂オーナー。緊張から解放され、一息ついていたところでの来客に一瞬戸惑うが、相手が学生であることと、その面影に既視感を覚え、すぐに表情を和らげた。
「おや……? 君は確か、桐山さんのお孫さんかな?」
「はい、桐山剣です! お久しぶりです、松坂さん!」
元気よく応える剣の名を聞き、松坂の記憶が完全に繋がった。数年ぶりの再会に、自然と笑みが溢れる。
「やっぱりそうか! いやぁ久しぶりだね剣、大きくなったなぁ~!!」
「俺が良ぅ行ってた駄菓子屋を閉めてから全然会えへんで気になってたんすよ。覚えててくれたんですね」
幼い頃からの親しさ故か、剣は自分を認知してくれたと同時に一気に距離を縮めつつ、敬語も交えながら松坂オーナーと話す。それなりの常識は弁えていた。
「当たり前じゃないか! 矛幻さんは私にとっての恩師でもあるからね。あの人の助力なくして、このギャラクシーの実現はなかったと言っても過言じゃないんだ」
「へぇ〜、じいちゃんってホンマにお天道様みたいな凄いことしてたんやな」
自分の知らないところで、誰かの夢を支えていた祖父・桐山矛幻。剣は改めて、偉大な祖父を持てたことを誇らしく思うのだった。
「……ところで、そちらの彼女は?」
「あぁ、俺の親友の――」
「河合みのりです! お休みのところ、突然お邪魔してしまってごめんなさい……!」
みのりは深々とお辞儀をし、丁寧な挨拶を添える。強引な面会に対する謝罪も含めたその振る舞いは、剣の数十倍は礼儀正しい。
(……俺、なんで数行も経たん間に語り部と比較されて下げられとんねん)
「いやいや、お気遣いありがとう。むしろ君たちが来てくれたおかげで、疲れも吹き飛んだよ。剣くん、良い友達を持ったね」
「はい。俺の自慢の相棒です」
松坂に褒められ、剣はどこか誇らしげだ。対するみのりは、大物のオーナーにベタ褒めされて少し赤面している。
「さて。君たちがわざわざ私を訪ねてきたということは、何か頼み事があるんじゃないかな? 矛幻さんの身に何かあったのかい?」
「あ、いや、じいちゃんのことやないんです。実は――」
◇◇◇
剣は、自分が本気で最強のゲーム戦士を目指していること、そのためにギャラクシーの最先端施設を貸してほしいことを伝えた。
そして、目標に至るまでに友を失った過去や、一度はゲームから離れていた経緯についても、包み隠さず松坂へ打ち明けた。
「…………なるほど。剣くん、君が並々ならぬ覚悟で強くなろうとしていることは分かった」
「俺が最強のゲーム戦士になるためには、そして銃司に勝つためには、俺自身がゲームに全力で向き合わなきゃいけないんです。過去を捨てる覚悟で強くならな、俺を支えてくれたじいちゃんやみのりに申し訳が立たない……!」
「剣くん……」
剣の意志は固い。どん底から支えてくれた祖父と、情熱を再燃させてくれた親友。二人の期待に応えるため、彼は渇望していた。
しかし、幼少期から彼を見守ってきた松坂の目には、過酷な経験を経て「今の剣」が失ってしまったものが、痛いほど鮮明に映っていた。
「……君たちの決意が本物であることは重々承知した。だがね、期待を削ぐようで申し訳ないが、今の私の力では君たちの力になることは難しい」
「な……なんでですか!? こんだけ最新のデバイスや筐体が揃ってるのに!」
「何か、理由があるのでしょうか……?」
突然の拒絶に狼狽える二人。松坂は長年のキャリアを感じさせる鋭い視線を向け、現実を突きつけるように言い放った。
「ならばハッキリと言おう。剣くん、今の君は“幼い頃から持っていたもの”を取り戻さない限り、これ以上強くなることはできない。……いや、戦士として完成することはないだろう」
「――“幼い頃から持っていたもの”……?」
松坂が投げかけた謎めいた言葉。それは、桐山剣に突きつけられた新たな試練。
実力至上主義のゲーム時代において、彼が置き去りにしてきた「心」とは一体何なのか? 若き挑戦者たちの歩みは、ここで一度足止めを食らうことになったのです……。
小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも『★★★★★』の評価、「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を付けて、応援してください!
次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




