第49話①~ネクストステージへ誘う扉~
君は見えるだろうか?
二人のプレイヤーを傍若無人に操っている糸を……
片や人の情を失った主導者、片や管理機関の代表としての重い重圧。
それらの糸を縛るプレイヤー達の本心や如何に!?
第49話、オープン・ザ・ゲート!!!
――バスター・キャッスル城内の資料室。
「……ふぅ、デッキは50枚ジャスト! やっと出来た!!」
『アメイジング・クロスデュエル』にて対策用に練っていたデッキを、元に戻す作業をようやく終えた槍一郎。
――とはいえ、あのゲームから30分以上経過してるけど、急がなくて大丈夫でしょうか?
「しょうがないだろう、どっかの誰かが僕のカードチョロまかすから余計に時間掛かったんだ」
「てへぺろ☆」
レミさん、変な所でお茶目出さないで下さいよ。
「いや、グッドタイミングだ。私の話も丁度終わった所だ」
そうでした、槍一郎がデッキ組み終わるまで立海の参謀長、史也の話を聞いてたんでしたね。でも大体聞いてたのは倭刀くらい。
後は資料読んでるみのりと、疲れはてて爆睡している豪樹と、暇持て余すレミ。秘書の奈々子から貰った茶菓子のおまけ付き。
「……史也兄の言いたいことは大体分かった。だけどあんたが事情話した所で、桜がプレイヤー嫌いの敵なのは変わらねぇだろうよ」
……それはどうでしょう。剣と戦って心変わりしたのかも?
おっと、それは前回の激闘を読んだ皆は秘密にしておきましょう。
「お前だって守りたいものがあってこの紅蓮城に挑んでいるんだろう?」
「ん……」
史也の指摘に倭刀も少しだけ図星を突かれた。倭刀の守りたいものは無論、姉貴分の穂香ただ一人だ。
「私達も一緒だ。やることは変わらずとも理解はして欲しいと思ってこんな話を持ちかけたんだ。
――今はゴタゴタしてるが……いずれはお前と桜、実は似た者同士で仲良くやれるんじゃないか、ってな。二人とも同い年だし」
そう、実は桜と倭刀は同じ15歳なのだ。
「……まぁアイツが態度改まったら考えてやんよ!」
槍一郎もカードスキャンブレスを装着して、ある程度の身支度を丁度終えた所だった。
「――さぁ、そろそろ行こうか倭刀」
「OK、先輩……あ、その前にみのりさん達はどうします――?」
みのり達も今はギャラリー側になっているとはいえ、トライゲートを戦い抜いた大切な仲間だ。
だが戦いが激化する中で果たして共に進むべきか否か、そこが倭刀らの悩み所だ。
「……心配は要らない。彼女らは戦い自体は既に脱落しているが、元々城主の銃司の情から入城を得ている。
被害は加えない前提で、我々と共に他のゲームの観戦等でもしようかと思うが、どうするかな――?」
……んー何かまた企んでいそうな予感!
しかしみのり達は既にどうするかは決まっていたようだ。
「――私達はここに残っているわ。だって倭刀くん達の足は引っ張れないもの」
「あたしも同意件。さっきのトライゲートで結構疲れたし、豪樹さんも寝てばっかだし」
「Zzz………」
どのみち二人と共に行動するにも色んな限界があったようである。
「……そっか。まぁ史也兄なら変なことはせぇへんし、任せておくか」
立海のゲーム戦士達は正々堂々とゲームを挑む者には律儀に振る舞うのが戦団の掟である。
だからこそ、敵である史也達に仲間を預けようと思えたのだろう。
「――それでは御二人とも、こちらまでどうぞ」
奈々子は部屋のドアまで倭刀達を案内させる。
見たところ何の変哲の無い洋風のドアだが、何やら胡散臭い感じがしそうな様相だ。
「……ちょっと待てよ。またドアの先で変な罠とか仕掛けんじゃないだろうな?」
倭刀も流石に出来すぎた展開に警戒しているようだ。
「私達は約束通りここを通すだけだ。何の抵触も無し、それにこの城の空間を創ったのは桜だ。責任は私には持てない。
――まぁ、仲良く出来たらの話だがな」
((うわ、絶対何か仕組んでるだろ……))
と分かれば尚更このドアの先に行くのを躊躇う二人である。
「結局また僕達は分断されるのか……最終的に銃司の所に着けば同じ事だが」
「でもそれじゃ穂香姉ちゃんを助けるのがまた遅くなるぜ!?」
冷静に割り振る槍一郎と救出に焦らす倭刀。このままではらちが明かない。
「まぁ進んで袋小路なんてオチにはさせないから安心しろ。だが、辿り着くかは保証できないがな」
「さぁ、遠慮しないでドアの先へ進んで下さいなー!」
史也と奈々子も催促してくる。倭刀と槍一郎の決断は……?
