第53話①~たった一人の盾~
【アメイジングゲーム状況】
・桐山剣 HP300:手札10枚 EG①
ユニット:【ブルーバード】
ツール:【ボンドストーン】
・大森穂香 HP2000:手札0枚 EG①
ツール:【プラントウォール】【アイスエイジストーン】
※剣の起死回生の逆転コンボ【勝利への宝札】【テイク・ア・チャンス】によって穂香の≪オーク・インカネーション≫と手札を一掃!!
剣VS穂香・後半戦突入!一ミリ足りとも見逃すな!!
オープン・ザ・ゲート!!!!
「そ、んな……私の手札が……、オークが……全滅――!!」
その時、穂香の大樹のごとき雄々しい魂の闘志が、樹の生命力が尽きかけるように崩れ落ちかけていた。
桐山剣の大博打と称すべき宝札を手にした事で、穂香の手札はゼロ。更に手札の数で力が増大する≪オーク・インカネーション≫3体全て、が手札枯渇による自然消滅で破壊された。
思えばえげつないコンボであったが、真剣勝負のゲームに情けは無用。しかしそれを許したのも、穂香の紛れもない致命的なミスなのだ……!!
しかしゲームはまだ終わってはいない。
「≪ブルーバード≫の効果!! 攻撃宣言による攻撃の代わりに、EGを②追加させる! 更にカードを発動!!」
蓄積EGは③、デッキデータに溜め込んだ10枚の手札から1枚をカードスキャン!!
『ツールカード、【リカバリーポーション】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎ツールカード◎
【リカバリーポーション】
属性:無 EG③
・効果:自分のHPまたはユニットのDPを
500回復する。
◎――――――――――――――――――◎
ユニットや自分のHPを回復させるボトル状のドリンクの≪リカバリーポーション≫を手に剣は一気に飲み干す。味は炭酸レモンである。
〔剣 HP300→800〕
(これで一先ずは安心や)
一息ホッとする剣、しかしまだやることが山ほど残っている。
まずは相手が手札もユニットも無い間に、未だにダメージを入れられていないHP2000の穂香を攻撃する。……とは言うものの、武器もユニットも無いのは剣も一緒。どうするのでしょうか?
「そりゃお前、こうするんや。《ブルーバード》!!」
ユニットの能力コマンド間髪入れずに2回連続、《ブルーバード》のEG供給効果で一気に剣のEGは⑤! そして直様カードスキャン!
『カスタムツール・カード、【ファイティングブレード】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【ファイティングブレード】EG:③
AP(攻撃力):100 PP(使用回数):15
属性:赤 装備:プレイヤー
≪必殺技≫
『ソニックブレード』EG:③ AP:150
・弧状のソニックブームに似た赤属性の
斬撃を撃ち飛ばす。
◎――――――――――――――――――◎
「もう一回、《ブルーバード》の効果!!」
これでもかと続けてEG供給効果! 重労働が心配になるがそこは戦う者の配下に仕えるユニット。『お気になさらず効果を使って!』とエネルギーを分け与え、剣は即座に必殺技コマンドを放つ!!
「『ソニックブレード』!!!」
穂香目掛けて烈火の斬撃が命中!!
「っ……!!」
〔穂香 HP2000→1850〕
ようやく初ダメージ、そして同時にドロータイムが訪れた穂香。しかし救いの1枚になるはずが、その顔から絶望の色は剥がれなかった。
「何も出なかったか……」
――――銃司が察する通りであった。
それぞれのカードを組み合わせて強大なパワーを生むコントロール型のデッキである穂香。
先程まで緑生い茂る大樹を築き上げた末に、剣のコンボによって枯れ葉と化したフィールドではまた1から組み直さねばならない。
そして穂香のメンタルも、みるみると縮こまっているのが一目瞭然であった。
『カスタム・ツールカード、【聖天の覚醒】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎カスタムツールカード◎
【聖天の覚醒】
属性:黄 EG:④ 装備:ユニット
・効果:装備したユニットは
AP/DP300アップする。
◎――――――――――――――――――◎
「これを≪ブルーバード≫に装備!!」
メンタルが崩れ掛けた穂香と相反し、剣は休むことなくカードを展開し続ける。
≪聖天の覚醒≫を装備したブルーバードはこれでAPDP共に400のステータスを得た。
「ブルーバードが強化された……」
除去回避の強化が更に穂香のメンタルに追い討ちをかける。
(――彼女も相当悔しいだろう。勝利直前に2枚のカードで全て水泡に帰されたんだ。しかも止められれば止めることも出来たが、彼女の僅かな驕りがこの末路を招いたのは事実だ)
その驕りとは間違いなく≪ブルーバード≫の除去を躊躇った事である。
更にユニットが消えた今、穂香のフィールドにある≪アイスエイジストーン≫は穂香自身を束縛する無用の長物と化した。
剣のEGが青い鳥によって加速するなかで、穂香はただ冬の寒さに閉じ籠ることしか出来ない。故にEGが溜まらない今の穂香に、剣の攻撃は届かない。
それに察したかのように、剣が一旦動きを止め、穂香に言い諭した。
「……言っとくけどさっきのギャンブルカード2枚も倭刀から受け取ったんだ。多分そのカードも俺の勝ちを願ってたんだろうぜ。
一方的なやり方でお前に辛い思いさせたかねぇんだが……倭刀や皆が俺にカードを託した意味を、改めて考えとけよ」
「………………」
穂香は無言のまま、アメイジングウォーズで目の当たりにしたプレイヤー達の意志が脳裏に蘇る。
倭刀の必死の叫喚、桜の誠実な覚悟、槍一郎の過酷な使命への受容……
誰もが一人のプレイヤーとしての宿命を持ち、その魂の強さが形となりてPASのような可視化された力を持っている。
その強い意志こそが自分を受け入れ、自分だけが持つ本当の強さなのだ。
そして形だけ彩られた穂香の魂に、真の強さは……無い――――!!!!
「結局……結局私は、見せかけだけの強さだった……!!」
心底の無念によって潤んだ眼がより悔しさを倍増させる。そして先程手にしたカードを覚束ない手でスキャンさせる。
『アクションカード、【ツール・ブレイク】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ツール・ブレイク】属性:黄 EG:②
・効果:フィールド上のツールカードを
1つ選択し、それを破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「破壊対象は≪アイスエイジストーン≫です」
穂香は次のドロータイムが来る前に、先にEGを束縛する≪アイスエイジストーン≫を自ら破壊させた。
氷河からの雪解け……と言うよりは凍てついた心への自壊という行為に等しかった。
(自分から≪アイスエイジストーン≫を壊した! だったら今のうちにHP減らした方がえぇな!!)
剣は穂香の萎れつつも折れない闘志に気付き、通常攻撃と必殺技による連続技でHP削減に徹する。
〔穂香 HP1100〕
「……私は……もうこれ以上引き返せません、例え地獄の底に突き落とされようとも、父に愛されなくとも、憎まれていようとも、私は――――――」
穂香の深緑の眼に映る、狂気と化した父の面影。
親愛されるべき娘の穂香を不良品と蔑み、ただ己の願望『超次元空間』の開拓と亡き家族の再開を願望とするエゴイスト……いや、夢幻に現を抜かす廃者。
そんな父に魂を枯らされても守り抜くその意思の裏腹、それは穂香の記憶の奥底に眠るたったひとつの温もり。
――――今は亡き家族と育む温かな家庭の日々の記憶。
……その記憶にはただ一人、穂香はいない。
「――――それでも私は、お父さんの事が好きだから!!! お父さんを守るために亡くなった家族の皆のために!!
――私が大森の最後の盾となるッッ!!!!!」
―――その時だった。不安で震えかけていた右手からPASの膨大な波動に帯びた濃い緑のPASが、蓄積されていく!! そして、ドロータイムへ!!!
「――――行きます!! ソーサラードローッッッッ!!!!!!!」
緑の波動と、緑の眼から放つ非情という名の視線。
深緑の魔導師、第ニ波のタクティクス始動。
次回の更新は5月28日(木)を予定しています!
お楽しみに!!
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