「……よし、だったら行くしかねぇか! こうなったら悩むより行動した方が速い。先輩、悪いけど俺から先に行くぜ!!」
「……分かった。気を付けろよ」
そして他の仲間もエールを送る。
「倭刀くーん! 気を付けてねー!!」
「貴方のお姉ちゃん、ちゃんと助けてあげるのよー!!」
「じゃ……行ってくるぜ!!!!」
そして倭刀は扉を開けて、その先の闇の方へと吸い込まれるように進んでいった。
「……どうした? お前は付いていかんのか?」
「………」
槍一郎はここへ来て思い悩んだのか、一向に進もうとしない。
「――――そうだ。この扉の反対側にも出口の扉があったよね?」
「………は?」
「僕はそっちに戻ってみるよ」
――――はぁ!???
「「え、いや、それはちょっと………」」
予想外な展開に史也も奈々子も慌てふためいている。
「――あ、この感じは当たりみたいだね。じゃそーゆー事だからみのりちゃん達、後は頼むよ!!」
「「い、行ってらっしゃい………」」
みのり達も唖然としながら手を降って別の扉へ進む槍一郎を見送った。
「………槍くん大丈夫かな?」
「まぁ槍ちゃんだし、良いんじゃない?」
それは理由になってませんよレミさん。
「――――さて、そろそろ私達も次の段階への準備をしないと。お嬢さん達も御同行願おうか」
槍一郎達が居なくなった今、この場の主導権は史也にある。みのり達は彼に抵抗せず付いていくことにした。
「あ、でも豪樹さんは……?」
「放っておけ、トライゲートでの激闘が諸に体力に来ている。この様子じゃ当分は起きないだろう」
「はぁ……」
レミやみのりも内心豪樹を放ってはおけないが、今は彼に従うしかない。
「あの……資料の本持っていっても良いですか? 私まだ読み足りなくて……」
みのりは資料室に置いてあったゲームの歴史本を激戦中に読んでからかじりつくように止まらなくなっていた。
「……あぁ別に構わんよ。そんなにその本が気に入ったなら、事が済んだ後にでもあげようか?」
「えっ!? 本当ですか!!?」
みのりは輝いた眼をしながら喜んだ。色んなゲームの事を知れる本だから相当気に入ったのだろう。
「――君にはG-1グランプリ予選の騒動からずっと気になっていてね。仕事しながらで申し訳無いが、君の事を是非色々教えてほしいんだ」
「史也様はみのりさんの事が気に入ったんですよー」
「要らんことを言うな、奈々子」
「え、はぁ……」
いつの間にかみのりは史也に気に入られたようで当の彼女も困惑した。
一行は資料室を離れ、城内のモニター等を管理する指令室へと移動した。
それよりもみのりは一つ気掛かりな事があった。
「……あの史也さん、槍くんと倭刀くんは何処へ行っちゃったんですか?」
「決まっているじゃないか。―――我々の思惑通りの場所だよ」
◇◇◇
――では、二人を誘った二つの扉の先の空間を答え合わせしよう。まずは槍一郎。
「――入り口の空間、そして廊下も全く違う……どうやら勘は当たったみたいだな」
なんと、本当に当たりのようだ!
槍一郎の槍のような直感が正解の道を繋いでいったのだ。……だとしたら勇気だして扉へ突っ込んでいった倭刀は何だったのでしょうか!?
「桜は多分剣が戦ってる、となると戦団の主力は大体片付いた計算だな。この分だと、このまま銃司の所まで行けそうだ――――――」
……あ、槍一郎さん危ないッッ!!!
――――ビシュンッッ!!!!
「ッッ!!!?」
咄嗟の判断で飛んできた緑の光弾を紙一重で交わす槍一郎。
その光弾はPASのエネルギーを蓄積させたもの、そしてそのPASは、魔導師の杖のような……まさか!!?
◇◇◇
一応、一方の倭刀の方はと言うと。
「嵌められた……………」
SASUKEのようなエリアに、四方八方メイドプレイヤーで埋め尽くされた絵面。これは誰得なのだろうか。
救いの光は遠きにありて、がっくりと肩を落とす倭刀。
………御愁傷様です。
次の更新は3月21(土)を予定しています!
お楽しみに!!
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